ピンポン 第11話「血は鉄の味がする」 (アニメ)

                 
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ペコは痛めた膝を酷使しながら、ドラゴンに勝つ。番狂わせの衝撃は予選会場を駆け巡る。決勝戦は片瀬高校のペコとスマイルで戦われることになった。開始を待ちながら小泉はスマイルとの会話を思い出す。膝を痛めた相手の選手生命を断つような危険なコースを打てるか、と小泉が尋ねた時、スマイルは、打てますよと即答した。それはかつての小泉が手にすることができなかった強さだった。「君はやはり私の知る限りもっともすばらしい選手だな」。そして試合が始まった。

ピンポン最終話。決勝でぶつかるペコとスマイル。スマイルはペコとの本気のぶつかり合いの中で再び笑顔を取り戻していく。そう、いつも孤独でロボットと呼ばれたスマイルにも熱き血潮が存在していた。そして、それは卓球を愛する全ての人に対して捧げられたメッセージにもなっている。

バトルを詩的に綴った後はエピローグ。スマイルは小学校の教師になり、タムラで子どもたちのコーチをしていた。スマイルの前に現れたドラゴンは卓球を続けてはいたが凡庸な選手に甘んじていた。チャイナは日本に帰化し、選手として飛躍を遂げる。アクマは結婚して子沢山の家庭を築いていた。ペコは日本で一番の選手となり、世界のトップを狙える位置につけていた。それぞれのあの大会のその後について触れられる。

ドラゴンとスマイルのやりとりの中で凡庸のままで終わることに対しての寂しさが語られるが、スマイルが凡庸でもいいと思うと語るところにこのアニメの救いとそして切なさがある。もしもスマイルが海王に転校していたら、あるいはペコのように育成センターで先端の技術指導を受けていたら、そういう本気を出せば出来たんじゃないかという余地を最後まで残した存在がスマイルであり、不器用さと相まって非常に魅力的なキャラクターになっていた。単なるペコのヒーロー物語ではない、スマイルという多くの人が辿るもう一人のペコの存在が同じ主人公格として輝くからこそ、この作品には独特の説得力が備わっており、青春と友情の物語として出色の出来になっている。

このアニメを見始めた当初、原作に忠実に展開しつつも、オリジナルの要素をエッセンス的に加えているところに多少の面白みはあったが、やや映像描写にくどさが見られる点があったのと、原作に比べて大きな発見がなかったので物足りなさもあった。ただ原作の漫画の絵がアニメーションしているだけという、よくもわるくも無難にまとめられているところからはみ出てはいない作品で、そしてその無難さが作品から力を奪い取っていて、視聴者を引き込みきれないだろうという淡白さが感じられたのを残念に思っていたが、回を追うごとに掘り下げられるチャイナやドラゴンなどのキャラクターによって世界観に厚みが増し、原作以上のちょっとしたわかりやすい感動物語に仕立て上げることに成功してたのは映像表現として見事だったと思う。
                 

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