軍師官兵衛 第50回「乱世ここに終わる」 (ドラマ)

                 
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関ヶ原の戦いは長政(松坂桃李)の活躍で家康(寺尾聰)が勝利した。そのころ如水(岡田准一)は天下を狙って九州の大半を手にしたが、天下分け目の決戦が一日で終わり、その夢は破れる。三成(田中圭)は謀反人として捕えられ、長政は筑前52万石の太守となる。如水は大坂で天下人となった家康と対じ、その志の高さに触れ潔く負けを認める。新たに築城した福岡で如水は静かな晩年を過ごし、やがて戦国乱世は最後の瞬間を迎える。

・軍師官兵衛最終回。現実世界では衆議院選挙と最終回が被ってしまって果たしてどうなることかとファンから心配されたものの、1週間延長されて放送。視聴率もまずまずだったようだ。ドラマの世界でも官兵衛は三成と家康の天下分け目の合戦が長引くと踏んで乗り出した九州平定が順調に進み、意気揚々であったが、その関が原がまさかの1日で終わってしまうという事態にあっけなく天下への夢は潰えてしまう。

・しかし、こんなに生き生きとして悪っぽい官兵衛を見たのは中国大返し以来とも言えるし、信長や秀吉になろうとするだけに、迫力や威圧感などはかつてを超え、今までにない黒田如水というキャラクターが完成されていた。これが最終話で、あっさり終わってしまうのが本当に残念。

・負けたことは悔しいが勝負に出られたことは本望だったと、天下への野心をむき出しにした官兵衛の気持ちを敗者としてみすぼらしい姿になった三成が散り際に代弁する形がとられていて、それがなかなか趣があって良かったと思うし、いつか石田三成や明智光秀の大河ドラマをと期待してしまうほどであった。

・全体的にちょっとあっさりしすぎていたり間延びした部分があり、そこを演出するならもっと描きこむところがあるだろと突っ込みたくなるところが目立ったのが気になったが、終わってみればなかなか良いシリーズだったのではないかと思う。初めの方はいまいちな印象だったが、メジャーな武将が次々と登場する中で、官兵衛がそれらと「軍師」としてどのように関わっていくかという独特の視点とシチュエーションが提供され始めてからはどんどん面白くなっていき、個人的にもかなり盛り上がることができた。

・官兵衛の死後の、大阪夏の陣による淀殿と秀頼の最期がちゃっかり描かれていた。制作側が意図していたのかどうかはわからないが、再来年の大河の真田幸村主人公の『真田丸』(三谷幸喜脚本)もここが最終回なのだろう、そこではどのように描かれるのだろうかという思いを馳せた。そう、官兵衛は終わっても、人間が紡ぐ歴史ドラマは続くのだ。
                 
        

軍師官兵衛 第49回「如水最後の勝負」 (ドラマ)

                 
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如水(岡田准一)はひそかに天下取りの野望を抱き九州平定に乗り出した。黒田勢は三成(田中圭)によって九州に送り込まれた大友勢と激突、九郎右衛門(高橋一生)の活躍で敵の猛将、吉弘統幸(的場浩司)を討ち取り大勝利、九州を席けんしていく。一方、家康(寺尾聰)と三成、東西両軍激突の瞬間が近づいていた。長政(松坂桃李)の調略が功を奏し西軍は内部分裂状態。形勢挽回を図る三成は関ヶ原に兵を集め家康に一大決戦を挑む

・いよいよ始まる天下分け目の関ヶ原。三成は官兵衛と家康に対するコンプレックスをむき出しにしながら、必死に勝利をもぎ取りにいく。

・一方、こちらも天下取りの野心に目覚めた官兵衛は三成と家康が潰し合う隙にと九州平定に乗り出す。平和な世の中を目指していた官兵衛だったが、隠居した時に退屈そうにあくびをしたことからもわかるが、やはり生来の戦好きのようで、合戦が始まると、血がたぎり、途端に表情が生き生きしだすのが面白い。このあたりの人間の矛盾が皮肉としても形成されている。

・三成と大谷吉継の関係や、九郎右衛門と吉弘統幸のドラマなど、今まで描かれてこなかったそれぞれの絆をいきなりパッと出して強引に盛り上げる材料にしているのは視聴者を置き去りにしている感はあったし、もうちょっとやりようがあったのではないかというところで勿体なさを感じた。
                 
        

軍師官兵衛 第48回「天下動乱」 (ドラマ)

                 
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家康(寺尾聰)打倒をかかげ挙兵した三成(田中圭)は大坂城に入り、東軍諸将の妻子を城内に集めるよう命じる。光(中谷美紀)と栄(吉本実憂)は善助(濱田岳)、太兵衛(速水もこみち)の手によって決死の大坂脱出を試みる。一方、長政は豊臣恩顧の武将たちを東軍に取り込むため調略に動きだす。そんな中、如水(岡田准一)は九州中津で瞬く間に九千ものろう人兵を雇い入れ天下を驚かせる。ついに天下を狙った大勝負の幕が上がる

・思惑通りに始まった三成と家康の潰し合いにほくそ笑む官兵衛。完全に漁夫の利が得られるつもりでいるところが、安国寺恵瓊並に見てて物悲しさがある。

・ストーリーとしては、光と栄が三成に人質にとられそうになるところを善助たちの手によって救われる場面がメインに描写されている。本作のシリーズは、軍師としての官兵衛が暗躍する裏舞台へのこだわりから、派手な合戦シーンよりも派手な合戦シーンが描かれるまでに至る調略などで既に勝負は決しているというコンセプトの作りになっているが、最後の最後までそれに徹しているところにらしさを感じた。ただ、その割に奥深さ、味わい深さがあるかといえば、そうでもないあっさりしたものなので、そのあたりの描き込みの弱さが気になるところも本作のシリーズらしさだろうか。
                 
        

軍師官兵衛 第47回「如水謀(はか)る」 (ドラマ)

                 
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家康(寺尾聰)によって隠居に追い込まれた三成(田中圭)は反撃の機会をうかがう。対して、如水(岡田准一)は天下へ名乗りを上げるべく、ひそかに形勢を探り始める。家康は黒田と関係強化を狙い、長政(松坂桃李)に養女の栄(吉本実憂)との縁談を持ちかける。家康を天下人に押し上げると覚悟を決めた長政は糸(高畑充希)に離縁を告げる。家康は上杉を討つため出陣。大坂が空になり、ついに三成が挙兵、如水も出陣を決意する。

・儂は我が道を征く。ああ、官兵衛様格好いい。しかし、官兵衛が見立てた通りの予定調和的な展開にしているが、結局家康に上を行かれることを考えると、却って官兵衛の小物感がここに来て際立ってしまっているように思う。

・対照的に必死にあがこうとする三成の姿が個人的には好印象。一応、善政を敷いた人ということになっているそうなので、これを機会にもっと三成の魅力を全面に押し出した演出があっても良かったのではないだろうか。どうしても官兵衛の野心を悪く映したくないからなのか、三成の魅力は出せるところでも露出が抑えられていて、そのへんのもどかしさも官兵衛の姿を褪せたものにしてしまっている。

・作品序盤で官兵衛としのぎを削ったあの食わせ物の安国寺恵瓊が自分が勝ち馬乗りに間違えたことはないと自信満々に毛利を背負って三成側につくことを決めるのには泣いた。ま、まあ、西軍有利だったのは間違いないらしいから……。このあたりは小早川隆景の存在に思いを馳せることが出来る演出にもなっており、小早川隆景の存在の偉大さがこっそり強調されているのは面白かった。
                 
        

軍師官兵衛 第46回「家康動く」 (ドラマ)

                 
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秀吉(竹中直人)の死により、長政(松坂桃李)らを取り込んだ家康(寺尾聰)と、大老・前田利家(横内正)と結ぶ三成(田中圭)との権力闘争が始まる。家康は秀吉の遺言を次々と破り三成を挑発、天下への野心をあらわにする。如水(岡田准一)は一触即発の事態の収拾を図るが、淀(二階堂ふみ)とおね(黒木瞳)の亀裂も決定的となり、利家の死で均衡は崩れ、家康派の武将による三成襲撃事件が勃発。如水は家康の行動の真意を悟る

・天下を手中に収めんと動き出す家康は、合戦を起こすために三成を挑発する。それに対して三成も家康の野望を阻止しようと兵を挙げることを考え、頼みの綱である前田利家に打診するが、そこに官兵衛(如水)が現れ、前田利家が諭されてしまう。しかし、そうこうしているうちに高齢で体調の思わしくなかった前田利家が死ぬと、家中の均衡は崩れ、三成を嫌う家康派の武将に三成は襲われることとなる。

・今まで小悪党の一面しか覗かせてこなかった三成が百戦錬磨の家康の野望を阻止しようとちょっと主人公な顔つきを見せるところが面白い。そして、家康とは生きた年の数であり、経験が違うのか、それとも生来の器の差か、三成は結局家康の手のひらの上で踊っているに過ぎないと、三成をキレ者に描写しつつも、老人には敵わない若者の儚さが視聴者にわかりやく演出されているのが巧い。

・それは、官兵衛の息子である長政についても同様で、というところは奥行きを演出しつつも、やはり長政の魅力(威厳)をちょっと削いでしまっており、このあたりもいつまでも官兵衛に及ばない青二才という域から抜け出せないのがかわいそうな程であった。

・一方、その官兵衛は、天下泰平の世を築くためにとうとう自分が天下取りに名乗りをあげることを決める。しかし、それは今まで野心を抱き続け、長いこと雌伏していた家康に比べると準備の期間も含めて、時すでに遅しではあったのだが……。
                 
        

軍師官兵衛 第45回「秀吉の最期」 (ドラマ)

                 
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父・如水(岡田准一)と兄・長政(松坂桃李)の後を追い、船で朝鮮へ向かった熊之助(今井悠貴)は行方不明となり、出発を目撃しながら制止しなかった糸(高畑充希)は罪悪感を募らせる。死期が近づいた秀吉(竹中直人)は、豊臣家の先行きを憂い、如水を朝鮮から呼び戻し、秀頼らの行く末を託すが、如水は意外な答えを口にする。一方、淀(二階堂ふみ)と三成(田中圭)は天下をうかがう家康(寺尾聰)への警戒を強める。

・秀吉と官兵衛の最後のやりとりが演出されている。秀吉が保守的になったあまりの己の酷い行いと官兵衛の期待するような天下人になれなかったことを懺悔するシーンは官兵衛を通して視聴者に向けられており、竹中直人秀吉に対して擁護的に繕っている。個人的には良かった時の反芻を続けて同情を引こうとするところを含めて、どこまでも老人の戯言にしか映らなかったが、官兵衛と秀吉のこれまで描かれた付き合いを踏まえると、それでも自然と感慨深いものがこみ上げてくるのだからドラマであり絆というものはすごいものだ。

・秀吉から豊臣(秀頼)のことを頼まれた秀吉に官兵衛が自身の野心を否定せずに、天下人はそれにふさわしい人間がなるものだとはっきり言い切ったところは良かったと思う。

・今回の話で朝鮮に向かう途中の船の転覆がしたことで熊之助が死んでしまい、光(中谷美紀)がそれを受け入れられないでいるのを官兵衛が受け入れろと叱るシーンがあるが、これは秀吉の死を冷静に受け入れているようで実は官兵衛自身もまだ整理しきれていないところがあるという心境への比喩的な演出になっているのもなかなか粋であった。

・秀吉が死んだことで、天下取りへの野心を剥き出しにし、策動を始める家康。この家康の狸っぷりを寺尾聰の今までなかなか開いてなかった右目がカッと覚醒したかのように見開くという演技(演出)によって表現している。前も書いたが、自分はあまりこの障害を利用した演技であり比喩演出をあまり評価していない。どこまでも真摯な官兵衛とどれが真かわからない家康という存在の対比にもなっているのだろうけども、不具者の官兵衛が築いてきたこのドラマのある面をスポイルしてしまっているようにも思う。目が開くとか開かないとかいうそれそのものにケチをつけるつもりはないのだが、あちこちで繊細なまでに配慮が巡らされたこのドラマで、それはいいのかというのが気にはなってしまう。
                 
        

軍師官兵衛 第44回「落ちゆく巨星」 (ドラマ)

                 
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秀吉(竹中直人)に男子・拾(後の秀頼)が生まれ、生母・淀(二階堂ふみ)と三成(田中圭)は拾を豊臣家の跡継ぎにすべく暗躍。邪魔者と化した関白・秀次(中尾明慶)は切腹に追い込まれる。秀吉の死期が近いことを悟った如水(岡田准一)は、再度の朝鮮出兵を宣言した秀吉の側に仕え、その暴走を押さえこむ道を選ぶ。如水、長政(松坂桃李)より朝鮮出陣を止められた次男・熊之助(今井悠貴)は思わぬ行動に出て、悲劇を招く。

・最近の軍師官兵衛は登場人物それぞれの思惑の絡み合いが緊迫感を演出していて面白かったのだけど、今回は久々につまらない回だった。前回、隠居した官兵衛が退屈そうにあくびをするシーンがあったが、老いた秀吉との対立を止め、最期が迫る彼を見守るというスタンスに変えたことで視聴者があくびをする羽目に。話の展開も今回はマンネリ気味。

・見どころは、老いてその生命を枯らす秀吉を竹中直人が前回までとは違うトーンで見事に演じきっているところと、鶴見辰吾演じる小早川隆景と官兵衛の別れのシーン。小早川隆景、いい味出してました。

・自分は官兵衛ファンが言うほど寺尾聰の演じる家康の右目が開かれるシーンの演技(演出)はあまり評価していない。長生きはするもんじゃのセリフは良かったと思うけど。
                 
        

軍師官兵衛 第43回「如水(じょすい)誕生」 (ドラマ)

                 
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三成(田中圭)のわなにかかり秀吉(竹中直人)のげきりんに触れた官兵衛(岡田准一)は、てい髪し如水円清と名乗って秀吉の許しを請う。おね(黒木瞳)からの助命嘆願や淀(二階堂ふみ)が新たな世継ぎ・拾(後の秀頼)を産んだこともあり、何とか切腹を免れた如水は隠居を宣言。一方秀吉は実子を得たことで関白の座をおいの秀次(中尾明慶)に譲ったことを後悔し両者にあつれきが生じる。秀次を危ぶんだおねは如水に助けを求める

・官兵衛、三成の罠にかかり、秀吉に殺されそうになる。意地を貫いて切腹することも考えたが、そう簡単に死ぬわけにはいかないと剃髪し名を如水と改めた官兵衛は、秀吉に土下座をして許しを請う。プライドを守るよりも生き続けること、命を守ることこそが何よりも大事なのだという官兵衛の姿勢そのものが秀吉という天下人であり戦国時代の象徴に対するアンチテーゼとなっており、このドラマの大きなテーマに繋がっている。その容貌といい、死生観を湛えている哲学と生への執着を剥き出しにするところなどは、まるで荒木村重が乗り移ったかのようであったのも趣深い。

・このドラマ、とにかく石田三成が嫌われる理由をすごくわかりやすい単純な描写でもってこれでもかとアピールしているのだが、個人的には常に陰険であることを貫き、老いてこらえ性のなくなった秀吉をうまくコントロールしてみせたりと石田三成のほうが軍師らしく映るから不思議ではある。

・その一方で、官兵衛とは対照的な三成にある小物感が秀吉に自身の天下を脅かさない存在であるという安心感を与え、信頼を置かれる要因になっているのが皮肉的ならば、三成が豊臣の天下を脅かす一番の存在に歴史の流れの中でされていくのもまたそうであった。

・秀頼が産まれたことで淀や三成の策動が更に蠢きだすという形で、秀吉が関白の座を譲った甥の秀次を次第に疎ましく思うよになるという展開になっていたが、本当にどこまでも三成と淀を悪者に仕立てあげようとしているのは苦笑してしまった。こんなに嫌なキャラクターを精一杯作っているのに、淀殿についていえば、このドラマでは大阪夏の陣が描かれないかと思うと少し残念な気がしてくるのだから面白い。
                 
        

軍師官兵衛 第42回「太閤の野望」 (ドラマ)

                 
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秀吉(竹中直人)は諸大名に渡海しての出兵を命じ、自らは官兵衛(岡田准一)に築かせた肥前名護屋城に陣取った。関白の座を譲り太閤と称する天下人・秀吉を止められる者はもはや誰もおらず、官兵衛や長政(松坂桃李)も朝鮮へと出陣する。破竹の勢いで半島を進撃した日本の軍勢だったが、次第に戦況は悪化、官兵衛は首都を死守せよとの秀吉の命を無視し全軍の撤退を提案。そんな中、淀(二階堂ふみ)は再び秀吉の子を身ごもる。

・いよいよ朝鮮出兵が描かれる。耄碌した老人(秀吉)に振り回される若者達と日本国という構図を用いながら、朝鮮半島への侵略に対してかなり批判的ではあったものの、とりあえずはよくぞここまで踏み込んだと個人的には賞賛したいところ。

・少年漫画のスポーツ物なんかではありがちだが、国内編が終わったら次は世界だと、国内編で戦ったライバル達が結集して出来た日本のオールスターチームの進撃が世界の壁に簡単に阻まれてしまう。兵站や指揮系統の乱れによる戦況悪化は如何に他国(海外)を侵略・支配するということが難しいかを伝えていたように思う。

・朝鮮では武断派と文治派の対立も描かれ、更に官兵衛と三成の衝突も激しくなりこのへんがヒートアップしてくる。官兵衛は三成に陥れられる形で秀吉の怒りを買うことになるのだが、三成が悪役に描かれるだけでなく、対照的に官兵衛を必要以上に出来た人間として良く描き過ぎており、過剰な演出がやや鼻につくところはあった。この今までありえなかった極端な描写の仕方、NHKサイドには朝鮮戦争を悪いこととするために秀吉と三成をここまで貶めなければならない事情があるのだろうか。と勘ぐってしまう。

・小西行長、朝鮮からの使者がやって来た時に秀吉に交渉がうまくいっているように嘘をついて最後には官兵衛に泣きついたくせに、官兵衛が秀吉を謀って和睦することを決めるとそれはありえないというようなリアクション。視聴者のほうがありえないとツッコミを入れたことだろう。

・淀殿は再び秀吉の子を身ごもることに成功する。実はこの子供が本当に秀吉の子供なのか、実は三成の子供じゃないかという思わせぶりな演出もあるのだが、それはともかく、子供を産むことが女としての戦と覚悟を決めて語る彼女の姿があって、その三成と並んで嫌味な女というキャラクターは、生きるために、そして男の世界でのし上がるために、好きでもない男に抱かれ続けないといけない女の性と悲哀を背負いこんで構築されたものによるもののように感じられた。
                 
        

軍師官兵衛 第41回「男たちの覚悟」 (ドラマ)

                 
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官兵衛(岡田准一)の活躍で秀吉(竹中直人)は、ついに天下を統一するが、大陸への進出という新たな野望をむき出しにし、官兵衛の説得も拒否、おね(黒木瞳)を困惑させる。利休(伊武雅刀)が厳しい言葉で諫めたところ秀吉の怒りを買い、三成(田中圭)の策謀もあって切腹を申しつけられる。官兵衛は利休を救おうと奔走するが、利休は謝罪を拒み死を選ぶ。そんな中、秀吉最愛の嫡男・鶴松が重い病にかかり事態は急展開する。

・ついに天下統一を果たした秀吉。官兵衛の待ち望んだ天下泰平の世がとうとう訪れるかと思いきや、秀吉の野望はこれで尽きることはなかった。以前に官兵衛に話していた中国大陸の明へと進出する考えは本気だったのである。官兵衛は無謀であると説得を試みるが、口うるさい官兵衛をやかましく思うばかりで秀吉は耳を貸そうとしない。

・それまで秀吉のブレーキ役を担っていたという秀長が死に、官兵衛の代わりに自分の命を賭して秀吉の説得に当たった利休が切腹させられ、秀吉の暴走を止めることが出来るのはもはや官兵衛ただ一人という状況に追い込まれる。このあたりはお約束の展開でもあったが、ここ最近の回は軍師として主君を支えることの苦渋が溢れるほどの緊迫感に包まれて描写されており、本当に面白い。

・官兵衛のことを疎ましく思う面もある秀吉。これに付け入るように秀吉に対して甘言を弄するのが三成で、前回まではまだ秀吉の器の大きさの前に三成も茶々も術中に嵌めて手のひらに載せるどころか、逆に秀吉の知略と威圧感に怯んでしまっているところすらあったが、今回ではもう完全に三成が主導権を握ったような展開になっていた。その象徴が、鶴松と遊んでいた時に流れで淀殿が秀吉の尻叩いてみせるシーンだろう。天下の太閤殿下に唯一無礼が許される存在として強烈に視聴者を印象づけていた。

・しかし、溺愛していた世継ぎの鶴松が病気でわずか3歳で亡くなると秀吉と淀殿はひどく嘆き悲しむ。特に秀吉のやつれ具合は異常なほどで、全てを失った後のようなその姿は天下人のそれではなかった。そこに官兵衛が現れて励ましを兼ねて喝を入れると秀吉は開き直って再び駆け始めるのだが、秀吉はもう官兵衛が忠義を尽くしたかつての秀吉ではなかった。太閤秀吉、中国大陸進出への足がかりとして朝鮮への出兵を決める。

・官兵衛の心境を代弁するかのように終始豊臣に対して呆れたような冷めた表情をしつづけたのが長政で、このへんも関ヶ原への伏線にもなっているというのが伝わってくる。朝鮮出兵に積極的な秀吉に対して消極的な官兵衛が主人公であるからこそ出来る、21世紀の現代日本を取り巻く環境と重ねた、なかなか含みのある官兵衛の平和への想いが主張されていて、賛否はあるだろうが、なかなか趣きのある演出に感じた。
                 
        

軍師官兵衛 第40回「小田原の落日」 (ドラマ)

                 
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秀吉(竹中直人)待望の実子・鶴松を産んだ淀(二階堂ふみ)の権勢は、正室のおね(黒木瞳)をしのぐまでに高まり、三成(田中圭)は淀と結託し、自らの権力を確固たるものにしようと謀る。そんな中、天下統一を阻む最後の大敵、小田原の北条攻めが始まるが、官兵衛(岡田准一)が三成の策に異を唱えたことから二人は激しく対立する。包囲が長引く中、官兵衛は単身、城に乗り込み戦なき世を実現するため降伏するよう北条氏に迫る。

・子どもを産んだことで北政所に対してますます勝ち誇ったように振る舞う淀。二人の女性の間の緊張感は今回も健在。

・女の間に散る火花を官兵衛と三成が代理戦争のような形で請け負い、露骨に対決姿勢を取り始める。

・秀吉は官兵衛とおねへの愛着と敬意を表しながらも、一方で自分の子を産んだ淀と淀の心を自分に傾けさせることに尽力した新たな軍師三成への信頼感の間で激しく揺れ動く。

・三成について、秀吉から官兵衛以上の絶対の信頼を得るために自身のコンプレックスに堂々と向き合っていく姿が描かれることで、石田三成という存在に陰影がつき、キャラクターに奥行きが演出されているのが良かった。

・全体としては小田原攻めが主に描写されているのだが、官兵衛が小田原城に和睦の交渉のために単身乗り込んでいくところは第一話の冒頭のシーンに使われていたもの。あの時は、降り注ぐ矢の雨が避けようともしない官兵衛を勝手に逸れていき、かすり傷程度で済んだ主人公補正の安っぽいナルシズムが伝わる演出に苦笑してしまったものだが、今見ると、これは官兵衛の生き様と覚悟、そしてこれまでの道程を象徴的に表したシーンだということがありありとわかり、感慨深いものに映るのだから物語とは不思議なものだと唸らされた。

・交渉で北条を降伏させることに成功した官兵衛だったが、その間に秀吉は三成と共に北条を潰すことをちゃっかりと画策しており、北条にした二ヶ国安堵の約束を反故にすると言い出す。衝撃を受ける官兵衛。これは九州の宇都宮のパターン。

・三成の敵愾心による官兵衛封じの策であることが映像から伝わってくるが、これまでの話の流れから分かるように秀吉は単に三成の口車に乗ったのではなく、彼自身の中に拭い切れない官兵衛への警戒感と自分が死んだ後の豊臣家への不安が強く存在していることが分かる。
                 
        

軍師官兵衛 第39回「後を継ぐ者」 (ドラマ)

                 
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官兵衛(岡田准一)は家康(寺尾聰)から、秀吉(竹中直人)が「次の天下人」として自分を警戒していると聞きがく然とする。疑念を解くため長政(松坂桃李)に家督を譲ると申し出るが、秀吉は認めてくれない。そんな中、茶々(二階堂ふみ)が懐妊。実子がいなかった秀吉は大喜びするが、茶々に夢中なことを風刺した落書に激怒し、疑わしき者を次々と処刑する。秀吉の暴走を止めるため、おね(黒木瞳)は官兵衛に説得を依頼する。

・利休の仲介によって家康と対面することになった官兵衛。秀吉が御伽衆に対して次の天下人は官兵衛だと話しているということを家康から聞かされた官兵衛は、自分に野心がないことを示すために隠居することを決める。しかし、秀吉はそれを許さない。その才知縦横ぶりを警戒する一方で、秀吉の中では官兵衛は替えが利かない大きな存在だった。

・その証明にと、天下人の座はかくも人を狂わせるのかとおねが嘆くほど日に日に加速していく秀吉の暴走を官兵衛が見事に諌めてみせるシーンが描写される。官兵衛の凄みが演出されていたシーンだが、一方でそんな官兵衛に対して秀吉はまだ耳を傾ける余裕があり、また信頼があることも描写されている。

・狂気に取り憑かれる秀吉を竹中直人が活き活きと演じており、まさに竹中直人劇場が続く軍師官兵衛。石田三成と茶々の嫌味ったらしさがその濃厚な演技の見事な引き立て役として加わっており、もう絶対に豊臣の天下は長く続かないということをすごくわかりやすい構図で視聴者に対して伝えているが、秀吉については迫る別れの時に備えて官兵衛との絆をうまいタイミングで挿入していた。

・子どもが出来たことでおねに対して勝ち誇ったような態度をとる茶々とますます複雑な表情みせるようになる北政所(おね)。二人の女のやりとりもどこか狂気じみてきて、今後の話にこの二人の関係がどう影響していくのかが気になる。

・三成と茶々をベタな悪役に押し込める流れに拍車をかけるエピソードばかりだが、この二人の存在に対してはこれからの話のなかでどう奥行きを持たせていくつもりなのか。あるいは、このままチンケな男と女という見せ方で終えてしまうのか。
                 
        

軍師官兵衛 第38回「追い込まれる軍師」 (ドラマ)

                 
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秀吉(竹中直人)からの宇都宮討伐の命令を長政(松坂桃李)が実行したと知った官兵衛(岡田准一)は苦渋の末、鎮房の嫡男朝房(橋本淳)の処遇を決断、実行する。一方、光(中谷美紀)は鎮房の娘・鶴(市川由衣)を救うよう長政に迫る。何とか黒田家の存続はかなったものの、秀吉は官兵衛に対する警戒心を強めて行く。そして大坂城を訪れた家康(寺尾聰)とついに初の対面を果たした官兵衛は、その場で衝撃の事実を教えられる。

・官兵衛に断りなく、長政は独断で宇都宮とその一派を謀殺する。これを聞いた秀吉は長政が自分を裏切るわけがないと大喜び。おねもちゃっかり黒田長政と福島正則と加藤清正は私が育てた子どもですとアピール。このアピールは勿論茶々との確執にも重ねられているし、後の鎮房の娘、鶴を助ける光達、女の戦いにも繋げられている。

・一方、官兵衛も苦渋の末、黒田家存続のために鎮房の嫡男である朝房を処断することを決める。かつて竹中半兵衛が信長を謀って長政(松寿丸)を匿ったというエピソードはここらへんに掛かっていて、同じように官兵衛も命を助ける展開なのかなと思いきや、結局最後は殺しちゃいましたね。

・ただ、鎮房の娘の鶴については、光を始めとした城の女達の強い覚悟と行動力によって助けられることになる。このあたりは官兵衛が村重に幽閉されていた時に命を賭して助けようとしただしの姿を思い起こさせ、更に言えば、男には出来ないことでも女ならできる事もあるというメッセージにもなっていて、相変わらずのこのドラマらしさでもあった。
                 
        

軍師官兵衛 第37回「城井谷(きいだに)の悲劇」 (ドラマ)

                 
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長政(松坂桃李)は一揆を起こした宇都宮鎮房(村田雄浩)のわなにはまった。多くの家臣を失い討ち死に寸前のところを命からがら帰還、官兵衛(岡田准一)に叱責される。各地の一揆を鎮圧した官兵衛は、宇都宮家と和睦、平和共存を図る。人質としてやってきた鎮房の娘・お鶴(市川由衣)も次第に黒田になじんでゆく。しかし秀吉(竹中直人)は宇都宮の討伐を厳命、従わねば黒田家を滅ぼすとどう喝、官兵衛は次第に追いつめられる。

・一揆を起こした宇都宮に対して打って出た長政だったが、罠にはまり大敗を喫してしまう。官兵衛は不甲斐ない長政を叱責すると、調略によって宇都宮鎮房を従わせるところまで息子を導いてみせる。

・だが、秀吉は宇都宮鎮房の首をはねるように官兵衛に厳命を言い渡す。従わねば黒田家の存続が危うい状況となり、官兵衛は黒田が生き残る道を考えることとなる。

・終始、空気が張り詰めていてスリルに溢れる面白い回だった。逆らうものには容赦をしなかった信長やそれに重ねるように自らの姿を大きく見せようと必死になる秀吉とは一線を画そうとしつつも、非情な現実と向き合うために厳しい一面を覗かせなければならない官兵衛の苦悩に満ちた描写の仕方も良かったとは思う。

・石田三成が、視聴者に向かってわざと苛立たせようとしているのではないかと思えるほどの癇に障る話し方をするなど、存在自体が今後の展開の伏線になっているのも興味深い。

・あくまで官兵衛は受け身で、人の野心に振り回される立場は貫かれていたが、秀吉との確執から官兵衛自身の中の野心が燃え上がってくるようだとまたこれからの展開に奥行きが出来そうで、楽しみになってくるのではあるが……。
                 
        

軍師官兵衛 第36回「試練の新天地」 (ドラマ)

                 
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秀吉(竹中直人)からキリスト教信仰を捨てよと命じられた右近(生田斗真)は、身分や領土など全てを投げうち信仰に生きることを決意、官兵衛(岡田准一)に別れを告げる。一方、黒田家は新たに豊前に領地を与えられ播磨から九州に移り住むが、秀吉からの本領安堵の約束を破られ、追い出された宇都宮鎮房(村田雄浩)が激しく反発、一揆を起こす。官兵衛は宇都宮との戦を禁じるが、長政(松坂桃李)は敵の誘いに乗り出陣する。

・秀吉のバテレン追放令により、キリスト教を捨てることになる官兵衛。一方、高山右近は信仰を捨てることが出来ず、秀吉に追放されてしまう。右近の不器用な生き方と官兵衛を対照的に描写することで、官兵衛の世渡りの上手さをドラマの雰囲気を壊さない程度にさりげなく演出するエピソードにもなっている。

・しかし、その官兵衛は既に秀吉から自分の天下を脅かすと警戒される存在になってしまっており、九州への国替えも秀吉が官兵衛を遠ざけるためであったかのように描かれていた。九州征伐の際、官兵衛が必死の思いで調略した宇都宮鎮房との間の本領安堵という約束を秀吉は破り、わざわざ官兵衛が結果的に追い出しかのように仕向けたことといい、秀吉のいやらしさとしたたかさが存分に滲み出ている回であった。

・先祖代々守ってきた土地を追い出されることに納得がいかず、とうとう一揆を起こす宇都宮鎮房。この宇都宮鎮房の心情を国替えで播磨から離れることになった光とその侍女たちが代弁するかのように、播磨の地から離れることへの葛藤とささやかな抵抗が切なげに描かれていた。

・秀吉の求愛を受け入れることにした茶々は自分がただの側室ではなく、もう一人の正室であることを公にすることを条件に秀吉の側室となる。これはおねが絡んで、昼ドラっぽくなるかと思いきや、今回はそうでもなかった。秀吉が魔性に取り憑かれていったように、おねも秀吉の立場と態度の変化に影響されて違う表情を見せるようになるという演出が少しあっても良いかなとは思うのだが、子どもができないおねを最後まで出来た人として描き続けることで、視聴者として現代に生きる同じ悩みを持つ女性を励まそうとしているのかもしれない。
                 
        

軍師官兵衛 第35回「秀吉のたくらみ」 (ドラマ)

                 
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遂に家康(寺尾聰)が秀吉(竹中直人)に帰順、東の脅威がなくなった秀吉の九州出陣が決定した。九州に先乗りしていた官兵衛(岡田准一)は、豊前の領主・宇都宮鎮房(村田雄浩)に本領安堵を約束し、味方につける。出陣した秀吉は九州でキリシタンが大きな力を持つことを知り警戒を強め、信徒である右近(生田斗真)や官兵衛の不安が高まる。一方、茶々(二階堂ふみ)が秀吉の求愛を受け入れると言い出し、秀吉は大喜びする。

・とうとう茶々が秀吉の求愛を受け入れる。大喜びの秀吉と戸惑う気持ちを隠しながら正室として凛と振る舞うおね。強い男が好きと言う茶々に信長の血を見出す秀吉だったが、これは視聴者である我々からも、茶々役の二階堂ふみのきつめの目つきが眼光の鋭さを演出しており、信長の面影を見出すことが出来るようになっているのはなかなか面白かった。

・自ら出陣して大軍を率いることで九州平定を成した秀吉は、降伏してきた島津に対して本領安堵を約束するなど官兵衛の進言に従い、寛大な態度を見せる。この時は殿下はまだ変わっていないと安堵した官兵衛だったが、しかし、秀吉はキリシタンが大きな影響力を持つことを警戒し、彼らの追放を考えるようになる。この一連の流れに、例によって妾を沢山抱える秀吉とキリスト教の教えが合わないといった前半パートの茶々とおねとのシーンに重ね合わせて、秀吉の「酷い」変貌ぶりとして際立たせているところが相変わらずこのドラマらしい構成の仕方ではあった。

・キリスト教に関わるパートは、秀吉が一方的に悪く描かれていて、その結果、官兵衛との間に溝が深まっていたが、このへんはドラマでは描かれなかった点として日本人が奴隷として売られるという人身売買などの背景もあったという説もあるので、天下人としての秀吉の言い分というものがもうちょっと挟んであったも良かったのかなという気はする。一応、一向一揆を例に出し、かつて織田家が大変に苦しめられた宗教による固い結束は厄介であるという回想が存在するが……。
                 
        

軍師官兵衛 第34回「九州出陣」 (ドラマ)

                 
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秀吉(竹中直人)は大友宗麟(上條恒彦)の願いを受け九州攻めを宣言、東の脅威を取り除くため、家康(寺尾聰)の封じ込めを図る。秀吉に先立ち官兵衛(岡田准一)が先ぽうとして西に向かい、毛利勢を加え九州に乗り込もうとするが、小早川隆景(鶴見辰吾)はなぜか腰が重い。隆景の兄・吉川元春(吉見一豊)が長年の宿敵、秀吉に臣従することを快く思わず、出兵を拒んでいたのだ。そこで官兵衛は元春を動かすため、勝負に出る。

・秀吉は家康を懐柔するために自身の妹を嫁がせ、更には実の母親を人質に差し出す。そこまでしてやっと手に入れた家康の「忠誠」。三成とは明らかに器の違いを感じさせる秀吉にひれ伏す格好を取りつつも不敵である家康のその姿が絵面だけで既に伏線的になっているのは面白かった。

・大友宗麟からの頼みという名目で豊臣に従わない島津を成敗することを決めた秀吉。その先鋒として官兵衛は毛利と共に九州を攻めることになる。この毛利が、秀吉に対して快く思わない吉川元春の出兵拒否によって揺れていたのだが、官兵衛の説得によって最後は元春も病の体を押して九州に出陣、そのまま果てる。今まで毛利は悪役としてあまり良く描かれていなかったのだが、ここでちょっと格好よく描いてフォローを入れたのかなという感じでもあった。
                 
        

軍師官兵衛 第33回「傷だらけの魂」 (ドラマ)

                 
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秀吉(竹中直人)は関白となり、更に姓を豊臣に改める。秀吉のお伽衆、道薫(田中哲司)と亡き妻「だし」との幼い息子を見つけた官兵衛(岡田准一)は親子を引き合わせるが道薫は逃げる。茶々(二階堂ふみ)の望みで城を捨て逃げた過去の話をするよう秀吉に命じられた道薫は居合わせたすべての者を「化け物」と罵り、殺されることを望むが官兵衛に止められる。やがて、官兵衛は右近(生田斗真)の勧めでキリシタンに興味を示す。

・ラスト村重。茶々に興味を示された村重は御伽衆として自身が信長に対して謀反を起こし、官兵衛にしてきたことなどや死生観を話す。更には秀吉や茶々について「化け物」であると捉えているという率直な心境まで吐露すると秀吉の怒りを買ってしまうものの、その村重の考え方と想いは茶々に大きな影響を与えたようでどうやらこれが結果的に秀吉の念願だった側室入りに繋がるという展開が示唆されていた。ポイントはそうであるにも関わらず秀吉は村重に冷たく当たってしまうところで、このあたりの秀吉の変貌ぶりとドラマ的な意味で愚昧に描かれている部分が村重のいう「化け物」ぽさを表していた。

・官兵衛はそんな秀吉と距離を取るようになっていき、癒やしを求めるかのようにキリシタンとなる。

・全体的には村重と、村重とだしの間に生まれた子どもとの親子の再会を感動的に演出しながら、村重の花道を飾ることに力を入れていた回ではあった。
                 
        

軍師官兵衛 第32回「さらば、父よ!」 (ドラマ)

                 
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秀吉(竹中直人)は、官兵衛(岡田准一)の忠告を無視し、小牧・長久手の戦いで家康(寺尾聰)に手痛い敗北を喫する。側近として頭角を現す三成(田中圭)は家康を敵視するが、官兵衛は逆に取り込むよう進言、激しく対立する。一方、黒田家は新たに与えられた播磨・山崎に居を移すが、留守を任された長政(松坂桃李)の厳しさに領民が反発、騒動が勃発する。祖父・職隆(柴田恭兵)は領主としての心構えを説き、長政を改心させる。

・秀吉が石田三成を重宝しだし、口うるさい官兵衛と距離を取るようになっていく。村重の言った通りに権力欲に囚われだし、官兵衛の忠告を無視して徳川を攻めて手痛い敗北を喫するなど精彩を欠くようになる秀吉の姿を官兵衛との距離感だけではなく、おねの嫉妬もどこ吹く風で茶々(淀殿)を側室に迎えることに必死になるなど妻(家庭)を軽視する男の身勝手さにも繋げられており、村重とだしの時などにも思ったが、とてもこのドラマらしいなと感じた。

・この秀吉の対照として官兵衛や官兵衛の父である職隆の言葉に耳を傾け、始めはうまくいかなかった内政が次第に好転し出す長政の姿が描かれていた。

・そして今回、ここまで官兵衛(岡田准一)の青さをいぶし銀の魅力で補っていた職隆がとうとう亡くなってしまう。柴田恭兵、いい親父を演じていた。お疲れ様。
                 
        

軍師官兵衛 第31回「天下人への道」 (ドラマ)

                 
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信長のあだ討ちを果たした秀吉(竹中直人)は、織田家の後継者を決める清洲会議で柴田勝家(近藤芳正)を論破、優位に立つ。
秀吉包囲網を画策する勝家を官兵衛(岡田准一)は各個撃破で孤立させる策に出る。
たまりかねた勝家は賤ヶ岳に出陣、秀吉に決戦を挑む。動乱の中、官兵衛は天下の茶人・千宗易(伊武雅刀)と出会い、その導きで道糞と名乗る村重(田中哲司)と再会する。
そして黒田家では長政(松坂桃李)の縁談が持ち上がる

・超駆け足で清洲会議と賤ヶ岳の戦いが描かれ、先週の光秀に続いて柴田勝家もあっさりと退場。構成や尺の都合があるとはいえ、これでいいのか大河ドラマと言いたくなる程度には勿体無い気がする。

・千宗易登場。演じるのは伊武雅刀。なかなかの胡散臭さと貫禄で寺尾聰よりこちらの方が家康向きの狸っぷりであったように感じた。その千宗易の引き合わせで官兵衛は今は道糞と名乗る村重と再会することになる。官兵衛は視聴者の想いを代弁するように散々村重をなじるが、一切動じない村重。この村重の口からから織田家を乗っ取ろうとしている秀吉も天下人に近づくごとに信長のように人が変わっていくと語られるところに、なかなかの説得力を演出できていた。

・相変わらずのほほんとしている秀吉に対して、野心家の面を隠さなくなった官兵衛の方が随分変わってしまったようにも思うが、村重の口上はそれについての嫌味でもあったのかもしれない。しかしこの作品、重要な出来事についてサラッと流し、それ以外のシーンで人間ドラマを描きながら全体について婉曲的に語ることで総括するという手法ばかりだなあ……。
                 
    
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