処刑女 (映画)

                 
処刑女処刑女 [DVD]
閑静な郊外に一軒家を購入したローリーとヒュー。彼等は誰もが羨む幸福なカップルであった。だが週末に、マイホームに引っ越した二人に衝撃の都市伝説が告げられる。近所に建つ、荒れ果て放置された廃校。かつてここで大量殺人があり、ただ一人生き延びた犠牲者が、精神を病みながら未だにその廃墟に潜んでいるというのだ。笑って取り合わないローリーとヒュー。しかし、その夜。訪れた友人達とくつろいでいた二人に、絶叫が襲いかかる―。

2014年のアメリカ映画。ホラー。

郊外に一軒家を購入した男女のカップルに悲劇が襲い掛かる。家の近くに存在する廃校では大量殺人事件が起きた過去があり、ただ一人生き延びた犠牲者が精神を病みながら未だにその廃校に住み着いているという都市伝説が真だったというストーリーで、カップルが呼び寄せたパーティの招待客達が白いマスクを被った殺人鬼に次々と殺されていく。

緊張感や迫力が弱いのは残念であるものの、やや無機質な印象すらあるのっぺりしたイメージの殺人鬼とゴアシーンのグロテスクさとの組み合わせは残虐さを映えさせていた。無感情に見えて、主人公の言動などから影響を受けたのか殺人鬼がわずかに体を震わせてみせるシーンなど、メッセージ性が込められたような挙動もある。最後には主人公まで容赦なく殺され、ありきたりなホラー映画のお約束エンドとはまた少し違う救いようのない終わり方で幕を閉じていたが、犯罪をおかす人間というのは概して何かの被害者でもあるのかもしれず、その負の連鎖、スパイラルといったものについて考えさせられた。個人的には、そこを強調するならば、主人公を殺人鬼に変えて欲しかったが。
                 
        

アナと雪の女王 (映画)

                 
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王家の姉妹エルサとアナ。姉エルサは、自分の“禁断の力”を制御できずに王国を冬にしてしまう。凍りついた世界と姉を救うため、妹アナは山男のクリストフや“心温かい雪だるま”のオラフと共に、エルサの後を追って雪山へ向かう。
圧巻の歌と映像で<真実の愛>を描いた感動の物語。

2013年のアメリカ映画。ディズニー製作によるミュージカル調の3Dアニメーション作品。

幼い頃に己が持つ魔法の力で妹のアナを傷つけてしまったエルサは、以降、親の意向もあり魔法のことを誰にも知られないように部屋に閉じこもるようになってしまう。月日が経ち、両親が亡くなると、王位継承のための戴冠式のために部屋から出るエルサだったが、子どもの頃以上に複雑化する周囲の環境は彼女を悩ませ、成長するに従って強くなる魔法の力の制御はふとしたことで起こる感情の乱れで簡単に暴発してしまうほど難しくなっていた。

というストーリーで、戴冠式の場でお互い一目惚れした王子様との結婚に対して頑なに反対の姿勢を崩さなかった姉のエルサが魔法の力で周囲を怯えさせたことで城から逃げ出してしまうが、それを姉妹愛としてアナが追いかける旅に出る。城から飛び出して様々なものが見えてくるアナ。一見すると陳腐なファンタジー映画として構成されているのだが、権力欲だけでアナに近づいていた王子様の本性が急に現れるところなどは従来のお姫様願望を抱く女の子のための物語に対して痛烈な批判を加えているようでなかなかショッキングであったし、それがアナとエルサの姉妹愛を強固なものとして映えさせていた部分についても同性愛の肯定のようにも解釈でき、様々なメッセージが散りばめられた厚みを感じさせる作品になっていた。

個人的には、姉妹愛を強調するために悪役としての男性をキャスティングすることで、却って物語を潔癖にして取っ付きにくさを感じさせたものの、エルサが当初から王子様の本性を見抜いていたのか、また王子様が金と地位目当てにアナに近づいたとしてそれが悪いことなのかは考えさせられ、趣深い。従来のファンタジーに存在する男と女の関係を意図的に置き換えられているが、真実の愛や対照的で平等な関係というものがどういったものなのか作品から提案がなかったのは残念ではある。同性愛や昔のような近親相姦などがもしかしたらそれらを解決する一つの案なのかもしれないが。
                 
        

エルム街の悪夢3 惨劇の館 (映画)

                 
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悪夢から目覚め洗面所に行ったクリスティン。だが、彼女はそこで再び悪夢に取り込まれ、鉄爪と化した水道に襲われる。洗面所で腕から血を流す彼女を目にした母親は、自殺未遂を謀ったとして娘を精神病院に入れてしまう。その病院には、フレディの悪夢に苦しむ子供たちが彼女以外にも6人収容されていた。しかし、女院長や病院スタッフの大半は、子供たちの悪夢の話になど聴く耳を持たない。
そこに一人の若い女性インターンが赴任してくる。悪夢を専門に研究しているという彼女の名は、ナンシー。そう、6年前にフレディと壮絶な死闘を繰り広げた彼女が帰ってきたのだ!エルム街の子供たちと、フレディに立ち向かうために…。

1987年のアメリカ映画。ホラー。エルム街の悪夢シリーズ第3作。

大胆な路線変更を窺わせ前衛的だった『フレディの復讐』に対する評価を気にしてか、本作では主人公の性別を女性に戻し、夢いうキーワードと『エルム街の悪夢』が持つ独自性と強みに迫った原点回帰が意識された構成になっている。

お色気シーンもセクシーな看護師の女性が患者と関係を持とうとしてトップレスになるというビジュアル的にも文脈的にもなかなか刺激的なもので、その看護師の正体がフレディだったというオチにしてエクスキューズの意味を含ませているなど、ジョークの質が高く、一つ一つのシチュエーションについてこだわりを感じさせた。

フレディの悪夢に悩まされる青少年を収容している精神病院を舞台にし、第一作の主人公であるナンシーの登場を契機にして夢の世界でフレディに戦いを挑むところは、スペクタクルなアクション映画を観ているようであり、悪夢に悩まされるメンバーにはかつてフレディを焼き殺したエルム街の住人を親に持つ子ども達という共通点が存在することや、フレディ自身が輪姦された母親から生まれた大勢の「ケダモノ」を父親に持つことが強調されるなど、娯楽作品としてよく練り込まれた背景が本作に奥行きを生んでいる。

夢の中なら超人になれると信じてフレディに戦いを挑んだ子ども達が、おとぎ話は通用しないと言い放つフレディにあえなく返り討ちにされてしまうシビアなシーンや、父親へのコンプレックスを擽られてフレディに殺されてしまうナンシーの姿には、夢の世界が比喩的に表現する各人の抱く願望が必ずしも叶うわけではないという厳しいメッセージと共にフレディという存在の物悲しさが伝わってきた。
                 
        

名探偵コナン 漆黒の追跡者 (映画)

                 
名探偵コナン 漆黒の追跡者劇場版 名探偵コナン 漆黒の追跡者 スタンダード・エディション [DVD]
東京、神奈川、静岡、長野で6件の連続殺人事件が発生。警察の捜査会議に参加したコナンは、そこで刑事に変装した黒ずくめの組織のメンバーを発見する。

2009年の日本のアニメ映画。劇場版名探偵コナン第13作。

天国へのカウントダウン』以来に黒ずくめの組織が登場してコナン達と対決していく。プロットとしては、土台となる連続殺人事件があって、それに黒の組織が直接関わっているわけではないが、思惑があり様々な側面からアプローチをしているというもので、劇場版ではお馴染みの二段重ねの構成になっている。

コナンの正体を既に知っているベルモットの他、本作のゲストキャラであるアイリッシュが警察の捜査員の一員として潜入しており、彼に工藤新一の生存と工藤新一の正体がコナンであることを突き止められてしまうことで、コナンにとっては自分の正体がバレたのではないかと疑わせた『探偵たちの鎮魂歌』以上の危機を迎えることになる。

しかし、それだけに作中のクライマックスのシーンで、どんな奇跡が起きても正体がバレるか殺されてしまうかになるだろうという絶体絶命の窮地へと追い詰められたコナンを救出することになったのが、よりにもよってアイリッシュと同じ黒の組織に所属するジンのヘマというのは滑稽さと力技で無理やり締めたような違和感が存在していた。ジンがコナンの事を聞く前にアイリッシュを射殺してしまうのは、ここまでしか踏み込めないという劇場版の苦しい事情と同時に、平気で仲間を裏切って殺すような組織にハッピーな結末は訪れないという作品の強いメッセージが伝わってくるようであった。

気になる点として、そもそも公に工藤新一の名が出ることを伏せているコナンの配慮は、黒の組織へ工藤新一の生存が伝わったら蘭達に危険が及ぶ可能性があるからという理由だったはずだが、本作ではそんなことはおかまいなしに黒の組織のアイリッシュと蘭が平気でバトルを繰り広げているところが挙げられるだろうか。

また、散々アイリッシュに殴られるなどして痛めつけられ、極めつけはトラウマになるレベルで銃を撃たれ続けたコナンが、ラストにその憂さを晴らすかのようにジンの乗ったヘリにアタックを仕掛けて一泡吹かせる形で幕を閉じているのはカタルシスが得られる一方で、終わってみればジンがただの道化のような役回りでしかなかったのも一抹の寂しさを覚える。
                 
        

エルム街の悪夢2 フレディの復讐 (映画)

                 
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ジェシーは引っ越してきて以来毎日のように、スクールバスの運転手が爪の男になって襲ってくるという悪夢にうなされていた。ある日、ジェシーは押し入れからその家の前の住人であるナンシーが書いた日記を発見し、彼女もまた自分と同じように、フレディという怪人に襲われる悪夢に悩まされ、そして戦ったことを知る。フレディは、ジェシーの体を乗っ取ろうと襲ってくる。

1985年のアメリカ映画。ホラー。

エルム街の悪夢』の続編で、前作の主人公であるナンシーが住んでいた家に引っ越してきたジェシーがかつてのナンシーのように悪夢にうなされていく。

本作の主人公は男性になっており、お色気シーンは存在するものの、それが女性のヌードに頼ったものではなく、男性のヌードを主張するもので構成されていて、男がフレディにスパンキングされるシーンなど、ゲイ映画と評されてしまうのも頷けるシュールな映像演出が存在していた。それを茶化すようでもなく、真剣にやっているからこそ、笑ってはいけないのだろうけれど、つい笑ってしまうのだが、メタ的にギャラリーである我々の属性や性的嗜好には様々なものがあるということを考えさせてくれる挑戦的でアイロニーな映像でもある。とはいえ、中年の男性が尻を叩かれて苦悶するシーンを、ああ、これサービスシーンのつもりで、あるいはアレゴリーを込めて作ったんだろうなと受け入れられる人はあまり多くないと思う。

スリラーとしては、フレディが主人公の身体を乗っ取って凶行に至るというプロットになっており、大勢の人の前で暴れまわるシーンはホラーというよりもコメディのようであった。前作に比べると夢と現実のリンクは希薄に映るが、ジェシーがフレディとしての一面を覗かせていくといった過程は、誰もが自身の内にフレディという凶悪な存在を抱えていることを示唆しており、最後には自身の恐怖心やコンプレックスなどを克服することでフレディに勝つジェシーの姿に哲学的なものを見出すことも出来る。
                 
        

進撃の巨人 後編~自由の翼~ (映画)

                 
自由の翼劇場版「進撃の巨人」後編~自由の翼~ [DVD]
諫山創の人気コミックをアニメ化したTVシリーズ「進撃の巨人」を再編集した劇場版2部作の後編。巨大化したエレンにより破壊された扉は塞がれ人々は救われた。ただ、彼に対する民衆の反応は、悪魔だと恐れる者と救世主だと讃える者と様々で…。

2015年の日本のアニメ映画。

前編に続いてTVアニメシリーズの後半を再編集した構成になっており、訓練兵から調査兵になったエレン達が壁外調査に挑むが女型の巨人に苦渋を飲まされ、今度は壁の中で女型の巨人にリベンジをするという、しっかりした起承転結が存在する分かりやすいプロットは一本の映画作品として観ても楽しめるだろう。

前編の時は端折られた部分に対して気になるところが多かったものの、本作ではそれがあまり気にならないどころか、むしろテンポが良くなっていて作品の迫力が増しているようにすら思えた。それだけ壁外調査などについて原作やTVアニメ版だと冗長な部分があったということになるのかもしれないが、いずれにせよ、女型の巨人との戦いは秀逸で、エレン達と訓練兵時代の同期であるアニが人類の敵としての役割を担う巨人であったという衝撃の事実とそれを突き止めるまでの過程が本作に更なるサスペンス要素を加えて話を大きく盛り上げることに成功している。

本作ではまた、人類最強と云われるリヴァイのキャラクターの良さと活躍を堪能できるのも大きな魅力と言え、回転斬りの動きの凄さとそれをこなしてなお平然としていられる三半規管には思わず笑ってしまった。随所で無言のまま映し出される表情はエレンにはない奥行きを感じさせ、様々なものを読み取りたくなるのだ。

それだけに、アニの件から本格的に人間の敵はやはり人間だったという展開に原作が突入していく中で、ドラマの出来が悪く、これまで以上の活躍を見せるリヴァイも結局褪せてしまう残念な未来が待ち構えているのは残念でならない。
                 
        

エルム街の悪夢 (映画)

                 
エルム街の悪夢エルム街の悪夢 スペシャル・エディション [DVD]
高校生のナンシーは、フレディの悪夢に毎晩悩まされていた。だが、夢の中で負った傷がなぜか現実に戻っても残っている。果たして、これは夢なのか?それとも現実か?

1984年のアメリカ映画。ホラー。

悪夢の世界に現れる殺人鬼に人が次々と殺されていく様を描いた『エルム街の悪夢』シリーズの記念すべき初作品で、人間の3大欲求の一つである睡眠にスポットを当てて恐怖を炙り出している。夢で殺人鬼(フレディ)に殺されると現実でも死んでしまうという趣向は面白く、また睡眠と同じく3大欲求の性欲もティーンエイジャーの青春として関わってきて、それがスプラッター映画ではお馴染みのツボをつく表現として殺され方に悲惨さや滑稽さを加えていた。

しかし、最終的にはフレディが夢だけではなく、現実の世界にも平気で足を踏み入れて凶行に至るようになるので、雰囲気が台無しになってしまっている。登場人物の睡眠欲への抵抗とそれが齎す疲弊が真に迫ったものではないのも残念に感じた。神出鬼没のフレディは設定からしてなんでもありで、ジェイソンやブギーマンに比べると人間という存在から離れすぎてしまっており、鑑賞者としてはどうしても一歩引いて観てしまう部分が存在するのだ。

ただ、その超常現象のような部分が夢と現実の境界について考えさせる本作のオリジナリティを担保していて、ちはほらと見えるエキセントリックでオーバーな演出やあからさまにウケ狙いをするシーンも、それを意識していると考えれば頷けるものだろう。
                 
        

名探偵コナン 戦慄の楽譜 (映画)

                 
名探偵コナン戦慄の楽譜劇場版 名探偵コナン 戦慄の楽譜(フルスコア) [DVD]
ピアニストが主催する音楽アカデミーの出身者ばかりを狙う連続殺人事件が発生する。そんな中、コナンたちは世界的なアーティストが集まるコンサートに招かれる。主役は一人の天才女性歌手だったが、その歌手の命が狙われ…。

2008年の日本のアニメ映画。劇場版名探偵コナン第12作。

音楽家がターゲットにされた事件の謎をコナンが追いかける。音痴だけど絶対音感を有しているというコナンの設定が活かされていたのはユニークで好奇心をそそるものがあったが、アーティストの芸術へのこだわりをテーマにしている割に作品へのこだわりはあまり感じさせない。プロットとしては、『時計じかけの摩天楼』や『天国へのカウントダウン』などを踏襲した無難なものにまとめられており、お約束のようにあちこちで爆発したりと既視感のある展開が待っている。

その中で、元太が犯人に狙われたソプラノ歌手の身代わりとなる格好で薬物入りのお茶を飲んで悶え苦しむシーンにはヒヤリとさせられるものの、ここで元太が死なないことが単なるご都合主義のフォローや配慮ではなく、事件の全貌を解き明かす鍵に繋げられるという仕掛けとして機能させているのにはオリジナリティと巧さを感じさせた。ただ、それ以外では踏み込みが足りないせいか、スリルやドラマとしての盛り上がりなどに欠け、既存の劇場版作品の焼き直しという印象は拭えない。
                 
        

スノーホワイト (映画)

                 
スノーホワイト [Blu-ray]スノーホワイト [Blu-ray]
グリム童話「白雪姫」を元に戦士としての白雪姫を描いたアクションファンタジー。美しいプリンセス・スノーホワイトは継母である女王・ラヴェンナに父を殺され幽閉される。さらに、女王は彼女を殺そうとし…。

2012年のアメリカ映画。

白雪姫を題材に指輪物語風のファンタジーな世界観で以ってリファインされており、アクション満載のスペクタクル作品に仕立てられていた。ただ、映像からは予算がかけられた大作であることを窺わせたものの、ストーリーは単調でありがちな勧善懲悪でしかなく映像の迫力や麗しさに対して不釣り合いであるという印象を抱いてしまう。

継母である女王に命を狙われる白雪姫(スノーホワイト)が追っ手から逃げのびる内に様々な出会いを経て、最後には自ら大軍を率いて逆襲をするまでに話が盛り上がり、見事継母に乗っ取られた王国を取り戻してみせるという王道的なプロットは、白雪姫が口にする毒リンゴについてインパクトや新しい解釈を生み出せていないどディテールに対するこだわりが弱く、粗いものになっていた。

女王の永遠の若さと美への執着は、女性が気高く生きるためには男性を意識したものが求められる人間社会というものに対しての風刺が込められたメッセージを伴い、スノーホワイトが最後には打ち破って見せる。しかし、そもそもスノーホワイト自身が持つ女王を倒すための最大の武器として振り回された多くの人間を惹きつけて訴えかける要素が「美しさ」と「王族の血筋」しかなく、それが作品をスポイルしている一方で皮肉が効かせられていて狂気と寂しさを齎しているのは面白い。

スノーホワイトを取り囲む男性達が抱いた劣情を露わにはしなくとも、むっつりした感じで羨望の眼差しを彼女に向ける所が意図的に演出されているところは、虚しく描写された女性の存在へのフォローとして男性の性を対にされているのであろう。これはスノーホワイトの父である王が上辺に騙されて女王を見初めたことで殺されしまい、国が滅んだことにも繋げられていた。

七人の小人役を担うドワーフ達の粗野でいたずら好きな感じなキャラもセンスが良く、なかなか趣があったと思う。それだけに「人間」という存在に対しての味わいやドラマの厚みがもっと欲しかったところではある。
                 
        

人狼ゲーム ビーストサイド (映画)

                 
人狼ゲーム ビーストサイド プレミアム・エディション [DVD]人狼ゲーム ビーストサイド プレミアム・エディション [DVD]
再度殺戮ゲームの参加を余儀なくされた樺山由佳(土屋太鳳)の今回のカードは「人狼」。今度は村人たちを欺き、ひとりずつ殺していかなくてはならなくなる。人狼=狩る側から描かれる「攻め」の心理戦。由佳は「人狼」として役割を果たし、今度こそ、この不条理なゲームから抜け出すことはできるのか。疑う、信じる事に加え、欺き、騙される前に殺す。参加者は限界を越え、激震の緊張に覆い尽くされる!

2014年の日本映画。

人狼ゲーム』の世界観を引き継いだ続編的な作品で、今作では主人公が人狼としてこのゲームをクリアするために村人を殺していく。

人狼ゲームならではの駆け引きが一応展開されるのだが、皮相的で肝心な部分が悉く心理戦の体をなしておらず、ティーンエイジャーの男女を巡る感情などを中心としたウェットなものに振り回されて村人側がほぼ勝手に自滅してしまっている。人をベースにした信頼が揺らぐところなどはリアル人狼ゲームという設定ならではあるが、疑心暗鬼に陥る描写がパニックとして安直に片付けられており、興醒めさせられた。特に作り込まれているわけでもないのに、場面が整理されておらず分かりにくい点も問題だろう。

また、人狼の立場から見たときの用心棒や共有者などの村人側における重要な存在を突き止めていく過程や自分が人狼であることを突き止められてしまうことの恐怖やスリルが全く表現てきていないのも残念だった。

ロックンローラーに憧れる主人公を演じる土屋太鳳については、場面に応じて陽気に振る舞ったり強気な一面を見せたかと思うとすぐにナイーブな一面を覗かせたりとコロコロと表情が変わる難しい役どころをアウトサイダーな雰囲気を纏いつつ見事に表現しきっている。やや素人感が出ていた周囲の役者の素朴さと比べると掃き溜めに鶴といった具合でそのコントラストが映えすぎており、まるで土屋太鳳のPVのように見えてしまったのは製作サイドの狙い通りだと思うが、それが他の人間とは一線を画す芯の強さや狂気、生命力を抱える主人公の魅力に繋げられていたのは興味深い。
                 
        

13日の金曜日 -FRIDAY THE 13TH- (映画 2009年)

                 
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1980年13日の金曜日。クリスタル・レイクにて発生した殺人事件の犯人パメラ・ボーヒーズが生存者の手で返り討ちにされる。時は経ち、行方不明の妹を探すためクリスタル・レイクにやって来たクレイと休日を過ごしにきた大学生ジェナの一行にパメラの息子で、母親の意思を継いだ殺人鬼ジェイソンの魔の手が迫る。

2009年のアメリカ映画。ホラー。

殺人鬼ジェイソンを生み出したスプラッター映画の金字塔である『13日の金曜日』に対してマイケル・ベイを加えた製作陣がリブートした作品で、シリーズ初期の頃の金曜日を2009年なりの映像技術などで以って新しく表現することに挑戦されており、若い男女が集まって行われる軽薄な雰囲気での交歓や女の子がおっぱいを露わにさせてセックスをするシーンなど、13金らしさのあるツボを押さえた演出はシリーズのファンをニヤリとさせてくれる。

ところが、肝心のジェイソンに襲撃される殺害シーンがコンテクストを含めた意味でのバリエーションに乏しく、迫りくる恐怖というものに対しての緊張感を全く表現出来ていない。総じて『13日の金曜日』に似せた別の何かのように映って落胆させられた理由は、僕が懐古主義に取り憑かれて新作に対する期待が高すぎるせいというだけではないはずだ。
                 
        

名探偵コナン 紺碧の棺 (映画)

                 
劇場版 名探偵コナン 紺碧の棺 [DVD]劇場版 名探偵コナン 紺碧の棺 [DVD]
太平洋に浮かぶ“神海島”へ、小五郎と共にバカンスに訪れたコナンたち一行。島に居合せたトレジャーハンターがサメに襲われ死亡したことから、コナンは捜査を開始する。

2007年の日本のアニメ映画。劇場版名探偵コナン第11作。

バカンスにやってきた島で海底宮殿に眠ると言い伝えられているアン・ボニーとメアリ・リードの宝を探すトレジャーハンター達の物語へと巻き込まれていくコナン達。今作はサスペンスというよりもアドベンチャーとしての雰囲気が色濃く、少年探偵団が参加したオリエンテーリング風の宝探しという遊びが他のシーンと連係を保ちながら次第に本物の宝へと導かれていくという構成になっているのだが、シーン間の繋がりによる盛り上がりが弱いのでちぐはぐな印象を抱いてしまう。

アン・ボニーとメアリ・リードの関係を蘭と園子の友情にオーバーラップさせるという趣向も迫力がなく拍子抜けする程で、その他の登場人物の個性やポジションを生かした活躍をほとんど演出できていないのももどかしい。コナンが蘭の目の前で躊躇なく新一として犯人を追い詰めていくシーンに対しても後でフォローがあり、逼迫した状況下で最善を尽くすコナンの勇気と決断力を讃えたくなる部分もあったとはいえ、それでもやはり違和感を拭えなかった。エンターテイメントとしてもコナンという作品に対しての配慮やリスペクトを大きく欠いているという意味でも駄作と言えてしまう出来なのではないだろうか。
                 
        

ライト/オフ (映画)

                 
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暗闇に現れるという「それ」に怯える幼い弟を守るため、久しぶりに実家へ戻ったレベッカ。たくさんのライトを準備して夜に備えるが、次々と明かりが消え、暗闇から「それ」がレベッカたちを狙っていた。

2016年のアメリカ映画。ホラー。

ライトを消すと暗闇に現れる化け物のような存在に襲われていくという作品で、照明のオンとオフを利用しながらお化け屋敷風のスリリングな恐怖を演出している。我々が闇に対して抱いている恐怖や想像力を刺激しているのは見事であったと思うし、スリラーとしての見せ方もどこか日本のホラーを思わせるような迫ってくる雰囲気が出ていてそそられるものを感じた。

鬱病を患う母親がダイアナと呼ばれる暗闇の「化け物」を内に抱えており、その闇から子どもたちを守るために銃で自分の頭を撃って全てを終わらせてるという設定と結末はなかなかシュールで示唆に富むようにも思えたが、ストーリーの質そのものはそれほど高くなく、明かりを消すと闇に現れるダイアナが襲い掛かってくるという仕掛けに頼りすぎている印象を抱く。

そのダイアナについても、存在に対する掘り下げをもっとして欲しかったとかダイアナが襲い掛かってくるシーンについてもう少し深刻さが欲しかったなどとあれこれ注文をつけたくなるのだが、全体的には安っぽさを感じさせない丁寧な作りのホラー映画になっており、楽しむことが出来た。
                 
        

眠り姫 Dream On Dreamer (映画)

                 
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NMB48の藤江れいなとAKB48の竹内美宥共演によるファンタジーホラー。少しズボラな女子高生の絢芽は、しっかり者の妹・柊と父・仁と3人で暮らしている。周囲に怠け者のように思われている彼女は、耐え難い眠気に襲われる不思議な病に冒されていた。

2014年の日本映画。

睡眠障害を患っている女子高生を主人公にしたホラーテイストの学園ドラマになっており、常に眠気に襲われている主人公が予知夢的な悪夢の世界と現実を行き来しながら、転校生によって妹が殺されるシーンが繰り返される悪夢を現実のものにさせないために奮闘する。

この作品は藤江れいなが主演しているアイドル映画であるが、夢と現実を最後には峻別し、夢の世界による現実世界への侵食を食い止めるという構成とテーマはポップカルチャーとしてのオタク文化的なものに対するリスペクトと同時に批判的文脈も読み取れそうであった。アイドル映画としての括りとして見れば比較的ストーリーは練られているように思えたが、如何せん冗長でテンポが悪いのが気になる。

悪役として登場する転校生の女の子の目つきや挙動について、ステレオタイプなサイコパスやメンヘラをイメージさせるものに描写されており、周囲の女子高生が皆ばっちりとメイクを決めている中で唯一すっぴん的なビジュアルでいる転校生を異常なものとして映し出していたのはセンスのないジョークにも受け取れるのだが、演じる中山絵梨奈が美を伴わせながら女のすっぴんや素顔的なものを覗かせることの恐怖や狂気を漂わせていることに成功していたのは評価したい。
                 
        

クリード チャンプを継ぐ男 (映画)

                 
クリード チャンプを継ぐ男 ブルーレイ&DVDセット(初回仕様/2枚組/デジタルコピー付) [Blu-ray]クリード チャンプを継ぐ男
シルベスター・スタローン、マイケル・B・ジョーダンの共演で『ロッキー』の新たな物語を描くドラマ。孤独に暮らすロッキーの前に、亡き親友でライバルだったアポロの息子・アドニスが現れる。ロッキーは自らのすべてを彼に託すが…。

2015年のアメリカ映画。

『ロッキー』シリーズのスピンオフ作品として製作された本作はかつてロッキーのライバルであり友でもあったアポロ・クリードの息子であるアドニスを主人公に据え、新たな時代の物語を紡ぎ出している。

アポロの隠し子として生まれたことにコンプレックスを持ち、ボクシングの道を志そうと思っても周囲の理解を得られず、ジムでも腫れ物に触るように扱われてきた主人公はかつて父のライバルであったロッキーの元を訪ね、やがて二人三脚でトレーニングを積み、チャンピオンとの試合に挑む。

老いたロッキーがかつてのミッキーのようにコーチを務める様にはシリーズのファンだからこその感慨深さがあり、主要な登場人物それぞれに心や体の中に抱えたものが存在し、傷を舐め合うかのように寄り添いながら何かと闘うために必死になる様はまさにロッキーシリーズへのオマージュを捧げられていた。

がんに冒されたロッキーが当初は化学療法を拒否し、死に抗うことを恐れるものの、かつての自分の姿と重なるアグニスを新たな息子として受け入れ、ロッキー自身も病に対してアグニスと共に戦うことを決めてからは容貌がどんどん酷いものになっていくのと反比例してまるで現役時代の頃のようにエネルギッシュになっていくその過程がベタだけどとても爽やかなヒューマンドラマとして感動できる。

ただ、ロッキーシリーズがあくまでも白人中心のアメリカ至上主義に包まれている中でのプアホワイトの物語だったのに対すると、クリードの方は時代を反映してか、人種のるつぼであるアメリカのグローバリズムをすんなりと受け入れた理解のある作品に仕上げられており、ロッキーの時ほどの惨めったらしさや寂しさを伴ったテーマが存在しないようには思えた。

ロッキーのあの舌っ足らずな喋りとガタイだけがいい木偶の坊ぶりは社会や集団に馴染めずに取り残されてしまった白人の姿が象徴するものについて考えさせてくれ、鈍重な動きとダイナミックなトレーニングや試合のシーンとのギャップが見応え抜群だったのに比べると、アグニスの場合は裕福な家庭ではあるけれど機能不全的なところがあり、出自にコンプレックスを抱く感情をうまくコントロールできない黒人で、引き締まった体が当世風にスタイリッシュにされた映像や演出によく馴染んでいてロッキーのケースと巧く対称にされている。

しかし、どこかありがちで、シナリオをなぞればそこには計算しつくされたドラマや配慮があり、作品全体としても洗練されているのに、どうしても物足りなさを感じてしまう。

ロッキーの若い頃に映し出してきたフィラデルフィアのうらぶれた街並みと本作が映し出すそれが一見同じようでまるで違うもののように見えてしまうのは単に時間の経過だけが理由ではないはずだ。
                 
        

名探偵コナン 探偵たちの鎮魂歌 (映画)

                 
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コナンの正体を知る謎の黒い影にコナン、平次たちが決死の戦いを挑む。小五郎とコナンたちは謎の招待を受け、ある巨大な城へ向かうが…。

2006年の日本のアニメ映画。劇場版名探偵コナン第10作。

10周年を記念してか今までの作品以上にオールスターの活躍を楽しめるようなサービス精神を感じさせる作りになっており、要所要所でコナンシリーズに登場する主要人物に見せ場が与えられている。メインはコナンと服部のコンビだが、キッドやキッドを追いかける白馬探などもコナンと平次に手助けする形で活躍を見せていた。もっとも、白馬にはキッドが変装していたというオチがついているが……。

今作の一番の見どころは工藤新一の現在の姿がコナンであることを知っているかのように犯人が仄めかしてみせるところで、それが効果的に作用してただならぬ雰囲気を漂わせることに成功している。事件の真相が明らかになるにつれてそれが制作サイドのミスリードであることが分かるが、なかなかのスリルを齎していたと思う。遊園地に閉じ込められ、時限爆弾をつけられた蘭と少年探偵団の命を救うために無理やり謎解きに参加させられる展開やシーン毎に配置されたギミックなどはなかなかサスペンスとして出来の良いものを感じさせたのに、シークエンスとして見るとそれらをうまく活かしきれているとは言い難く、徐々に尻すぼみしていき、結局無難で陳腐なクオリティとして小さくまとめられてしまっていたのは残念だった。
                 
        

アウトブレイク ライジング (映画)

                 
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軍が回収任務に当たっていた人工衛星が隕石の衝突により大破し、無数の欠片がシルバースプリングスの町に落ちた。司令官のクーパーは部下を引きつれ、落下した欠片の回収に向かった。その頃シルバースプリングスでは一人の男が謎の変死体で発見される。検視の結果、死体が何者かに噛みちぎられ大半を食べられてた……。宇宙から来た謎のウィルスが引き起こす信じ難い症状により、町は一変して血肉を求め彷徨う感染者で溢れ返る!

2011年のアメリカ映画。

平和な町が突如ゾンビに支配される。ゾンビものとしては、ゾンビの動きがスローではなく、ほとんど人間の姿そのままに全速力で駆けてきて襲いかかり、それを人間が何のためらいもなく撃ち殺していく様が欧米のリアリズムを寓話的に映し出しているようでシュールではあった。人間と(恐らくウィルスに感染したであろう)ゾンビのような人間との境界や差といったものについて考えさせられたが、B級作品にしては比較的ドラマパートが丁寧に作られているという印象の一方で、ゾンビが襲い掛かってきてパニックアクションになると途端に安っぽくなるのが惜しい。作中で思わせぶりに盛り上げられたドラマや伏線を回収しきれていないのも勿体無く感じる。
                 
        

名探偵コナン 水平線上の陰謀 (映画)

                 
劇場版 名探偵コナン 水平線上の陰謀(ストラテジー) [DVD]劇場版 名探偵コナン 水平線上の陰謀(ストラテジー) [DVD]
コナンたちの乗る豪華客船で処女航海中に殺人事件が起こる…。コナンの推理を超えたところに別の罠が!?

2005年の日本のアニメ映画。劇場版名探偵コナンシリーズ第9作。

豪華客船での航海中に起こる殺人事件の謎をコナンが追う。今回のサスペンスドラマは二段構えであり、作中当初から怪しかった見え見えの存在をコナンが犯人として突き止めるが、実はそれはミスリードで真犯人に一番早くたどり着いてみせるのが毛利小五郎という珍しいパターンになっている。普段、迷探偵ぶりを発揮して道化役やコナンの操り人形を演じているおっちゃんの面目躍如が面白かったが、プロット自体はいまいちで、ジェームズ・キャメロンの『タイタニック』を意識したような映像演出も盛り上がりに欠く。

お約束として蘭が沈みゆく船の中で危機に見舞われるのも如何にもコナンに助けてもらうためだけに強引にそうしたという不自然な組み立て方で、意図が明け透けになっており白けてしまうのも残念。
                 
        

メガ・ピラニア (映画)

                 
メガ・ピラニア [DVD]メガ・ピラニア [DVD]
ベネズエラのオリノコ川にて、休暇中の米国大使が行方不明となった。国務長官の命令によって特殊部隊員のフィッチが、調査のために現地へと向かう。そこで遺伝子学の研究をしているサラから、事件の原因は実験によって生態が変化したピラニアの群れによるものだと告げられる。川での調査を進めるフィッチは、巨大化し宙を舞う、凶暴なピラニアを目撃し……

2010年のアメリカ映画。

ベネズエラのオリノコ川で米国大使が行方不明となる。テロを疑った国務長官の命令により現地に派遣された特殊部隊委員のフィッチがそこで見たものは遺伝子操作されたピラニア達の群れだった。という話で、巨大化したピラニアが次々に襲い掛かるシュールなアクション映画になっている。

クライマックスこそアメリカの底力と一人の英雄の活躍によって巨大ピラニアの襲撃という危機を乗り越えてみせるベタなアメリカ万歳的作品にきっちりと仕上げられているように映るが、そもそもピラニア巨大化の原因を作ったのはアメリカ自身であるし、自分たちが作り出したピラニアで他国に迷惑をかけて右往左往しつつ闇雲に軍事力で解決を図ろうとするが、為す術なくついには自分たちが喰われてしまいそうになるというのは何とも風刺が効いており、スターシップ・トゥルーパーズ的なアメリカの愛国心への批判が加えられていた。その視点で見ると、ベネズエラの反米的スタンスを茶化しながら、ピラニアよりもどちらかといえばベネズエラ軍との戦いを繰り広げているシーンが多いぐらいなのもアメリカの一人相撲をより鮮明にする意図があるのだろう。

全体的にチープで良い出来とは云えない中、主演のポール・ローガンは頑張っていて、ハリウッドの大作アクション映画に主演する俳優にありそうな雰囲気だけは出せていたと思う。それだけに余計に皮肉が効いているとも云える。
                 
        

進撃の巨人 前編~紅蓮の弓矢~ (映画)

                 
劇場版「進撃の巨人」前編~紅蓮の弓矢~通常版 [DVD]劇場版「進撃の巨人」前編~紅蓮の弓矢~通常版 [DVD]
諫山創の人気コミックをアニメ化したテレビシリーズ「進撃の巨人」を再編集した劇場版2部作の前編。人を食らう謎の巨人に支配された世界、少年、エレン・イェーガーは外の世界を夢見ていた。だがある日、大型巨人が出現し…。

2014年の日本のアニメ映画。

テレビアニメシリーズとして放送された『進撃の巨人』の1話から13話までを編集した作品になっている。1話20分として13話約260分というボリュームを半分以下となる120分程度の尺に収めているのだからどうしても端折っているという印象は拭えないのだが、テンポ自体は良くなっているという見方も可能で、幼き日に母親を巨人に喰われたエレンが成長して巨人との戦いに挑み、自身のまさかの巨人化を経て人類が初めて巨人に勝利したその時までがダイナミックに且つスリリングに展開されており、改めて『進撃の巨人』ってこんなに楽しかったんだと再確認することが出来た。

エレンの訓練兵時代やミカサやアルミンなどを始めとした各登場人物間の濃密なやりとりや背景など、他にも『進撃の巨人』の世界を知るための様々な手掛かりが尺の都合で省略されてしまっているのはやはり残念極まりないが、それだけTVアニメシリーズの各エピソードには無駄なシーンの無い中身が詰まったものであるとも云えるだろう。それだけに何をカットするか制作サイドが苦労したことが映像からは伺えた。その上で、より限られた尺の中にライナーやベルトルト、アニが関わる何かの意図を感じさせるシーンがわざとらしく挟み込まれているのが、この後の展開を知っている者からすれば思わず笑みがこぼれてしまうほど可笑しく、ダイジェストならではの遊び心も感じ取れる。
                 
    
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