はたらく魔王さま! 第13話 魔王と勇者、真っ当に仕事に励む (アニメ)

                 
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「エンテ・イスラに帰らなければならないんだ」そう告げる真奥に「私も連れていってください!」と泣きながら訴える千穂。しかし真奥は悲しげに首を振る……。
そんな夢を見た千穂は、真奥が本当に帰ってしまうのではないかと不安を覚える。また恵美も、幡ヶ谷を支配したと宣言する真奥の夢を見て、改めて気を引き締めた。
そんな折、真奥は木崎に1週間の休みを願いでる。 それを聞いた千穂は、このまま帰ってこないつもりではと問いただすが、真奥は否定するのだった……。

とうとうはたらく魔王さまも最終回。サリエルとの戦いに決着がつき、最終話でもおかまいなしに終始コメディ調の展開が繰り広げられる平穏な日々を取り戻した魔王たち。千穂はエンテ・イスラに魔王が帰ってしまうのではないかという夢を見て不安に囚われたが、魔王と勇者は現代日本に残ってこれからも働き続けるという選択をする。

最終回らしさがあまりないほのぼのとした展開で、あっけなく終わってしまったのが意外だった。思わせぶりに謎のベールに包んだ大家の正体が明らかにならないまま終わってしまうなど、まだまだ回収しきれていない伏線があっただけにもう少し引っ張れるようなところをオーバーに演出してこの作品に対する続編を期待させる終わり方にしても良かったようにも思うが……。

回が進むごとに登場人物が増えて賑やかになり、各キャラの個性をうまく活かして話を盛り上げようとしていたものの、異世界から現代日本に飛んで来た当初のギャップを利用したエネルギッシュなギャグに比べると、生活感が出てくるにつれてどんどんトーンダウンしていくのが見ていて辛い作品だった。
現代日本で働くことを肯定的に捉え、一人の男がマグロナルド(マクドナルド)のクルーをしながら得た賃金だけで男3人で逞しくそして楽しく都内で暮らす様などはとても清々しい明るさとロマンがあって良かったと思うだけに、勢いが続かずに中途半端な印象の出来に映ってしまったのが惜しかった。
勇者の役回りと存在感の弱さも気になったが、魔王が魔王(男)として世界の規律に対する抵抗を見せないまま支配する側から支配される側に回っていて、時折露わにする野心もポーズのようにしか見えないなど、全体としてほのぼのし過ぎてメリハリがきいておらず、世界の主(魔王)と一家の主(真奥)という男の生き方の繋ぎ方・重ね方がちぐはぐで迫力不足だと感じた。
                 
        

はたらく魔王さま! 第12話 魔王、己の職責を果たす (アニメ)

                 
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猿江三月こと大天使サリエルと鈴乃に捕らわれた恵美と千穂。
千穂からの何件もの着信に気付いた真奥は、漆原の発信機を辿り、サリエルたちがいる都庁にたどり着く。そ
こで対峙する鈴乃と真奥。
訂教審議会筆頭審問官、そして死神デスサイズベルとして幾度となく大槌を振るってきた鈴乃だったが、訂教審議会の象徴天使であるサリエルの命令とはいえ戸惑いがあった。
今の真奥は本当に切るべき相手なのか、自分のやっていることは本当に正しいのかと……。

魔王と大天使サリエルが戦う。勇者はいつの間にか戦いに負けて捕らえられ、拷問を受けてた。この作品の勇者って本当に役に立たないな。ただの貧乳エロ要員になっている。その割に脱がないし。代わりに魔王が服を脱いで勇者役をやって悪いやつを成敗している。これはそんなアニメ。

魔王が人々の恐怖や怒りのエネルギーを吸収することで「魔王」となり、「正義」が実行されるところに、サブカルチャーを取り巻く環境をメタな皮肉として見い出せたのが面白かったし、勇者サイドの聖法気が天使には通用しないから、魔王サイドの魔力で以って叩いてもらうというのは、なかなか示唆に富んでいた。
ただ、そういう視点で見ても、敵側をベタな「悪」として醜く描き、その対照として魔王とその仲間を単純に美化する演出はやり過ぎなように感じた。これもまた皮肉か。
                 
        

はたらく魔王さま! 第11話 勇者、己の信念を貫く (アニメ)

                 
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真奥たちの元に、ヴィラ・ローザ笹塚の大家であり海外旅行中の志波美輝から大量の荷物が届く。
一緒に添えられていた手紙には、荷物を町内会のバザーに出してほしいと書かれていた。あまりにも量が多いため真奥は千穂に手伝いを願い出る。
丁度その時、恵美も最近様子がおかしい鈴乃を心配して彼女の部屋を訪れていた。恵美と鈴乃にも無理やり手伝わせ、大変ながら楽しく作業を進めていたが、ひとり浮かない様子の鈴乃。
そんな彼女にセンタッキーフライドチキンの店長、猿江三月が近づく。

理想主義者としての勇者エミリアと現実主義者としての鈴乃の考え方がぶつかり合う話になっていた。理想を語る勇者が現代日本の世界で必死にOLとして働きながら日銭を稼いでいるのに対して、まだこちらの世界では求職中の身分である鈴乃がファンタジー世界の経験知からその理想を受け入れることが出来ないという構図に皮肉というか風刺のようなものが効いていて面白かった。

とはいえ、誰も犠牲者を出したくないなどと言ったその舌の根の乾かぬうちにもうエミリアは剣を抜いて戦っているわけで、勇者の理想は勇者が悪とは認めない存在にしか及ばないという正義の虚しさを漂わせた構成になっていた。
                 
        

はたらく魔王さま! 第10話 魔王と勇者、いつもと違った日常を過ごす (アニメ)

                 
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新たなお化け屋敷のオープンに伴い、大勢の入場者が予想される遊園地・富島園。
それにあわせてマグロナルド富島園店にヘルプで行くことになった真奥。
千穂も休みを返上して手伝いを申し出るが、木崎に真奥ひとりで十分と断られてしまう。諦めきれない千穂は恵美を誘うことに。また鈴乃も、新しいお化け屋敷により、相当な量の恐怖の感情が集まるのでは? という隣室の会話を聞き、恵美に電話をかける。
そして翌日、真奥と千穂、恵美、鈴乃の4人は富島園で顔を合わすのだが……。

夏で水着でプールの視聴者サービス回。勇者は巨乳の千穂と対照的に著しく貧乳、つまり胸が小さいという設定になっていて、千穂と自分の「女性らしさ」を比べた時にそれをコンプレックスに感じてしまうような表情が垣間見えたのが面白かった。

魔王と同じ名前の猿が勇者をスルーして千穂の胸に飛び込み、それに対して勇者がむくれるというシーンがあったが、これについては、それまで魔王に対して勇者が女として好意を寄せているような表現はほとんどなく、一定の距離を常に置き続けてきた関係が少し変化していくことの伏線か、と感じた。そう思わせるほどに魔王が千穂の「女性らしさ」に対して鈍感で、一方の勇者が「女性らしさ」に敏感に反応していたからだ。
                 
        

はたらく魔王さま! 第9話 勇者、修羅場を経験する (アニメ)

                 
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真奥を巡って恵美と鈴乃が修羅場!? と勘違いした恵美の友人、鈴木梨香。
興奮気味の梨香は、2人を引き連れ真奥がいる幡ヶ谷へと向かう。
まずは作戦会議と、センタッキーフライドチキンに入ったが、真奥の命を受けて店舗を偵察にきていた芦屋と遭遇し、事態はさらに複雑に。梨香は芦屋の妙な説明により、恵美や芦屋たちとの関係にひとまず納得したものの、真奥への興味は増すばかりだった。

前回に引き続き修羅場と呼ぶには少し違和感のあるゆるい修羅場モードが描かれる。第1話とか第2話の頃に比べるとキャラクター間のやりとりにキレがなくなっているのもゆるさの原因だろう。ただ、ゆるさを感じさせる程度に淡々としているのは、キャラクター間の距離感のとり方が計算された結果の作りにもなっているのが興味深かった。伏線的に想像を膨らませてくれる内容もほんのりと含んでいたので、今後の各キャラクターの立場やそれぞれの関係がどう変化していくかに期待したい。

『はたらく魔王さま!』のタイトルに相応しく、魔王が終始働いている回でもあった。面白いなと思ったのが、エミリアの友人の梨花が魔王の事をシビアな女性の目線で男として職業人としてどうなのか値踏みするように見つめるところだった。ファンタジーの世界ではナンバーワンでありオンリーワンの存在として活躍していたキャラクター達がリアル(現代日本)の世界では平凡な存在として人々に時に厳しく叱られ、時に優しく受け入れてもらいながら、リアルもいいものだよと誘導される、『ファイト・クラブ』の逆バージョンのような世界観が浮き彫りになっている。
しかし、表面的にはウェットのようでいて、ファンタジーの心地よさを魔王も勇者もそして制作サイドも我々視聴者もよく知っているからこそ、体育会系の剛腕で説教臭くまとめあげるのに躊躇いがあり、そこから内実を枯らして空虚になっていく過程に、趣きがあるなとも感じた。果たしてこの作品はリアル、現代日本の世界を肯定するのか、それとも別れを告げるのか。
                 
        

はたらく魔王さま! 第8話 勇者、修羅場に突入する (アニメ)

                 
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真奥たちの隣に引っ越してきた鎌月鈴乃。
和服しか持っていないという彼女のため、恵美は一緒に買い物に出かけることに。一方真奥は、本社に赴く木崎に代わり初めて店長代理を任されていた。
しかし、タイミング悪くその日ははす向かいに出来たセンタッキーフライドチキン開店日であり、客足はイマイチ。
そんな時、怪しい風貌の男が店内に入って来る。

鈴乃の正体が明らかになる。エンテ・イスラからやってきた教会側の立場とのことだが、はじめから勇者とほとんど変わらない立場なので、現代日本に昭和的な価値観を持ち込んでそのギャップでボケるところぐらいしか面白みがない。もう少しキャラに黒みがかってると良かったと思ってしまうあたり、ジャンプ漫画のライバルよろしく漆原のようなキャラ紹介兼ねたやんちゃはよく出来た手法なのだなと感じる。

鈴乃と魔王の距離が近づいていくことにやきもきする千穂。鈴乃の感情が千穂とは違うものなのは明らかで、勇者も距離をとってクールな立ち振舞いを通してぼやかしているのとは対照的に、千穂だけがストレートに想いを空回りさせる展開が少しわざとらしさを感じるものの、このあたりのオーバーで豊かな感情表現が千穂の、あるいは現代日本の恋愛感情が第一の若者たちの魅力として演出されている。
修羅場というほどの絡み合いの妙はなかったが、今後、鈴乃が魔王に惹かれていって痴情のもつれ合いにぬめりが齎されていくのか、それとも鈴乃絡みでエンテ・イスラサイドとの激しい戦いという意味での「修羅場」に突入していくのか。
                 
        

はたらく魔王さま! 第7話 魔王、近所付き合いで家計を助けられる (アニメ)

                 
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ある日六畳一間の魔王城ことヴィラ・ローザ笹塚201号室の隣に引っ越してきた、着物姿の小柄な女性、鎌月鈴乃。
真奥たちを監視している恵美は、異世界からの刺客、または新手の悪魔か? と身構えるが、夏バテした芦屋を心配し、働かない漆原に家事をさせている鈴乃の姿を見て思い過ごしだと胸をなでおろす。
一方、真奥のアルバイト先であるマグロナルド幡ヶ谷駅前店では、はす向いにできるライバル店、センタッキーフライドチキンの開店が明日に迫っていた。

新キャラクター・鎌月鈴乃が登場。着物姿で凛とした大和撫子というタイプの彼女が魔王に近づくのは単に好意だけでなく、何か裏がありそう。漆原に指示を出しながら一緒に家事をする描写は、そのうち少し前の漆原のように魔王に襲いかかってくるということの示唆のようにも読み取れたが、果たしてどうなるのだろう。エミリアと鈴乃のやりとりも明らかに誤解に基づいたすれ違いから違和感を覚えさせるものになっていた。
そして、全12話構成だとして、そろそろ物語も終盤に差し掛かるところ、この違和感に大家がどう絡んでくるのか。大家の水着姿のグロテスクなビジュアルに魔王たちが吐き気を催すほどの嫌悪感を抱いてノックアウトされてしまう演出も、今後を考えると興味深い。
今までこの世界に存在が必要だったのかよくわからなかった勇者エミリアが、ここに来て猛アピールしているのもあわせて考えると面白かった。

このアニメ、女キャラクターだけでなく、男キャラクターも積極的に増やしていて、男女比がほぼ同じなのに、男同士で女の取り合いはせず、女たちが一方的に魔王を見つめるというのを嫌味にならないように丁寧に描かれており、同性からも異性からも慕われる「魔王」という存在や男性(自分)上位の緩くて自然に見せかけたハーレム的シチュエーションに対する憧れ、(クラスの)人気者になりたい、あるいはなりたかった、というコンプレックスを巧みにくすぐる、そして何よりそれ自体については絶対に批判を加えない上で善悪を語る、その読者に合わせてくれる「等身大」のファンタジーが如何にもラノベであり深夜アニメ的でありサブカル的で、こういう作品を見る度に女だけでなく男などあらゆる他者が「萌え」化されていることをしみじみ思う。
                 
        

はたらく魔王さま! 第6話 魔王、学校の階段を昇る (アニメ)

                 
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アルバイトの身でありながら時間帯責任者となった真奥は、芦屋と焼き肉屋で祝杯をあげていた。
一方ヴィラ・ローザ笹塚では、真奥に敗れエンテ・イスラに帰れなくなったルシフェルこと、漆原半蔵がひとりで留守番中。彼には真奥からパソコンとインターネットを使い、魔力に関する情報を収集せよという使命が与えられていたのだ。
そしてとあるサイトで「笹幡北高校の七不思議」という情報を見つけるのだが、そこは佐々木千穂が通う学校だった。

前回で魔王に反旗を翻して襲いかかってきたルシフェルは漆原として魔王と同居していた。詳しい過程が省かれているものの、魔王の器が大きく、寛容であるということが分かる。漆原というキャラクターについては、小生意気な子どもっぽさと情報サポート役に相応しいサイバーカルチャーやサブカルチャーへの造詣の深さが少し煩わしさを感じさせ、話の展開のさせ方を今までより更に収拾がつかず、締りのないものにしているのが気になった。

今回の話のタイトルは「魔王、学校の怪談に昇る」。てっきり、魔王が学校に編入して、学園ものになるのかと思いきや、魔力に関する情報として漆原から提供された千穂の通う高校の七不思議についてを調べるというものだった。
結局は漆原が落としたゲーム機を魔王に拾わせる目的だったというオチになっているが、ゲーム機と漆原の存在に気を取られた隙に、実はそこには隠された秘密があるのではないかという伏線めいたものが暗示された演出も見られたので、今回の話が後にどう影響してくるかが楽しみである。

このアニメは真面目にバトルしているよりも、アドベンチャーモードに入ってワイワイしている方が面白いなとは見ていて思った。
                 
        

はたらく魔王さま! 第5話 魔王と勇者、笹塚を救う (アニメ)

                 
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真奥たちの前に現れたのは悪魔大元帥のひとりで、かつての部下であるルシフェルと、思いもよらない人物だった。
真奥たちに襲いかかるルシフェルたち。力の戻っていない真奥は彼らの攻撃に為す術もなく、傷ついた芦屋を抱えて逃走するしかなかった。千穂を捕らえ、さらに人間の絶望と恐怖を吸収するため、ルシフェルは首都高の高架を破壊。笹塚駅周辺を崩壊させる。
だがその時、真奥の身体に異変が起きる……。

魔王、悪者と戦うの回。
今回を見て思ったのは魔王は悪者じゃないんだなと、少なくとも人間になって日本にいる限りはそういうスタンスで、勇者にとっては悪いやつかもしれないけど、日本にとってはとりあえずは悪いやつじゃない。
これで魔王と勇者の立ち位置の混乱を招き、善悪を混合させている一方で、そのあたりの世界とのコミットメントについてのメッセージを真面目に発している時ですら、空気を読まずに常にサービス精神を忘れないギャグへのこだわりを配置してみせるなど、その一貫したおちゃらけテイストが物語を深刻にせずに、見ている側に考えてもらうと同時に思考が不要な単純な元気も与えようとしていて、そこに如何にもこの作品らしい明るさがあって好感を持てた。

ただ、魔王があまりにもベタにヒーロー化してしまっていて、魔王が魔王であるということはどういうことなのか、勇者に比べてそのあたりの背景がまだ描かれておらず、単に思春期の青年のオタ気質な妄想をメタ視点を用いて具現化させただけのキャラのようにしか映らなかったのは気になった。これについてはそういう受け取り方でいいのかもしれないが、そうだとしてもそうじゃなくても、現状だと皮肉の効き具合が弱く、話を展開させていく毎に主人公のヒーローとしての格好良さへの演出だけがやたら濃くなって、魔王という設定がぼやけ、作品そのものに勢いが失われていくので、見ていて辛くなってくるところもあった。
                 
        

はたらく魔王さま! 第4話 勇者、心の温かさに触れる (アニメ)

                 
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同じ職場の女子高生・千穂から相談を持ちかけられ、一緒にお茶をすることになった真奥。そしてそれを尾行する芦屋と恵美。
だが地響きと共に突如大きな地震が起き、真奥と千穂、恵美の3人は瓦礫の下に閉じ込められてしまう。その時、なぜだか分からないが、魔力が少しだけ戻り、真奥は元の姿に戻りつつあった。恵美が千穂を眠らせ、魔王であるということを知られぬまま、瓦礫から脱出できた3人は、それぞれ無事帰路につく。
しかし彼らを狙う怪しげな影はそこまで迫っていた。

勇者エミリアが如何にして勇者になったのか、その生い立ちが明かされる。
ここまで話の流れからすると、絶対正義と絶対悪に立ち向かう中庸な立場としての魔王と勇者の凸凹コンビとなりそうなので、エミリアの父親が殺されたという回想は、魔王以外の魔王サイドの存在と戦うことと同時に、勇者以外の勇者サイドの存在とも戦うことになるだろうということが示唆されており、エミリアが信じる正義には裏があり、エミリアを勇者として利用するために司祭達が一計を案じたのではないかと思わせるようなきな臭さが伏線として敷かれていると感じた。実際はどうなるかわからないが、演出として思わせぶりに描写するのには成功していたと思う。

今回の題は、「勇者、人の温かさに触れる」。これはエミリアの日本での友人と魔王のことを指しており、同時に、魔王が温かさに触れているということも含んだものになっている。
異邦人としてだけではなく、世界を恐怖に陥れようとした者と世界を恐怖から救おうとした者という両極端なポジションも実は同じであると重なるように表現しようとする試みが面白いのだが、魔王よりも如何にも悪といったゲスな敵役の登場で魔王が強制的に中庸のポジションに追いやられる力技のオチで伏線を回収しているところの流れは少々雑か。
                 
        

はたらく魔王さま! 第3話 魔王、新宿で後輩とデートする (アニメ)

                 
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財布を落とし、断腸の思いで魔王城であるヴィラ・ローザ笹塚への一泊を願い出た勇者エミリアこと、遊佐恵美。
翌日、早々に引き上げて自宅に帰ると、テレビでは銃撃事件現場の様子を伝えていた。そこは、昨夜真奥と恵美が魔力エネルギー弾によって何者かに襲撃された場所であった。野次馬の中に真奥と芦屋が一瞬映っていたが、気にしないようにして自分の仕事場であるテレアポセンターに向かう恵美。
しかし彼女の職場に“勇者と魔王を知る者”からの電話が掛かってくる。

魔王がバイト先の同僚である女子高生の千穂とデートをする回。
千穂という存在を媒介にするようにして、魔王、アルシエル、エミリア以外にも異世界エンテ・イスラからやってきた存在が徐々に明らかになっていく。千穂ははっきりと魔王に好意を抱いているのだが、それに対してのキャラとしてのストーリー性(背景)がまるでないだけに、お約束のようなエミリアと魔王のドタバタラブコメ劇場の引き立て役ということが露骨に示されていたように感じた。
ただ、それではあまりに千穂というキャラクターの奥行きがなさすぎるので今後彼女に対して、大きな変化、例えば、魔王が勇者と心を通わせていく上で完全な人間と化していくのと対をなすように千穂が魔王化していくという展開があるのかもしれないと考えた。それぐらい、千穂というキャラの平凡さがわざとらしく映った。

また、魔王と千穂の関係をエミリアの目線で見つめていく過程で勇者と女の間で揺れ動く心境の些細な変化を丁寧に描こうとしているのだが、今回は今後そうなりますよというのがメッセージとして発せられただけで、それほど大きな盛り上がりはなかった。深く突っ込んだ描写がないままに勇者が情にほだされようとしているのが見え見えで、魔王と勇者の関係はもう先が見えたような感じだったのが残念ではある。そのネガティブな予感を裏切って欲しいと思う。

全体的に前回までと比べて描き込みが弱く、シリアスとギャグの勢いと観ている側への配慮の面で物足りなさを感じ、ちょっとがっかりさせられた回だった。次回以降、魔王と勇者、あるいは魔王とアルシエルの茶番以外のシーンで惹きつけられるものが提供されることに期待したい。
                 
        

はたらく魔王さま! 第2話 勇者、仕事優先で魔王城に泊まる (アニメ)

                 
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異世界で生き伸びるためには“お金”が必要だと悟った魔王とアルシエルは、真奥貞夫、芦屋四郎として六畳一間のアパートでアルバイトをしながら暮らし始める。
……8ヵ月後、有能な店長と頼もしい仲間に囲まれ、立派なアルバイターとして成長していた真奥。
一方、勇者エミリアもまた魔王を追ってこの世界で暮らしていた。
そしてついに日本で合間見えた2人! だが、お互い力を失っていたため、その戦いは単なる痴話喧嘩と思われ警察に諭されてしまうのだった……。

魔王を追って現代日本にやってきた勇者エミリアもまた、この世界で生きていくために魔王と同じく平凡な庶民として金に支配され、仕事に追われる生活の日々を送っていた。

勇者エミリアの視点から見た現代日本と魔王達の姿が描かれる回で、エミリアのキャラクター造形はベタな所謂ツンデレ系キャラではあるのだが、そのあまりのプライドの高さから勇者であることと現在の自分の惨めな生活ぶりと魔王達との立ち位置、それぞれのギャップがうまく際立たされていた。

前回の勢いはまだ続いていて、コメディもなかなかの出来で良かった。ただ、それでもエミリアの、表情は豊かだが融通の効かないキャラの都合上、ビジュアル的には面白くてもシーン描写としては少々一本調子なところが目立った。
どうやら魔王と勇者が戦うというよりも、魔王と勇者の共通の敵が現れ、呉越同舟して戦うという展開になりそうで、ドラゴンボールでいうところの悟空とベジータのような関係に男女の感情を挿入したラブコメが描かれるのだろう。
そこで、勇者エミリアのキャラと魔王との距離感の保ち方がポイントになるのだろうが、今回の話を見る限り、エミリアのキャラを保つためには作品の展開が大きな制約を受けることになり、そこを魔王様が、あるいは現代日本という舞台設定がどうやって打開して盛り上げていくのかに期待したい。
                 
        

はたらく魔王さま! 第1話 魔王、笹塚に立つ (アニメ)

                 
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大海イグノラに浮かぶ聖十字大陸エンテ・イスラ。
闇の生き物たちの王道楽土を建設するべく、アドラメレク、ルシフェル、アルシエル、マラコーダ、4人の悪魔大元帥を従えて人間世界に侵攻していく魔王サタン。
だがそこに聖剣を手にしたひとりの勇者が現れた。
勇者に追い詰められた魔王は、必ずこの場所に戻ってくると言い残し、アルシエルと共に異世界へのゲートに飛び込むが、その先で見たものは、人間になった己の姿と新宿副都心の摩天楼だった。

勇者に追い詰められた魔王とその部下が異世界(地球の日本)に飛び、郷に入れば郷に従えで戸惑いながらも現代日本の一庶民として生活を送る。
魔王は元の世界に戻れることを信じながら、今日もアルバイトをして日銭を稼ぐ。

設定だけなぞると魔王を主人公に持ってきたブラックさも含めて今日のサブカルチャー界隈ではそれほど珍しいものではないのだが、異世界の魔王様、あるいは高貴な身分の者が資本主義と民主主義の社会に抱き込まれて懐柔させられ、そこにすっかり馴染むことで軟化し、立派に「庶民」として生活している点をコメディにしているのがカリカチュアとしてよく描けていて面白かった。

魔王を務めていた存在が背景にあるからこそ自然と納得できるその爽やかさと有能ぶりが光るアニメライクな熱血的主人公像も平凡ながらも説得力があって良かったと思ったし、コメディのテイストもメリハリがついており、くどさがなく、旨味が凝縮された密度の濃い1話が完成されていたと思う。とりあえず掴みはOKだったのではないだろうか。

ただ、今回は魔王(真奥貞夫)とその部下アルシエル(芦屋四郎)の、世界と自分たちの存在との関係性に対する戸惑いと掛け合い漫才のようなやりとりがメインだったが、中盤の時点でもう既に主人公たちは庶民としての生活に馴染みきってしまったので、これからどう話を展開させていくのか。
まだあまり女性キャラクターが前面に出てきていなかったが、どうも勇者エミリアは女性で、同じく日本に飛んできた彼女とのドタバタ劇こそが本作のウリであるようなので、次回以降、ベタなハーレムアニメの路線に舵を切られていくかもしれないが、その時、どうなるか、真価が問われるだろう。
                 
    
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