プリズン・ブレイク シーズン2 第12話「家族の肖像」DISCONNECT (ドラマ)

                 
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ボリショイ・ブーズで落ち合ったマイケルとリンカーン、そして父親。過去の暗い記憶から父に激しい拒否反応を示すマイケルだったが、無実を晴らす証拠はサラが持っていること、まもなくすべてが解決することをアルドは話して聞かせる。時を同じくして現地に到着したマホーン捜査官は、すぐにマイケルたちを発見。まとめて始末しようと銃撃する!

リンカーンに連れられる形でマイケルの前に父親であるアルドが現れる。実はマイケルは幼い頃に預けられていた家で虐待に遭っており、その暗い過去から自分を助けてくれない父親の存在を憎んでいた。
マイケルとアルド、二人については確執を煽る格好での演出から入り、本当はアルドが結果的にはマイケルを助けようとして虐待していた男を殺したという事実が明らかにされ、更にマホーンの襲撃により、アルドが瀕死の重傷を負うと、二人は親子の絆を確認し合うようになって、ようやく和解する。

アルドは結局死んでしまうが、リンカーンが無実であることの証拠をサラが持っていることを聞いたマイケルとリンカーンはパナマへと国外逃亡する計画を止め、アメリカに残ることを選ぶ。
国家から逃げるのではなく、これからは国家に自分達の存在を認めさせるために戦うことが示されたエピソードとして構成されており、無理矢理にシビアなエピソードを後付けして登場人物を使い捨てるような刹那的な演出手法に頼り過ぎている点が粗として少し気になるものの、マンネリ化していたここ最近の話の流れを思い切って変えたいという制作側の意思は伝わってきた。
                 
        

プリズン・ブレイク シーズン2 第11話「ボリショイ・ブーズ」BOLSHOI BOOZE (ドラマ)

                 
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再会したリンカーンに父アルドは、“組織”と大統領の陰謀を暴く計画を話す。しかし、ここにも刺客がやって来て間一髪で難を逃れる。これ以上息子を危険な目にあわせられないと判断したリンカーンはLJを“組織”に預け、父とともにマイケルとの待ち合わせ場所へと向かう。マイケルはそこで幼い日に別れて以来の父との対面を果たす。

それぞれの主要人物による生き様、生への執着などの死生観を披露するエピソードが連なっており、マイケルは現在の自分のありかたに対する罪悪感に悩み、悪人であっても命を救うことを決めるとその覚悟によって結果として道が開ける。一方、ティーバッグは危機から脱出するために接合した自分の左手を再び切断すると、自分を陥れたロイの居場所を突き止め、復讐を果たして奪われた金を見事に取り戻してみせる。このティーバッグの執念にかなり制作サイドの思い入れが窺え、アンチヒーローとして人気を確立していることや扱いやすいことも思わせる。

ティーバッグに比べるとマイケルはかなりキャラクターがブレてきて、善人に対しても暴力を奮うようになり、己の都合で身勝手に悪人を騙そうとするなど、以前の冴えやスマートさがなくなってきている点に対して、作品が意識的に追及を試みた回でもあったが、ティーバッグに比べると描写に思い切りが足らず、そこが人間臭さであるとか主人公らしさのようでありつつも、作品のぼやけ具合にも繋がってしまっているのが少し残念に感じた。
                 
        

プリズン・ブレイク シーズン2 第10話「めぐり逢い」RENDEZVOUS (ドラマ)

                 
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アリゾナで捕まったリンカーンとLJ。パトカーで連行される途中、謎の集団に襲われるが、彼らはリンカーンの父親の仲間で救出に来たのだった。コロラドの隠れ家に連れて行かれるとそこにはリンカーンの父アルドの姿があった。一方、無事に再会を果たしたマイケルとサラだったが、そこにマホーン捜査官の追っ手が迫る!

リンカーンとLJはアリゾナで警察に捕まるが、リンカーンの父親の仲間に助けられる。そういえばシーズン1でもこの展開はあって、元々なんでリンカーンが無実の罪を着せられ、合衆国のお偉いさんの手の者に執拗に狙われているかといえば、この親父をおびき寄せるためだった、というのを思い出した。

一方、マイケルはサラとの再会を果たす。そこにマホーンがやってきて二人はピンチに陥るというお約束の展開。結局サラはマイケルから離れていくのだが、それも含めて全てがデジャブな内容だった。ベリックがティーバッグへの拷問を経由してウエストモアランドの大金にありついたところで、相棒に裏切られるところも、衝撃的な展開というよりは、さもありなんといった予定調和ぶりで、次回への期待が高まるどころか、停滞感を強めてしまっていたように思う。ちょっとマンネリ気味かなあ。
                 
        

プリズン・ブレイク シーズン2 第9話「シークレット・ガーデン」UNEARTHED (ドラマ)

                 
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サラはマイケルから送られた“折り鶴”の暗号から待ち合わせ場所を推測し、飛行機で向かう。マホーン捜査官の執拗な追跡に脅威を感じたマイケルは、直接電話してある取引を持ちかけるが、かえって逆上させてしまう。一方、LJと移動中のリンカーンはダイナーの店員に目撃され、鉄道での移動を試みるが警官に見咎められてしまい…。

トゥイーナーがマホーンによって殺されたことを知ったマイケルはマホーンの過去を調べ、自分達に手を出さないようにマホーンを脅す。マホーンの急所をマイケルが持ち前の頭脳と行動力でこれでもかと抉ってやることでマホーンとの対決色を強めており、少しシーズン1の頃のマイケルっぽい悪さが戻ってきた感じなのが良かった。一方、かつて自分を受け入れてくれた女とその家族への執着を捨てきれないティーバッグはそこを突かれてベリックに囚われてしまう。また、妻と約束した再会の時間が迫るシーノートは家族をなんとか自分の手に取り戻そうとする。

異なる家族観をテーマに同期軸で複数のドラマが展開されるのはこれまでと同じ手法だったが、展開のさせ方も含めて全体的にマンネリ気味で、シーズン1の頃に比べると閉塞感がなく、人物間の距離がありすぎて駆け引きや緊迫感が弱くなっているのがどうしても気になってしまう。
                 
        

プリズン・ブレイク シーズン2 第8話「デッド・フォール」DEAD FALL (ドラマ)

                 
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ついに床下から500万ドルを掘り当てたマイケルたち。しかし、ティーバッグはうまく仲間を騙し、金を持ち逃げしてしまう。父親の自殺で意気消沈して帰宅したサラは、理由もわからないまま突然命を狙われる。やっとの思いで逃げだすが、もはや頼れるのはマイケルだけだと感じ“折り鶴”に記された暗号を解読しようとするが…。

とうとう床下に隠された金を掘り当てたマイケル達。ここでマイケルはスクレと組み、一芝居打つことでシーノートとティーバッグを騙そうとするが、逆にティーバッグに出し抜かれて金を奪われてしまうことになる。

今回はマイケルとスクレ、かつて同房だった二人の逃亡劇がメインとして描写されており、シーズン2に入ってからリンカーン以外の存在に対してはかなり冷淡な対応を見せていたマイケルもスクレには気を許し、信頼できるパートナーとして接する。
善人としてのマイケルが強調されたパートになっていて、マイケルがシーノートとティーバッグを騙したのはティーバッグという凶悪な人間に金を渡すわけにはいかないという使命感によるものであることが示唆されていた。

また、マイケル達を「始末」するために追いかけるマホーン捜査官には暗い過去があることが明かされ、彼に対してティーバッグのような狂気と存在感を演出したいという制作側の意図が伝わってくるようであった。
                 
        

プリズン・ブレイク シーズン2 第7話「埋蔵金」BURIED (ドラマ)

                 
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車庫での穴掘り作業をしているときに入ってきた女性警官はこの家の娘だった。うまくやり過ごすことができず、結局母親とともに人質として拘束することになってしまい、またしてもマイケルの計画に狂いが生じるのだった。一方、サラは電話の様子がいつもと違っていた父親が気になり知事室に会いに行くが、すでに知事は書斎で首吊り死体となっていた。

アブルッチに続いて2人目の脱落者となったのはトゥイーナーだった。マイケル達の命令で車にガソリンを入れるために出発したトゥイーナーはそれをきっかけにFBIに捕らえられてしまう。捕らえたトゥイーナーに対しマイケル達の居場所を吐くようにマホーン捜査官が詰め寄るが、過去に刑務所でマイケル達を裏切ったことで後ろめたい思いをしたトゥイーナーは再びマイケルを裏切るような素振りだけを見せて今度はマイケル達を守りマホーンの方を欺くという選択をする。しかし、この選択の結果、トゥイーナーはマホーンに射殺されてしまう。

これはマイケル達によってトゥイーナーは殺されてしまったともいえるし、またトゥイーナーが保身のために過去に仲間を裏切る行為に出たことに対しての弁解も加えられている。いずれにせよ、脱獄犯として逃走を続けるマイケル達の業の深さを演出する一つの象徴のようなシーンであった。

トゥイーナーが捕らえられている間にマイケル達は埋蔵金のために必死に穴掘りを続けているわけで、急な出来事からやむを得ず家主を束縛することになっても、無関係な人には危害を加えないようにするその善人としての一面をマイケルが覗かせる度にトゥイーナーのシーンが対照として浮かび、彼らはヒーローではないという作品のもう一つのメッセージが強烈に伝わってくるようでもある。
                 
        

プリズン・ブレイク シーズン2 第6話「再会」SUBDIVISION (ドラマ)

                 
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ユタ州トゥエレの町。ウエストモアランドから聞いていた農場は跡形もなく住宅地へと変貌していた。埋めた金だけはまだ地中に残っているかもしれない、と考えたマイケルはもとの地図からある民家の車庫に目星を付けると電気工事を装って潜入する。その頃、マホーン捜査官もユタ州に到着、いくつかの情報から捜索範囲をトゥエレの町に絞っていた。

農場は住宅地へと変貌していた。マイケル、リンカーン、ティーバッグ、トゥイーナーのチームは金が埋められている家に電気工事を装って潜入するが、そこにスクレとシーノートが同じように金を求めてやってくる。
フォックスリバー8の内、ヘイワイヤーとアブルッチを除いた6人が早くも再会することになり、かつて共に刑務所で脱走のための作業をしたように今回もまた金という「自由」を得るために6人がそれぞれ腹に一物抱えながらも協力し合う。

ただ、今回は刑務所の時とは違い、マイケル(とリンカーン)がいなくても他のメンバーは自力で自由(金)を得られる、という前提になっているし、マイケルにとっても刑務所の時とは違い、他のメンバーはもう必要のない存在になったので冷たく接している。このへんを踏まえてどのように展開されるのか。
                 
        

プリズン・ブレイク シーズン2 第5話「ダブルK農場」MAP 1213 (ドラマ)

                 
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ユタ州へあと120kmと迫ったマイケルとリンカーンは捜査を混乱させる演出が見破られたことをラジオで知る。マイケルの作戦を見破ったマホーン捜査官はさらに資料を分析し、ウエストモアランドが伝説の強盗“D・B・クーパー”で、囚人たちが彼の隠し金500万ドルを目指してユタ州に向かっていると気付く。マイケルは目的の農場の位置を確認するため、大胆にも役所へ向かうが…。

ウエストモアランドが隠した金を求めてユタに辿り着いたマイケルとリンカーンは、そこでティーバッグとトゥイーナーに再会する。二人もマイケル達と同じく金を目的にやってきたわけだが、あれは自分達のものだとマイケルとリンカーンはティーバッグとトゥイーナーに横暴な振る舞いをする。トゥイーナーとティーバッグは本当にマイケルにとっては道具であり、用が済んだら邪魔者でしかないんだなあ。

満身創痍の状態のティーバッグはマイケルとリンカーンに腕力でねじ伏せられてしまうものの、宝のありかが記された地図を頭の中に記憶し、地図が描かれた紙を食べてしまうことによってマイケル達と対等な関係で宝探しのチームを結成してみせるところ、相変わらずの狡猾さと執念が流石だった。
                 
        

プリズン・ブレイク シーズン2 第3話「スキャン」SCAN&第4話「罠の代償」FIRST DOWN (ドラマ)

                 
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橋から転落して爆発した車を見ながらFBI捜査官が呟いていた。「苦労して脱獄して、こんな風に死ぬとは…」
一方、思わぬ形で再会を果たした元看守のベリックとギアリーは、最初こそお互いを激しく罵り殴りあうが、脱獄囚にかけられた懸賞金を目当てに一致団結することで決着、さっそく古巣のフォックスリバーへと戻ると、マンチェを脅しマイケルたちの行き先を聞き出す。

FBIとは別行動で懸賞金目当てにマイケルたちを追跡するベリックとギアリーは、ついに2人を拘束! しかし、マイケルたちの目的がユタに埋められている500万ドルであることを知ると、警察に差し出さずにユタへ道案内させようとする。家族との国外逃亡を予定していたアブルッチはフィバナッチへの復讐心がどうしても押さえられず、妻の制止を振り切って出かけていく…。

刑務官を首になったベリックはかつての同僚でベリックより前にクビになっていたギアリーと手を組み、マイケル達を追跡する。
FBIのマホーン捜査官を出し抜くことには成功したマイケルとリンカーンだったが、ベリック達とは派手なカーチェイスを繰り広げた末に捕らえられてしまう。それでもマイケルと偽装結婚したニカの協力もあって何とか窮地を脱するマイケル達。しかし、自分の都合の良い時だけ助けを求め、他人を道具として見る冷たさをマイケルはニカに強く批判される。これはマイケルの刑務所内での人道を重んじる人柄と脱走に関して見せた冷徹な一面とのギャップに対しての視聴者目線に立ったメッセージになっていた。

他の逃走者ではティーバッグが主人公顔負けの度胸と狡猾さで悠々と逃走を続けるのに対し、アブルッチはフィバナッチへの復讐心を抑えきることが出来ない自分の感情の隙を突かれ、結果的に再び仲間に裏切られる形でFBIに射殺されてしまう。残酷なマフィアのボスも家庭では良き父であったという描写とファミリーを裏切った存在をどうしても許すことが出来ないという執念が繋げられており、アブルッチというキャラクターは「父」としてどういう存在だったか、あるいは「父」とはどういう存在であるべきかを(離れたシーンにあるリンカーンとマイケルの父親の姿にも重ねて)問いかけながら死んでいく。
それにしても、フォックスリバー刑務所から脱獄した8人、フォックスリバー8で一番初めに脱落するのがまさかアブルッチとは……。

スクレとシーノートについてはそれぞれ恋人と妻に自分のしたことをなかなか受け入れてもらえず、FBIに追い詰められていく。考えれば、指名手配犯になって帰ってきた自分という巨大なリスクを受け入れてくれという方が無理があるのだが、このへんはアブルッチとは対照的に社会への再チャレンジと「愛」の獲得に対する分かりやすくて発展性のあるメッセージを含んだドラマなっているので、スクレとシーノートは作品に重宝され続けるのかもしれないなと感じた。
                 
        

プリズン・ブレイク シーズン2 第1話「逃亡者たち」MANHUNT&第2話「オーチス」OTIS (ドラマ)

                 
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マイケル、リンカーン、スクレ、アブルッチ、シーノートは予定していた脱出用の飛行機に乗りそこなってしまった!森の中をひたすら走り、丁度やって来た貨物列車をうまく利用してやっとの思いで追っ手を振り切る。一方、フォックスリバー刑務所ではFBIのマホーン捜査官が記者会見を行い、脱獄した指名手配8人の顔写真を公開していた。マホーンは首謀者マイケルの全身タトゥーに注目し、その秘密に気付くのだった。

FBIがメキシコ、カナダ両国境の緊急配備を固めた頃、マイケルはアブルッチ、スクレ、シーノートらに別れを告げていた。彼らはそれぞれの目的地へ、そしてマイケルとリンカーンは殺人罪の濡れ衣を着せられたLJを救うために裁判所へと向かう。リンカーンは弁護士を装ってLJに脱出の手引きを伝えるが、盗聴していたマホーン捜査官はそれがニセ弁護士だと見破る。

プリズンブレイクシーズン2。シーズン1最終話では脱出用にアブルッチが用意した飛行機に乗りこそなってしまったところで終わっていたが、今回はその続きから始まり、マイケルたちが一応は無事に逃走に成功するところが描かれる。

仲間に裏切られ、手首を切り落とされたティーバッグも強い執念と気迫を見せ続け、動物病院で獣医に接合手術をしてもらうことで態勢を整える。手術をしてくれた獣医をティーバッグは情け容赦なく殺してしまうが、これはティーバッグというキャラクターに纏わるストーリーが背景に存在すると同時に、リンカーンという冤罪の象徴を救うことで結果的に罪を犯したその他の無法者達が街に放たれ、罪のない人々が犠牲になるという皮肉がかったメッセージがこめられていたように思う。

一方、刑務長だったベリックはクビを言い渡され、老いた母親に嘘をつかなくてはいけなくなった自分の境遇を嘆くが、逃げ出したマイケル達に多額の賞金がかけられたことを知り、何かを決意したような表情に変わる。
金といえば、ウエストモアランドがユタに隠した500万ドルを巡っての駆け引きがマイケル達の間で繰り広げられ、今後はこの金が重要なポイントになって新たな争いが生まれることが示唆されていた。

シーズン2はどうやら、このウエストモアランドが隠した金にティーバッグとベリックの執念、そして今回から登場したFBIのマホーン捜査官と囚われの身であるリンカーンの息子を軸にして、檻の外から出てもまだ檻の中にいるのと同じ状態であるという演出と共に展開されていくようだ。
                 
        

プリズン・ブレイク シーズン1 第22話「脱出!」FLIGHT (ドラマ)

                 
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クローゼットに閉じ込められていた所長が発見された! 所内に鳴り響く警報、狂ったように闇をかきまわすサーチライト。すぐに非常線が張られるが、その追っ手の網の目を縫ってマイケルたちは隠してあったバンに乗り込み、一路飛行場を目指す。そこにはアブルッチが手配した飛行機が、待っている……!!

プリズンブレイクシーズン1最終話。最終話とはいってもかなりいいところで中途半端に終わらせてしまっており、シーズン2へ続くことが決まっていてそれを視聴してもらうことが前提の作りになっていた。
なので、最後というほどのインパクトと余韻を得られなかったのが残念ではあったが、今まで善人面していたマイケルが自分と自分の兄貴の逃亡を成功させるために「信頼」の関係を反故にして、ヘイワイヤー、トゥイーナー、ティーバッグを土壇場で次々に切り捨てていくところに今後のマイケルの前途に更なる多難が待ち受けていることが示唆されていたのは面白かった。

仲間に裏切られ、初めのうちは悪人としての驚異的な「嗅覚」で危機を乗り越えていたが、最後にはアブルッチに手首を切り落とされて置き去りにされてしまうティーバッグがそれでも執念だけでひたすら走り続けるところに凄みがあり、シーズン2での彼のリベンジに期待してしまう。
                 
        

プリズン・ブレイク シーズン1 第21話「壁の向こうへ…」GO (ドラマ)

                 
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ベリックがいないことで、所内では今にも捜索が始まろうとしていた。マイケルは油断していた所長をナイフで脅して捜索をやめさせると、殴って気絶させてクローゼットに押し込める。その後、房へ何事もなかったように戻ると自由時間に続々とメンバーがマイケルのもとへ集合。そして、ついに壁の裏側へと脱出が始まった! なんとか診療室までたどり着いたメンバーの目の前には、壁から外へ一気に伸びる1本のケーブル。これさえ渡りきれば……。

今夜のために全てはあった。失敗は許されない大脱走に挑むマイケル達は、慎重にそして大胆に事を運びながら、とうとう死線を超えていく。

終始緊張に包まれた空気が登場人物の表情の変化を通すことで見ている側にもよく伝わってきて、演出は決して過剰ではないのに、ハードルを一つクリアーしていく度に強いカタルシスが得られる。ベリックとの格闘で負傷していたウエストモアランドと太った囚人のサンチェスは途中で脱落してしまうが、脱出に成功したメンバーも壁の外に出た後にはアブルッチの企みが待ち構えており、いよいよシーズン1の最終話となる次回でどういう結末を迎えるのか、脱走時のメンバーと同じく自分自身もはやる気持ちを抑えるのが大変になってきた。脱出ものとしてのツボを押さえた素晴らしい回だったと思う。

ウエストモアランドは別れの際に隠した大金の場所について話すが、これを聞いたメンバーの目の色が露骨に変わったのは、いつかこれを巡って争いが起こるという伏線だったりするのだろうか。

そしてマイケル、兄のリンカーンはどんなことをしてでも助けようとするのに、ヘイワイヤー(障害者)との約束は守る気がなく、最初から置いていくつもりだったのだな。このあたりの禍根もマイケルに報いがやってくるということの示唆であったように読み取ったが果たしてどうか。
                 
        

プリズン・ブレイク シーズン1 第20話「トゥナイト」TONIGHT (ドラマ)

                 
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休憩室の床の穴がベリックに見つかってしまった! そこへ偶然来合わせたウエストモアランドは、捨て身で殴りかかりベリックを気絶させ穴に放り込む。事態が急転し、すぐにも決行しなくてはならなくなったマイケルたちは大急ぎで準備に取りかかるが、最後のハードルである診療室の鍵がまだ調達できていなかった。マイケルはサラに「今夜脱出するから、鍵をかけずに帰ってほしい」とストレートに依頼するが……。

脱獄計画に参加したトゥイーナーが裏切りを見せてベリックに密告したことで、作業場に空けた脱出用の穴がベリックに見つかってしまう。その場に偶然やって来たウエストモアランドが捨て身の覚悟でベリックを襲い、気絶させた彼を拘束状態にして穴の中に放り込んだことで何とかその場は凌ぐが、そのことを知ったマイケルは脱出するなら今しかないと計画を急遽変更し、今夜脱獄することを決める。

予定が急に変更になったことで時間の猶予がなくなったマイケルが強引な手段を用いて状況を打開していくところがとてもスリリングだったし、物事は何事も企み通りにはいかないというメッセージを含んだ出来事が塀の内でも塀の外でも起きていく同期性も面白かった。
トゥイーナーの裏切りは彼自身追い詰められていたという描写があったし、いいように使われながら自分はぎりぎりまで脱獄計画に参加させてもらえなかったということへの複雑な心境はあるだろうから納得はできるが、展開の流れからマイケルが考えたベリックを欺くための演技だと読めたので、本当にそのままトゥイーナーの裏切りだったのは意外だった。
もっともその後、トゥイーナーに対してはフォローが行われており、最終的にはマイケルはトゥイーナーから得た信頼で救われることになる。

診療室の鍵をなんとかするためにサラに脱獄のことを正直に話し、扉の鍵をかけないで帰ってほしいとお願いしたり、リンカーンを救うために所長をナイフで脅すという無茶な賭けに出たマイケルへの審判が下される次回も、今までのエピソードの中でサラと所長からマイケルが得た信頼が反映されたものになるのだろう。
                 
        

プリズン・ブレイク シーズン1 第19話「鍵」THE KEY (ドラマ)

                 
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一般房に戻ったマイケルはいよいよ準備にとりかかる。新しい脱出ルートには診療室の鍵がどうしても必要だ。マイケルは診療室でサラと2人きりになった時に彼女のポケットから鍵を抜き取ろうとするが、後ろめたさが先行して思い切れない。ニカの協力でなんとか鍵を手に入れるが、それに気づいたサラは診療室の鍵を取替え、マイケルに冷たく接する…。

ティーバッグを殺そうとして逆に反撃を食らって殺されかけたアブルッチがチームに復帰する。心を入れ替えたと主張するアブルッチに対して不審がるティーバッグだが、とりあえず過去のことは水に流すことに。
しかし、やはりアブルッチの素顔は別にあり、腹に一物抱えていたという演出がなされていた。今後はアブルッチがチームにとって厄介な存在となり、同じ悪人としてアブルッチの演技を見ぬいたかのような素振りを見せるティーバッグがキーマンになりそうだった。

一方、脱出のために診療室の鍵がどうしても必要なマイケルはニカの協力でサラから鍵を盗むことに成功する。しかし、それに気づいたサラは診療室の鍵そのものを取り替えてしまう。このあたりの無言のやりとりはマイケルへの信頼が裏切られたことに対するサラの強い怒りが窺え、メタ(視聴者)目線で脱獄の協力者になるのではないかと思われたサラが敵として立ちはだかるまさかの泥沼な展開が面白い。
                 
        

プリズン・ブレイク シーズン1 第18話「ブラフ」BLUFF (ドラマ)

                 
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精神科棟にはマイケルの元同房者、ヘイワイヤーがいた。タトゥーを地図だと見抜いていた彼の記憶力を利用して、マイケルは火傷で失った図柄を手に入れようとする。
一方、看守のギアリーは、マイケルが移って空になっている房を囚人達の間で競りにかけようとする。壁の抜け穴が見つかるのを防ぐ為に、ティーバッグ、シーノート、ウエストモアランドは金の工面に奮闘する。

ヘイワイヤーとの再会を果たしたマイケルは、薬のせいでマイケルとマイケルの体に掘られたタトゥーのことを忘れていたヘイワイヤーに薬を吐かせることで見えない手錠から解放し、彼の記憶を取り戻すことに成功するが、同房だった頃に厄介者として扱い、罠にはめて追い出したマイケルに対する恨みも思い出したヘイワイヤーは、自分も脱獄のメンバーに入れろとマイケルに強く迫る。

一方、マイケルが精神科棟に、そしてスクレが懲罰房に移ってしまったことで空になった房が看守のギアリーによって競りにかけられていることを知ったティーバッグらは、房の抜け穴が見つかることを防ぐために金の工面をし、自分たちが房を押さえようとする。

ティーバッグとシーノートというかつていがみ合っていた白人グループのボスと黒人グループのボスが手を組むという肌の色を乗り超えた協力関係が見どころ。二人の悪党コンビはポーカーでイカサマをして他の囚人から金を巻き上げるが、その金を看守に巻き上げられる構造が面白い。悪には悪で対抗しようとしても、結局より弱い存在から搾取する構造を強化しただけに終わってしまう。しかし、そこをマイケルの知恵で救うというのが痛快だった。

だが、マイケルとヘイワイヤーとの関係では、マイケルの身勝手さだけが伝わってきた。今後ヘイワイヤーに対してマイケルがどういう風に接するのか、彼に何を提供していくのか、そしてこの作品が障害者を通してどのようなメッセージを我々に投げかけるのかに期待したい。
                 
        

プリズン・ブレイク シーズン1 第17話「J-CAT」J-CAT (ドラマ)

                 
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新しい脱出ルートの下見に行き背中に火傷を負ったマイケル。火傷で失った部分のタトゥーこそが実は脱出に不可欠な図柄=地図だった。思い出せず焦るマイケル…しかもどうして火傷を負ったのか所長に尋ねられても答えられず懲罰房に入れられてしまう。房の中で壁を思いきり殴り続け、精神的に不安定と判断されたマイケルは、ついには精神科棟へ移される。

脱出ルートを彫ったタトゥーを失ったマイケルは、全てを注いだ計画が水泡に帰したことで激しく落ち込む。やがて、憔悴した表情と精神的に不安定な様子を見せ始め、精神科棟へと移されるまでになるが、実はそれがマイケルの狙いだった。マイケルはタトゥーの失われた部分を記憶しているであろうかつての同房、ヘイワイヤーに会うために演技をしていたのだ。

一方、マイケルを失った脱出チームはマイケル抜きで「作業」を行うことになるが、スクレとティーバッグを中心とした完璧な連携プレーによって駆け引きに勝利し、ベリックら看守を見事に出し抜いてみせる。今まではマイケルのための脱出チームという捉え方がされていたが、一度脱出が失敗した後のチームは、マイケルだけでなく、全てのメンバーが主人公であるという描かれ方になっており、メンバーそれぞれに躍動感が出てきた。
                 
        

プリズン・ブレイク シーズン1 第16話「フォックスリバーへの道」BROTHER'S KEEPER (ドラマ)

                 
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3年前――マイケルは設計事務所に勤め、順調な人生を送っていた。唯一の悩みは、問題をしては起こしては助けを求めてくる兄リンカーン。ある日リンカーンは借金のカタに殺人を強要され、もし断れば大切な人を殺すと脅される。迷った挙句、覚悟を決めて約束の場所に行くが、すでにターゲットは何者かに殺されていた! 慌てて現場を立ち去るリンカーンをシークレットサービスの男がじっと監視していた…。

マイケルとリンカーンの過去が描かれる。大学を卒業し将来を嘱望される建築技師というエリートとして何不自由ない生活を送っていたマイケルと対照的に兄のリンカーンは問題ばかり起こす人物で、二人の関係には溝ができていた。そして、借金の返済に悩んだリンカーンは例の事件に巻き込まれることになるわけだが、実はリンカーンの借金というのはマイケルを大学にやるためにリンカーンが背負ったものだった。自分の恵まれた生活はリンカーンの犠牲の上に成り立っていることを知り、リンカーンの姿に奨学金で苦しんでいたかもしれないもう一人の自分の姿を重ねたマイケルは兄弟の絆の強く意識し、兄を絶対に助けることを決める。

マイケルとリンカーン以外にも、イラクに駐留する米軍の軍人だったシーノートは捕虜虐待を公表しようとしたことで上官の罠に嵌められて不名誉除隊処分に追い込まれ、その結果、生活のために違法行為に加担せざるを得なくなったという経緯や、貧しいスクレが一目惚れした高嶺の花と結ばれるために強盗をしてしまったこと、更に凶悪犯として指名手配されていたティーバッグがやっと手に入れたと思った自分を受け入れてくれる愛情に裏切られて刑務所に入れられてしまうことなどが描かれており、事情を複雑にして人間味を出せば出すほど、刑務所という檻がより比喩的なものとして強調されていくのが面白い。

女医のサラ・タンクレディが薬物中毒者だった過去も明らかになるが、薬物中毒という過去をきっかけにサラはベリックと出会い、彼に好意を寄せられている。フォックスリバー刑務所で働いているのもどうやらベリックの勧めがあったからという風に演出されていた。このサラとベリックの関係によって、何故ベリックがマイケルを異常に嫌うのかという理由をシンプルではっきりとしたものとして伝えていたが、ベリック、ティーバッグ、スクレ、シーノート、そしてマイケル、それぞれ女性への欲望に振り回されていた点も比喩的なものになっているのではないか。マイケルとリンカーンの兄弟の絆の強調やティーバッグの両性愛者という属性を併せて考えると興味深い。
                 
        

プリズン・ブレイク シーズン1 第15話「計画変更」BY THE SKIN AND THE TEETH (ドラマ)

                 
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突然、死刑執行が延期された! ホッとすると同時に事情がわからず呆然とするマイケル。リンカーンは「電気椅子に座らされた時、立会い室に行方不明になっている父親の姿を見た」と言うがベロニカもマイケルも幻覚だと言ってとりあわなかった。延期が決まったことにより、マイケルはタトゥーを見なおし新たな脱出ルートの準備を始める。

突然、新たな証拠が出てきたという理由でリンカーンの死刑執行が延期される。電気椅子に座ったところで最期を覚悟してからの展開、やや出来すぎな感じもあったが、一人の命を救うために必死に動く者たちへの作品からの敬意が表れていた。

リンカーンの死刑が延期されたことで、マイケルは早速新たな脱出計画を練り、その準備を始める。一度失敗して吹っ切れた部分と絶体絶命の窮地から救われたリンカーンの存在がチームのメンバーに良い影響を与えたのか、メンバー間でのわだかまりが解けていき、ティーバッグが機転を利かせることで仲間を救うなど素晴らしいチームワークを見せ、雨降って地固まった形となる。だが、脱出のためにこれまで以上にリスクを冒すことになったマイケルは火傷を負ってしまい、身体に彫った設計図の重要な部分が消えてしまうのであった。

新章スタートいった感じで、前回までは話があちこちに飛びすぎて散漫な印象もあったが、今回は脱出ものとして緊張感に溢れる展開を純粋に楽しむことができた。マイケルの火傷についてサラが誤解をする気配を見せるなど、今後の展開の鍵となりそうな伏線も早速いくつか敷かれており、密度の濃い内容となっている。
                 
        

プリズン・ブレイク シーズン1 第14話「密告者」THE RAT (ドラマ)

                 
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リンカーンのいる診療室真下までたどり着いていながら、脱出を断念せざるを得なくなったマイケルたち。「電気椅子に不具合があれば死刑は3週間延期される」とウエストモアランドから聞いたマイケルは、ネズミをブレーカーに仕込みヒューズが飛ぶよう細工する。しかし、トゥイーナーにマイケルの様子を探らせていたベリックは仕掛けに気付き、すぐに修理させてしまう。

脱出計画は失敗に終わってしまう。リンカーンのいる診療室の真下まで辿り着いたマイケル達、しかし予め穴をあけておいた排水管が新しいものに取り替えられていたのだった。参加したメンバーは脱出計画の失敗に落胆を隠せないまま、それぞれ刑務所内の日常へと戻っていくこととなる。
一方、脱出計画を一旦諦めたマイケルは目前に迫ったリンカーンの死刑執行を延期させるためにブレーカーに細工をし、電気椅子を使えないようにする。だが、トゥイーナーを懐柔しマイケルの様子を探らせていたベリックがその仕掛けに気付き、予定通りに死刑が執行されるようすぐに修理させてしまう。

とうとうリンカーンに死刑が執行されてしまうのか、という回で、死刑執行直前のリンカーンの心境とリンカーンの周囲の人物たちが最後の最後までリンカーンのために必死にあがく姿が中心になって描かれていた。
権力によって作りだされた犯罪で死に追いやられるという冤罪についての死刑の問題点が娯楽映画らしい分かりやすい「悪役」として示される誇張表現がスパイスとして効いており、一人の命のために動く人たちを徹底的に善人として描ていたのと見事に対照となっていたのが面白かった。

副大統領あるいは副大統領の周辺と関わりがなさそうなベリックが自分が気に入らないからという理由で徹底的にマイケルの邪魔をしているのが気になったが、これは個人の自由を奪い取っている権力というものは一般市民としての個人の素朴な嫌悪の感情によるものも大きいというメッセージでもあるのかもしれない。
                 
        

プリズン・ブレイク シーズン1 第13話「決行!」END OF THE TUNNEL (ドラマ)

                 
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リンカーンは死刑執行まで懲罰房に監禁されることになってしまった。マイケルにとってはリンカーン抜きの脱走では意味がない。が、いまさら中止とは言わせない雰囲気がメンバーたちの間に漂っていた。刻一刻と死刑の時刻が迫り、電気椅子の準備が始まる……。

ティーバッグがアブルッチに重症を負わせたことで脱出チームのメンバーは減ったが、一方で、脱出作業が見つかる危機から仲間を救うためにリンカーンが看守に暴力を振るってしまい、死刑執行まで懲罰房に監禁されることとなる。
リンカーン抜きでの脱走は意味が無いと主張するマイケルとここまでやっておいて中止にはさせたくないメンバー達とのせめぎ合いが続くが、マイケルはまだ残されていたアイディアに賭け、脱走することを決める。

今までも様々な困難がマイケルを襲ったが、その度に平静を装いながらクールに対処して切り抜けてきたマイケル。しかし、自身の兄を諦めなければならないという現実については受け入れられず、そこから逃避するように取り乱す様は、アブルッチに足の指を切り落とされた時も見せた表情と同様の描写であり、その平時とのギャップによって兄を救うためにマイケルが仮面をつけていることが強烈に主張されていた。

果たして、彼はいつまでスーパーヒーローを演じて苦しい闘いを続けることができるのか。
                 
    
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