借りぐらしのアリエッティ (映画)

                 
借りぐらしのアリエッティ [DVD]借りぐらしのアリエッティ [DVD]
宮崎駿が企画・脚本を担当、スタジオジブリ最年少の米林宏昌を監督に起用したファンタジーアニメ。人間の世界から少しずつモノを借りてきて床下で生活する“借りぐらし”の小人の少女・アリエッティと人間の少年のひと夏の触れ合いを綴る。

(引用 amazon 借りぐらしのアリエッティ [DVD]

2010年の日本映画。
スタジオジブリのアニメ作品。
「人間に見られてはいけない」の掟のもと、古い屋敷の床下で住んでいた小人の一家。一家は人間の暮らしから少しずつ色々なモノを借りてきて生活をしていた。ある日、屋敷にやってきた新しい住人の少年翔に小人の少女アリエッティは見られてしまう。

初めは種族を超えたありがちなボーイミーツガールであるとか、人間中心主義を戒めるために人間の知らないところでひっそり生活を営む生命(自然)の神秘の比喩としての小人に諭されるドラマだと思っていた。
そういうところもあるのだが、話が進むと意外な方向に向かっていく作品だった。

離婚した両親、病弱な少年、子どもよりも仕事をとる母、少年の世話をするのは祖母と金で雇われた家政婦という人間の世界。
逞しい家父長、夫を尊敬する主婦、両親に大事に育てられ友達がいなくとも感情が豊かな少女のアリエッティという小人の世界。

この二つの世界を対比させ、物質的豊かさと精神的豊かさをトレードオフの関係として描き、人間には小人へ干渉(生活と家庭の破壊)という役割が与えられており、それに対して、小人は人間に見つからないようにと厳しい掟を作り、保守的で閉鎖的な生活を送る。
繁栄を極める人間は自分が中心であるという驕った存在に描かれており、小人達の方が逞しさのある家族中心主義で人として情緒が豊かに作られているが、その実態は小人達は人間の食べ物などを拝借しなければ生きていけない存在で、種として衰退傾向でもある。

このジレンマをうまく用いながら、心優しい病弱な少年という人間と小人の少女の交流が描かれている。二人が出会い、別れ、小人の少女が両親と、人間に頼らず原始的な生活を送ってきた野生児のような少年スピナーと共に新たな住処を求めて旅立つまで、ストーリーの展開のさせ方としては、特に娯楽性に富んでいるわけでもないのだが、紡がれる一つ一つのシーンがどれも計算し尽くされたような意味ありげなもので想像力を掻き起こしてくれるという意味で、よく出来た童話になっていたと思う。

賃金労働者として家事をこなす家政婦を悪どく描いたり、親に愛されず心臓(ハート)が悪い少年という設定からしてそうだが、全体的に作為的過ぎるきらいがある。
失われゆく家庭、古き良き家族観とその温かさと美しさというノスタルジーの喚起に甘えるだけでなく、お互いに対して興味関心を抱き合い、心を通わせるまでになった翔とアリエッティを残酷にも引き離したのもその麗しき家族観であるという、初恋の相手が親の都合で転校していってしまうような物寂しさ、そして、いつかアリエッティは翔とは180度違うタイプのスピナーという少年と結ばれることで小人族の生活を守っていくのだろうかと考えさせられる切ない演出は、社会(掟)というものに対してささやかに抵抗してみても、結局は余計に社会に翻弄される結果を招くという夢のなさが表現されており、そこがジブリらしくないなと感じた。
                 

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