俺は、君のためにこそ死ににいく (映画)

                 
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1945年、太平洋戦争末期、無残にも美しい青春があった。彼らを心で抱きしめる女性がいた。
昭和19年、太平洋戦争で劣勢に立たされていた日本軍は、アメリカ軍を中心とした連合国軍によるフィリピン上陸作戦を阻止し、戦局を打開するための最後の手段として、戦闘機や艦上爆撃機などの軍用機に爆弾を搭載して敵艦に体当たりを敢行する自爆攻撃部隊として、海軍は神風特別攻撃隊を編成。激しいライバル関係にあった海軍に先を越された陸軍も、負けじと「振武隊」「特別攻撃飛行隊」を編成する。
しかし奮戦空しくフィリピンは陥落し、連合国軍は昭和20年春には沖縄に上陸してきた。日本軍は沖縄を死守するため、各地の飛行場から特別攻撃隊を発進させる。陸軍最大の特攻基地となった鹿児島の知覧飛行場(川辺郡知覧町、現・南九州市)からは終戦までに振武隊の493名の青年達が飛び立った。かつて知覧で飛行訓練を受けていた坂東少尉、陸軍飛行兵から母親のように慕われていた鳥濱トメとその娘礼子などの視点から、特攻隊員となった青年達を描く。

(引用 Wikipedia 俺は、君のためにこそ死ににいく

2007年の日本映画。
石原慎太郎総指揮(脚本)により、太平洋戦争時の特攻隊員の青年たちの姿が描かれている。

作中にも登場する鳥濱トメは食堂を切り盛りしながら特攻隊員の母と慕われたという実在の人物で、彼女から紡がれた特攻隊員とのエピソードを参考に製作されたという。

タイトルの「君」はあなたという意味の他に天皇(国)という意味合いも持ち、石原慎太郎というネームバリューもあって、すごく保守的で戦争を美化した作品を思わせるのだが、実際に観てみると、若者の命を無残に散らした戦争とお粗末な特攻作戦、独善的な軍部に対しては概ね批判的に描かれており、表面だけなぞれば想像していたよりはフラットな作品なのかなという印象を抱かせてくれる出来になっている。

ドラマ自体はこの手の日本の戦争ものの若者群像劇にありがちなもので、出来が悪いとも良いとも云えない陳腐な内容なのだが、違和感を抱かせるのは、純粋さ。特攻隊の青年達は非常に男性的でありながら紳士で品行方正、そんな男性の身の回りを世話し奉仕するうら若き乙女たち、どちらも眩しいぐらいに皆真っ直ぐで輝いていて美しい。美しすぎるほどに、模範的で、そこに人間味がない。
すごくむごい状況で、理不尽な仕打ちにあっている、彼らはそれぞれ疑問を抱かないわけでもないが、お国のために、仲間のために、あなたのためにと特攻に出撃する。
彼らと彼らを支える周囲の献身的な姿は確かに感動的ではあるのだけど、明らかに彼らは美化されている。
それは単にお国のために命を投げ出しているからではなくて、お国のために命を投げ出すことをも厭わない昔の若者はこんなに素晴らしかったという描き方がなされているからだ。それが人間個人それぞれが主になって魅力が発せられているのではなく、結局「戦争」と「特攻」の方が主になって滅私で良い子だけが生産されている構図なのである。
あからさまに年寄りの目線で現代(平成)の若者と対比したノスタルジーが特攻隊の青年と奉仕隊の女子に込められていたし、けれん味の無さは登場人物だけではなく、作品そのものでもあって、つまり、これが遠慮無く大真面目に主張されているわけで、やはりこの映画は戦争を美化しているな、という怖さが感じられてしまう。

とはいえ、生きるも無念、死ぬも無念だった特攻隊員達の姿、わかってあげてくださいという作品のメッセージは、胸を打たれるものだったのは間違いない。
                 

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