響け!ユーフォニアム2 第十三回 はるさきエピローグ (アニメ)

                 
はるさきエピローグ
3年生が引退し、新体制となった吹奏楽部は新しくスタートをきった。
しかし、久美子はひとりモヤモヤとしていて……。
それが何故なのかを考えるうちに、久美子は自身のある想いに気づく。

最終話。全国大会を終え、3年生が引退した吹奏楽部は優子を部長に据えて新たなスタートを切っていた。

エピローグは、あすかがいないことで空虚なものを感じていた久美子とあすかの交流をメインに描かれ、麗奈との関係性がメインではないことが意外ではあったものの、後輩の久美子にとって先輩のあすかはもう一人の自分であり、将来の自分であることを投影しているという哲学的な描写がなされていて、久美子の家庭の事情とあすかのそれを同時進行的にやったのは、二人のシンクロと受け継がれるユーフォニアムというポジションへの伏線であったことが分かる。

そこだけ見れば感動的にも捉えられるのだが、2期全体のドラマとして考えてみると、本当に深刻な部分に触れようとした時に、深くは踏み込まず、肝心なところできっちりとブレーキを踏んで見せるところが、配慮とリアリティのあるようでいて、どこか中途半端なものを感じさせ、綺麗なまとめ方は却って他人行儀のような余所余所しさを生み出していたし、久美子を他人のプライバシーに善意という好奇心の建前で首を突っ込ませる作りにも違和感を覚えるばかりだった。

最終話での演奏と共に回想を流すところもマンネリになっており、別れの時までの時間を大事にしたいはずの久美子の思いに矛盾しているかのような冗長さやもどかしさに寂莫としたものが漂う。
                 
        

響け!ユーフォニアム2 第十二回 さいごのコンクール (アニメ)

                 
さいごのコンクール
ついに明日は吹奏楽コンクール全国大会。吹奏楽部は大会に備えて会場近くの施設に宿泊し、最後の練習を行っていた。その夜、久美子は寝つけず布団を抜け出す……。

全国大会で北宇治高校は持てる力を出し切ったものの銅賞という結果に終わる。甲子園でいえば1回戦負けのようなものだが、これが一番の結果ではなく、まだ伸びしろがあるという未来への可能性を示唆した終わり方でもあった。一方で、3年生にとってはこれで引退となる現実を受け止めて、あすか先輩は悔しいという本音を吐露するが、それでも父親からのメッセージを貰って無邪気に喜んでみせるなど、一応全体としては報われて綺麗にまとめられている。

個人的にはあすか先輩を終始凡庸な人間に演出してみせるところといまいちな結果が結びついているようでもあって、どうにも腑に落ちないまとめられ方に感じたのだけれども、恋愛については一つも成就しておらず、麗奈も滝に対してはっきりと好意を告白したものの玉砕するシーンなどは、作品からのエクスキューズのようでもあり、もしくはこれも綺麗なまとめ方の内の一つのようでもあってなかなか含みを感じさせた。
                 
        

響け!ユーフォニアム2 第十一回 はつこいトランペット (アニメ)

                 
はつこいトランペット
あすかも無事に復帰し、ひと安心な久美子。あとは全国大会に向けて練習するのみのはず……だったが、なぜか麗奈は久美子を避けるようになって!?
困惑する久美子を麗奈は夜の大吉山に連れ出す。

あすかの件が一件落着すると今度は麗奈の番。滝先生に奥さんがいたことを麗奈が知ってしまい、それを黙っていた久美子と麗奈の仲がぎくしゃくしたものになってしまう。ちょっとしたスランプに陥る麗奈の姿を描きつつも、最終的には失恋を乗り越えて自分の真っ直ぐな音を奏でる麗奈の凛としたキャラクターを強調したまとめ方にされていた。

全国大会で金賞を取るというのが滝本人よりも滝の愛した女の人が望んだものだということにショックを受けただろうに、それとは関係なく、自分は滝や滝の奥さんとは違う別の人間として全国大会で金賞を取りたいという覚悟が表れており、吹奏楽をメタファーにした強い組織の形成と維持には強い個人が求められるという現実的なメッセージも多分に含まれ、それが余計に哀愁を誘う。

単純に見れば初恋なんてこんなものというエピソードに過ぎないが、あれだけ真っ直ぐで強い麗奈の思い、当然、滝も気づいているだろう。好きな人の過去が気になるという正直な気持ちと動揺を隠さない麗奈の姿には、過去の恋愛が将来の恋愛相手を苦しめてしまうことを示唆している遣る瀬無い側面もあり、考えさせられる。
                 
        

響け!ユーフォニアム2 第十回 ほうかごオブリガード (アニメ)

                 
ほうかごオブリガード
滝が定めた、あすか復帰の期限が刻一刻と迫っていた。誰よりも全国大会に出たいはずなのに、あすかはそれを決して認めない。諦めようと自分に言い聞かせるようなあすかに姉・麻美子を重ねた久美子は……。

お互い実は相手のことが羨ましかったと話し合って姉との和解を済ますと今度は足早にあすかへ移り、久美子の情熱が物分りの良い振りをして孤立の道を往くあすかを再び吹部に戻すという強引なまとめ方がされている。

久美子の事情を露も知らないあすかが初めは周囲の声を勝手に代弁するかのような綺麗事を突きつける久美子のお節介を振り払うように拒絶していたのに、結局はあっけなく説得されてしまうシーンには尺の都合だとしても、もう少し拘りや溜めを演出して欲しかったは思う。

とはいえ、あすかの部に戻りたいという気持ちを久美子が捉えたものの正体は何だったのか、晴香と香織にはなかった自分を特別視しない姿勢や戻ってきて欲しいという素直な言葉などがあすかの抱えている氷のような深刻さを溶かしたり、あるいは久美子の抱える深刻さが共鳴を齎したのたのだろうか、などと考えさせられる余地は存在していたし、あすかのパートには吹奏楽を止めてしまった姉の後悔などを繋げられており、久美子がそうであって欲しい姉としての姿があすかに投影されている演出についても、含みを感じさせる。
                 
        

響け!ユーフォニアム2 第九回 ひびけ!ユーフォニアム (アニメ)

                 
響けユーフォ
勉強を教えてもらいに、あすかの家へやって来た久美子。
部員たちにも背中を押されて、あすかを復帰させようと説得を試みる久美子に、あすかはなぜ自分がユーフォを始めたのか、部活を続けて来たのかを打ち明ける……。

あすか先輩の「元」父親が実はユーフォニアムの奏者で、あすか先輩によると母親の束縛が嫌になって出ていったのではないかとのこと。父親と会うことを母に許してもらえない環境の下で父親から送られてきたユーフォニアムをあすかはひたすら吹き続けたという話になっているのだが、母親からしてみれば自分のところを出ていった男から送られてきた楽器をあすかが続けることを良く思わなかっただろうし、全国大会の直前になって吹奏楽部を無理やり辞めさせるようとしたことも陽のあたる場所に出ようとする、あるいはそれができる娘の才能や若さへの嫉妬だけでなく、元夫が全国大会の審査員になっていることに気づいて抑えきれないものがこみ上げたことが容易に想像できる。そして、そんな母親の気持ちが分かるから、母親を嫌いながらも母親に従ってしまうあすかの姿がやるせない。

今まで母親から意地悪のように様々なハードルを課せられながらそれをクリアしてみせてストイックにユーフォを吹き続けてきたあすかが初めて見せた我欲、それが全国大会に出て父親に自分の音楽を聞いてもらうことだった。そんなあすかの想いをあくまで阻もうとするのが、母親であり同性の「女」であるというのは比喩的で、あすかもまた香織の見せる女の子らしい「可愛さ」を憎んでいるような、一方ではその可愛らしさを求めているような、愛憎入り交じった一面を覗かせていたが、大きなものを抱えるあすかのどこか周囲から浮いたドライであったりミステリアスな一面は結果として誰より女性性が強調されていた風に映ったのはアレゴリーが込められているようであった。
                 
        

響け!ユーフォニアム2 第八回 かぜひきラプソディー (アニメ)

                 
かぜひきラプソディー 
無事に駅ビルコンサートを成功させた北宇治高校吹奏楽部だったが、あすかが退部する可能性はなくなってはいなかった。一方黄前家では、麻美子と両親による話し合いが行われていた。そんな中、久美子は風邪をひいてしまう……。

久美子の姉である麻美子は今まで親の意向に従って生きていたことで溜め込んでいたものを感情として爆発させてしまう。あすかの事情を麻美子に仮託しながら描写されている部分もあるのだろうが、長女としての責任感から我慢を続けてきたことを周囲に理解してもらえず、自分とは対照的に好きだった吹奏楽を続けて全国大会にまで行くお気楽な(ように見える)次女の久美子の姿に耐えられなくなった麻美子の気持ちを考えると、なかなかしんどいものがある。

このシチュエーションを待ってましたとばかりに、今回葵ちゃんが久しぶりの登場を果たしていて、人は誰しも事情を抱えており、それを部活動で全て救済出来るわけではないという現実を諭すかのように示唆されていた。だからこそ、好きなことを続けられる素晴らしさが映えていくという見方も出来るのだが、それは同時に麻美子の切なさをも浮き彫りにされていて、理解しているつもりであっても麻美子から吐き出される呪詛のような言葉にみっともなさを感じてしまうところに、視聴者である我々サイドも含めて人は皆スーパーマンではないという冷たい現実が突きつけられている。
                 
        

響け!ユーフォニアム2 第七回 えきびるコンサート (アニメ)

                 
えきびるコンサート
京都駅で行われる、駅ビルコンサートでの演奏を控えた吹奏楽部。全国レベルの強豪校も出演すると聞いてやる気に満ち溢れている部員たち。そんな中、衝撃の事件が起こる……!!

あすか先輩の母親が受験勉強が疎かになるからとあすかを伴って退部届を受理してもらえるよう滝と教頭に詰め寄ったことを契機としてあすかは部活へ顔を出さなくなり、吹奏楽部に動揺が広がる。

全国大会出場が決まって更に熱気が高まる吹奏楽部に冷水が浴びせられた格好だが、部活動というものは学生の本分である勉強を犠牲にしてまで取り組むべきなのかというテーマを蒸し返しており、いつの間にか登場人物から疑いが消えてベタで真っ直ぐな部活青春ドラマに染まってしまった本作に対して落胆させられていた視聴者には母親の言い分も理解できてしまうのではないだろうか。

ただ、母親のヒステリックな物言いと娘への一方的な支配欲による「毒親」ぶりの描写、そして何よりタイミングの悪さはあからさまにネガティブなイメージを印象づけられていて、優子ちゃんや香織先輩とは比べ物にならないぐらい、このアニメにおいてはとてもセンシティブで重いものを突きつけてくる「悪役」が登場してきたことに驚かされた。

母子家庭の環境で育ってきたあすかが吹奏楽部を捨ててまで母親に対して寄り添う姿勢を見せたナイーブさには胸を打つものがあったし、切ない。だが、何より見ていて辛いのは、複雑な家庭環境が彼女のミステリアスな一面や周囲に対して必要以上に気遣ってしまう部分を齎しているのではないかと解釈させ、それが視聴者だけではなく、吹奏楽部の部員全員に広がり、共有されたことだ。

京アニなので最後には母親があすかの部活を認め、フォローとして全国大会に駆けつけて応援するシーンなども描かれてハッピーにまとめられるんじゃないかと踏んでいるが、今後あすかがどんなにおどけてみせたところで、もう以前のようには受け取ってもらえず、憐憫の眼差しを向けられ続け、それこそが道化としてあすかを更なる鎖で縛ることを想像すると、憂鬱な気分にさせられる。
                 
        

響け!ユーフォニアム2 第六回 あめふりコンダクター (アニメ)

                 
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文化祭の翌日、台風の影響で北宇治高校は休校になってしまう。大学を辞めると言いだした麻美子と口論になった久美子は家から抜け出す。雨が降るなか久美子が歩いていると、花屋の店頭で滝を見かけて……。

希美が吹奏楽部に復帰したこと、そして希美とみぞれは今ではすっかり以前と同じように仲の良い交友関係を築いていることが文化祭というイベントの中の1シーンとして描写されている。希美の吹奏楽復帰が認められたことには少し驚いたが、このへんはあまり深く突っ込んでも仕方がなく、とりあえずこれで二人の物語は今回で一段落ということではあるのだろう。

全国大会を見据えつつ、今後のドラマとしては、死別した妻を今も大事に想いに続けている顧問の滝と麗奈の関係性、それに吹奏楽をドロップアウトして勉強に専念していた久美子の姉が大学をやめると言い出し始めたパートと明日香先輩を取り巻く環境やコンプレックスを絡めたストーリーを中心に展開されることを予告したエピソードでもあった。

久美子の姉が大学中退を言い出したことはシーズン1で吹奏楽部を辞めた葵ちゃんの亡霊を呼び起こし、まるで吹奏楽を途中で止めた者の末路を示唆してみせるような、脅迫を伴った啓発にならないだろうかとハラハラする部分もあるとはいえ、希美とみぞれのドラマを見る限り、盛り上げておいて最終的には結局キャラの個性、要するに可愛さに頼った陳腐で薄い内容にまとめてくるのだろうと思っている。
                 
        

響け!ユーフォニアム2 第五回 きせきのハーモニー (アニメ)

                 
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吹奏楽コンクール関西大会。代表枠はわずか3校。
北宇治高校はこの厚く高い壁を乗り越えて、全国大会出場という奇跡を起こせるのか――!?

とうとうやってきた関西大会の日。全国大会出場を懸けたそのわずか12分間の演奏のために様々なものを捧げてきたこれまでの瞬間瞬間が回想となって巡り演奏に重なるが、そのわずか12分の演奏がほぼノーカットで放送されるというまさかの演出は視聴者に驚きを与えてくれる。このタイミングで演奏の12分間を視聴者の時間と同期させることの評価は様々なものがあると思うが、個人的にはなかなか挑戦的で楽しめたし、感動的でもあった。しかし、2期だけを見たときにドラマとして出来が良かったというわけでもなく、1期の貯金で食いつないでいたことが露わになったシーンでもあるので、今回を一つの区切りとしてまた次回からの展開に期待してみたい。

それと、これだけ溜めを作ったのだから全国大会出場ならずという非情の結果もありだろうと思っていたから、金賞で全国大会出場校にも選ばれて次の演奏が続くという部活賛歌的な明るい青春ドラマとして妥当な線で落ち着いていたのは少し意外だった。ここまで来たらもう今の北宇治に教師と生徒が部活動にプライベートの多くを捧げることの賛否を表立って口に出すような野暮な存在はいないということの示唆でもあろうが、その分かりやすい一途さにはどうしても輝きよりも侘しさを感じてしまう。ただ、あの12分にその侘しさまでもが含められていたのは表現として見事である。
                 
        

響け!ユーフォニアム2 第四回 めざめるオーボエ (アニメ)

                 
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合宿が終わり、関西大会本番が刻一刻と近付いていたある日。
演奏順も決まり、以前にもまして練習に熱がこもる北宇治高校吹奏楽部に大事件が起こる。
そして、それはあすかが危惧していたことで……。

希美は自分のことを苦手にされているとは露も知らず、良かれと思ってみぞれのもとへエールを送りに向かうが、希美の顔を見たみぞれは取り乱してしまい、部に混乱を招く結果となってしまう。

実は、みぞれが希美に対して抱いているコンプレックスというのは自分にとって友達は希美一人しかおらず、吹奏楽を始めたのも吹奏楽部に希美が誘ってくれたからだったというのに、希美にとってのみぞれの存在はワンオブゼムでしかないという非対称性と、部を辞める時に自分に声をかけてくれなかった現実であり、それらに対する悩みやショックをずっと引き摺っていたということがみぞれ自身の告白によって明らかになる。

最終的には希美とみぞれは和解を果たしているのだが、些細な行き違いから蓄積し続けた負のエネルギーも、些細なことをきっかけにしてあっけなく収束できるというのは青春ドラマらしい見ている者を勇気づけるようなメッセージが込められていたように思う。

みぞれが希美に依存し過ぎているように映るのも、コミュニケーションがうまくいかない人間にありがちな執着心の発露や、孤立することを過剰に恐れがちなティーンエイジャーの脆さをステレオタイプな「女性」という属性にまで波及させながら描写されていると考えれば納得できる範囲ではある。

しかし、丸く収まったからいいものの、そうでなければ無神経と罵られ、吹奏楽部との関係も更に悪化していたであろう希美の行動はもう少し制作サイドが配慮しても良かったのではとメタ視点で却って同情を誘うが、一方で感情の篭もらない醒めた演奏しか出来ないみぞれの覚醒には希美の復帰しかないという強引な展開になっていないのもまた一視聴者としてはほっと胸を撫で下ろすのであった。ただ、大会が終わって今の3年生が引退したら希美の復部も認められそうで、そうなったらそうなったでまた揉めそうな気がするが、その時は希美が実力で北宇治の吹奏楽部に必要な存在だと認めさせてくれることだろう。麗奈が香織を押しのけて実力でソロパートを獲得したように。
                 
        

響け!ユーフォニアム2 第三回 なやめるノクターン (アニメ)

                 
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北宇治高校吹奏楽部は夏の合宿中!
地獄の10回通し練習あり、みんなで花火ありの苦しくも楽しい3日間。
久美子は意を決して、あすかになぜ希美の復帰を認めないのかと尋ねる……。あすかの答えとは――?

あすかが希美の復帰を認めないのは、みぞれが希美のことを苦手としているからであった。確かに以前のエピソードにみぞれが希美に関わるシーンの中で吐き気を催す描写があり、では今度は何故そこまでみぞれが希美を嫌うのかといったことが今後の展開の焦点になりそうだが、あすかがそれに対しては深く言及しなかったのは知らないからなのか、あるいは言う必要がないと判断したからなのか。また、そもそもみぞれが希美のことを嫌っているから復帰を認めないというのは、今の吹奏楽部に希美の存在はみぞれのことを差し置いてもやはりプラスにならないという考えによる方便でもありそうで、そういう風に考えを巡らせてくれるあすかのドライでミステリアスな一面は魅力的だと再確認できた一方で、みぞれが希美アレルギーさえ克服できれば希美の復部が認められるのかと周囲が勘違いし。これからも元部員とはいえ部外の人間と部内の人間との関係に首を突っ込み続けてかき回す展開が待ってるかと思うと、少々げんなりする部分もある。

その他、滝先生に配偶者と死別していたという過去が明らかにされ、新山のことをライバルだと勘違いしていた麗奈の恋がますます複雑化しそうな空気が久美子の不安な表情を通して漂わされていた。また、5年前に妻と死別という事実から、滝先生は意外と年を食っており、思っていた以上に麗奈とは年が離れているのかもしれず、年の差のあるこの恋が成就するかどうかは分からないが、女性だけでなく、男性にも夢を与える趣向になっているように受け取れる。
                 
        

響け!ユーフォニアム2 第二回 とまどいフルート (アニメ)

                 
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数少ない休日に、緑輝の提案でプールへやって来た久美子たち。
しかし、考えることは皆同じで、吹奏楽部の先輩たちも夏の思い出にプールへ遊びに来ていた。
そんな中、久美子は人混みのなかに希美を見付ける。

プールでの水着サービス回。透明感が維持されたまま描写されていたし、実際の女子の間のやりとり自体がそういうものなのかもしれないが、それを踏まえてもバストのサイズについてのコンプレックスが生々しく告白されたりとやや露骨にカメラの向こう側にいる男性視聴者向けのアピールになっているような点にユーフォニアムらしくないものを感じて妙な居心地の悪さがあった。

だがその居心地の悪さは、部活に戻りたがっている希美もプールにいて久美子と鉢合わせてしまうシーンに繋げるためにあえて演出されていたのかもしれない。かつて今の麗奈のように全国大会を目指していた希美は当時の3年生と衝突してしまい、やがて部内で孤立していく中でそれに耐えられずに辞めてしまったこと、そしてそんな希美を引き止めてくれたのがあすか先輩なので、希美はあすかの許可を得ることにこだわっていることが明らかにされる。あすかが希美を拒む本当の理由は分からないが、希美が退部者が続出した件のきっかけのうちの重大な一つなのは間違いなく、復部を認めるとやはり部内に大きな動揺を齎す存在だからなのと、希美の復部が認められたと聞いて他の元部員も戻りたいと願い出てきた時の対応に困るからではないだろうか。

希美とその他の辞めた部員との間の線をどこに引くのか、それは難しいし、するべきではないのかもしれない。逆に言えば、どんな理由であれ、吹奏楽部を抜けた時点で、あすかの中では希美の情熱に対してその他の元部員やそれこそ当時の3年までと同じ程度という評価が下されていてもおかしくはない。
                 
        

響け!ユーフォニアム2 第一回 まなつのファンファーレ (アニメ)

                 
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吹奏楽コンクール京都府大会を突破した北宇治高校吹奏楽部は、強豪ひしめく関西大会に向けて練習を開始する。
臨時講師の先生も迎えて、レベルアップに勤しむ久美子たち。
しかし、そこへ昨年退部した傘木希美がやって来て……!?

ユーフォニアム第二期。関西大会出場に向けて各部員の練習意欲が高まり、夏休み返上で猛特訓することが決まった北宇治高校吹奏楽部だったが、1年前に起きた吹奏楽部内のトラブルが再び頭を擡げようとする。退部していた傘木希美という人物がこのタイミングで部に戻りたいと同じ中学出身の夏紀を仲介して副部長のあすかに申し入れてきたのだ。

あすかは折角一つになりかけた部員の気持ちが一度抜けた人間が戻ってくることでかき回されてバラバラになり、歴史が繰り返されることを懸念して突っぱねる。視聴者としてもあすかが下した冷徹な判断は本気で全国大会出場を目指す部であるならば当然のように思える。特にあすか達3年にとっては最後の大会であるのだからなおのことだろう。しかも、希美はその後も学校内でフルートを吹いて吹奏楽部員の感情を逆撫でするようなことをしており、それが無邪気で打算を感じさせないものなので余計にタチの悪さを感じさせる。

いずれにせよ、2期ではかつて北宇治高校で大量に部員が退部した件についての更なる掘り下げが中心になりそうだったが、未来へ向いて走り出すために連帯責任的に延々と過去の禊をし続けなければならないところに何とも云えないどす黒さや社会風刺的なものを感じさせた。ただ、これについては視聴者である大人に向けての「失われた青春を取り戻すことが出来るか」というテーマも含まれていそうで今後の展開を見守りたい。

初回1時間スペシャルの尺のほとんどを久美子と麗奈の濃密な関係の描写に費やしており、その内容は1時間も費やすほどではない希釈されたものになっていたところについては不安を抱かせる。
                 
        

劇場版 響け!ユーフォニアム ~北宇治高校吹奏楽部へようこそ~ (映画)

                 
劇場版 響け!ユーフォニアム~北宇治高校吹奏楽部へようこそ~ [Blu-ray]劇場版 響け!ユーフォニアム~北宇治高校吹奏楽部へようこそ~
吹奏楽部の活動を通してかけがえのないものを見つける少女たちを描いた青春TVアニメの劇場版。黄前久美子は中学3年の吹奏楽コンクールで見た高坂麗奈の涙を忘れられないでいた。高校に進学した久美子は加藤葉月たちに誘われて吹奏楽部に入部するが…。

2016年の日本のアニメ映画。TVアニメ『響け!ユーフォニアム』の劇場版。

内容はテレビアニメ版の13話分を100分程度に編集したもので、基本的には青春部活ムービーの路線でまとめられている。その中でも主に久美子と麗奈の関係性に焦点が絞られており、普段は凛とした麗奈が久美子だけに見せる「普通の高校生としての」感情を全面に出した表情などは短くまとめられた劇場版だからこその映え方であったように思う。

ただ、あすか先輩のミステリアスでドライな一面や夏紀先輩の吹奏楽にかける思いとナイーブさのバランスが取れない不器用さ、そして麗奈とソロパートを争う香織とその取り巻きとしての優子との関係性と北宇治高校吹奏楽部が抱える過去の問題やそれに絡む葵の退部などに対する描写が甘く、掘り下げがないので、見方によってはとても淡白にも感じ、ともすれば駄目な邦画のような凡庸な青春ムービーになりかけそうな危うさもある。

TVアニメ版ユーフォニアムという作品の面白さの一つは、それぞれの部員が持つバラバラな音楽への意識を全国大会出場という一つの目標に向けて高めていく過程で起こる様々な衝突と葛藤やアイロニーであって、その上で麗奈の音楽にかけるストイックな姿勢が報われているのであり、久美子と麗奈の距離感もそれが背景としてあるからこそ輝いていたのに、劇場版ではやや単純化され過ぎてしまっていて、それはそれで趣を感じなくもないのだけど、あまりにも毒気が抜けすぎており、見ていてどうもしっくりこないところがあった。

とはいえ、ダイジェスト版としてみれば概ね出来が良いと感じた。無難な作りなので、もっと大胆な編集の仕方をしてTVアニメとは全く違う切り口のものにチャレンジしてみても良かったのではないかという思いもしたが、それをするとたぶん久美子と葉月の秀一を巡る三角関係を延々と見せられるだろうからやっぱりこれで正解なのだろう。

失恋で終わる葉月と秀一の関係や麗奈と滝の教え子から教師への恋慕の情などが省かれているのは、尺の都合で中途半端にしか描けないと劇場版からユーフォの世界に入った観客に誤解を与えてしまうことへの配慮やテレビアニメ放送時の視聴者の感想や意見などに耳を傾けていることの現れだろうか。
                 
        

響け!ユーフォニアム 第十四回 かけだすモナカ (アニメ)

                 
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オーディションに落ちた部員10名は「チームもなか」として、コンクールメンバーを支えることになった。
メンバーを支えつつ、自分たちでも演奏技術を磨き、そしてコンクール直前にはメンバーのためにもなか型のお守りを作ったり……。
コンクールには出られない彼女たちであったが、それぞれがやるべきことをしていた。
そして、コンクール当日。会場に出発しようとしたもなかメンバーに衝撃的な連絡が――!!
これはチームもなかの熱い夏の物語。

オーディションに落ちた部員たちは同じ落選組の先輩達の頭文字からとった「チームもなか」としてコンクールメンバーのサポートをこなしながら、一方では悔しさをバネにコンクールメンバーに負けないぐらいの猛練習をこなす。

エピソードとしては葉月をフィーチャーしており、コンクールメンバーから落ちたという事実と失恋が重ねられ、コンクールメンバーに選ばれた久美子が秀一との距離を近づけていく過程が葉月の視点から淡く綴られる。持ち前の明るさでコーティングされてはいたものの、恋も音楽も前向きに応援するしか選択肢が残されていない中で逃げずにしっかりと自分の役割を演じてみせる葉月の姿は溌剌としていて葛藤がほとんどないだけに余計に哀愁を誘う。

とはいえ、あんまりにも色恋に囚われすぎているので夏紀先輩あたりを主人公にこのエピソードをやってみて欲しかったところではある。異性の取り合いをするのがメインになっているようなこの空気が2期でも続くようだと辛い。
                 
        

響け!ユーフォニアム 第十三回 さよならコンクール (アニメ)

                 
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コンクールの舞台で演奏できる時間は“たった”12分間。
それは一瞬のようで、でも永遠のようで……。
吹奏楽部員たちはその12分のために青春のすべてをかけて練習してきた。
北宇治高校吹奏楽部の演奏が始まる

最終話。コンクールで北宇治高校吹奏楽部が練習の成果を披露する。一生懸命やれば報われるんだ、よかったという感動的な終わり方になっていてめでたしめでたし。

結果がついてきてようやく感動に結び付けられる現金なところが京アニらしからぬ冷たいリアリティがあったようには思うものの、終わってみれば邦画にある傑作レベルには該当しそうなベタな青春部活映画のクオリティだったのが勿体なさを感じた。

滝先生がコンクールの指揮に挑む前に何やら写真を見て決意めいた表情をみせるなど、次のシリーズ展開がありそうな伏線が敷かれていたが、滝先生のコーチングのずるさが大人のずるさとして温存されたまますんなり進んだ違和感は、たぶん、そういえば吹奏楽部が舞台なのに野球応援に関するエピソードが出てこないなあという程度の些細なものだろう。でも、この滝先生という「役割」にもやもや感が残る本作であった。
                 
        

響け!ユーフォニアム 第十二回 わたしのユーフォニアム (アニメ)

                 
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コンクールまであと少し。
そんな時期に合奏でいきなり違うパートのフレーズを吹くよう言われた久美子。
しかし、その部分は難しくてなかなか上手く吹くことができない。
休憩もせずに練習する久美子だったが……。

コンクールに向けて猛練習が続く吹奏楽部。もはや誰一人としてそれに不満を漏らすことはなくなっていた。それどころか皆、人間関係がうまくいくようになり、滝先生の指揮に心酔していっているようにも映る。

その中で、久美子は滝先生の求めるレベルの演奏ができないでいた。そして、必死の練習も虚しく、コンクールでは難しいパートの担当から外されてしまう。悔し涙を流す久美子。だが、涙を流すことで中学時代、全国に行けなかったことで泣いて悔しがる高坂麗奈の気持ちがようやく分かったような気になる。そうだよ、私、音楽が好きなんだ。ユーフォが好きなんだ。確信する久美子。ラストは、落ち込んでいたところに、コンクールでは外れてもらうが、府大会では吹いてもらう予定なので練習しておくようにと滝先生にいわれて舞い上がる久美子。

滝先生と久美子を始めとした吹奏楽部員達との間に支配関係のようなものが働いていることを伺わせ、麗奈の滝先生への気持ちも教師と教え子の支配関係から来る感情のものなのだろうかなどと思わせる。また、一つのことに没頭する青春に対して冷めたポジションでいる久美子の姉や葵ちゃんが久美子や滝先生に全く感化されないところが個人的には興味深かった。受験に専念する道を選んだ葵ちゃんと受験に専念したのに希望の大学に入れなかった久美子の姉とが重ねられているのだが、それでも葵ちゃんは吹奏楽部を辞めたことに後悔の念を見せないところに、色々な青春があっていいという京アニのメッセージを垣間見た気がした。

それにしても、プロのトランペット奏者の娘がトランペットを吹いて実力で特別な存在になろうとするというのはまだわかるが、吹奏楽部の顧問として有名な先生の息子がまた吹奏楽部の顧問をやっているというのはどうなんだろう。そういう世襲的な権力構造に組み込まれていく久美子達の姿が、どこかまたこの青春の姿を皮肉っているようでもあった。
                 
        

響け!ユーフォニアム 第十一回 おかえりオーディション (アニメ)

                 
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滝の提案によって部内の雰囲気は改善されて部員たちも練習にも集中するようになり、麗奈も孤立することはなくなった。
安心した久美子だったが、麗奈を敵視している優子と麗奈本人が話しているのを見かける。

香織と麗奈による再オーディションは、どちらかといえば香織よりも香織を慕っている優子の視点でアプローチされていた。優子を通して香織が吹奏楽部のためにどれだけ尽くしてきたかという経緯が伝わってくるものの、今までの話のヒキを考えるとやや淡々としており、もう少し香織というキャラクターを掘り下げる形で描きこんで欲しかったところではある。でも、かつて自分よりうまくない先輩を立てるためにソロパートを吹けなかった香織が、今、自分よりうまい後輩の麗奈のために結局は引くのだから、なかなか泣けるというか、こういう役回りをさせられる香織って久美子がいうように本当にいい人なんだなとは思わされた。
                 
        

響け!ユーフォニアム 第十回 まっすぐトランペット (アニメ)

                 
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オーディションで滝が麗奈を贔屓したのでは……と部員たちの間で噂が広がっていた。
それにともなって、部の雰囲気は悪くなり、滝と麗奈への不信感は強まるばかり。
不満を持つ部員たちに、滝はとある提案をする。

オーディションの結果、トランペットのソロパートは吹部のマドンナこと中世古香織ではなく高坂麗奈が担当することになる。部内での人気が高い香織が麗奈に負けた事に動揺する部員たち、そして平静を装う香織もまたショックを隠しきれないでいた。そんな中、実は高坂麗奈と顧問の滝先生は以前からの知り合いで、それで滝先生が高坂麗奈を贔屓したのではないかという噂が広がると、部の雰囲気は更に悪化し、高坂麗奈は孤立していく。

落ち着きをなくし、練習に熱が入らなくなってきた部に滝先生も困惑し、時に苛立ちを見せるようになると、麗奈も練習が進まない部に苛立ち、自分と先生へ周囲が募らせている不信感に対して、自分が選ばれたのは先輩よりもうまく吹けたからだと強気に主張して跳ね除けてみせるが、それがますます部に軋轢を生じさせていた。

結局、収まりがつかないと滝先生は判断したのか、希望者のいる楽器は部員全員の投票によって判定する再オーディションを行うことを決める。しかし、いざ再オーディションをすると発表されても、自信がないのか、あるいは自分が発端となって波風を立て、高坂麗奈のように孤立するのが怖いと考えているのか、なかなか希望する部員の手が挙がらない。だが、その時、香織先輩の手が挙がる。こうして、トランペットのソロパートをかけて、高坂麗奈と中世古香織が対決することになる。

香織が手を挙げたのはまだ納得していないという気持ちも勿論あるのだろうが、ここで自分と麗奈が白黒つけることで部内の混乱を収拾する意図もあるのだろう。見せ物として醜態を晒す覚悟で手を挙げた時の気持ちを考えると、吹奏楽部のマドンナの称号は伊達じゃないと思わせる。

高坂麗奈については、滝先生と以前から知り合いで、先生を慕って北宇治高校にやってきたことやまた先生のことを一人の女として好きであることなどが明かされるが、以前のお祭りの時のように子どもっぽさを含んでおり、久美子と打ち解けて朗らかに話す様子からなお人間関係に対して不器用であることが伺えるところがなかなかユニークで、リアリティがあった。

それにしても、香織自体は今の2年生の間でやる気のある人間とそうでない人間が衝突した時にやる気がある人間の側についたというのに、今では求道的に音楽性を高めることだけに集中する麗奈やあすか先輩のような存在を標準にして部を指導する滝先生への反旗(シンボル)として扱われるようになるのだから、皮肉ではある。やる気にも程度があって濃淡、グラデーションがあるということだろう。どこまで自分を捧げて一生懸命に打ち込めるか。そして、一番練習に時間を割いている人間の情熱にそれ以外の人も付き合っていかなくてはならないのか。
                 
        

響け!ユーフォニアム 第九回 おねがいオーディション (アニメ)

                 
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コンクールメンバーを決めるオーディションの日がやって来た。
3年生も1年生も関係なく審査される場で、部員たちは自分の力を発揮しなければならない。
そして、コンクールに出場できるメンバーが発表される。

オーディションという部内競争システムを取り入れたことで緊張感が生まれ、多くの部員たちが練習に熱を入れる。その変化は一見よいことのように思わせるが、久美子のモノローグを使って不安に囚われる強迫観念の一種でもあるのではないかと皮肉って表現されていた。

皆それぞれ、自分なりに一生懸命練習しても、受かる人がいれば落ちる人もいる。顧問の審査によって公平に実力で決められているはずなのに、コンクールに出場する枠のために優劣をつけあうそのシステムがいつかきた道のように集団の中の人間関係を悪化させるのではないかと視聴者に思わせて今回は幕を閉じる。

コンバスの緑ちゃんの音が冴えない原因が人間関係の悩みだったことに対してあすか先輩がどうでもいいと言い放ち、自分の練習時間が削られることに怒りを見せるシーンがあるが、高坂麗奈やあすか先輩のように純粋に音楽性を高めることに打ち込むことのできるストイックな人間と周囲の存在とのギャップがわかりやすく演出された回でもあった。
                 
    
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