海猿 (漫画 佐藤秀峰)

                 
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海上保安庁 第七管区(九州)新人海上保安官・仙崎大輔の乗る巡視船「ながれ」が出航した。目的は、SOSを受けた中国船籍「鳳来号」の救助。偶然、乗り合わせてしまった新米新聞記者・浦部美晴とともに、岩礁の「鳳来号」のもとへ急ぐ「ながれ」。。極限状態の中、ひとに何ができるというのか!?海をめぐる熱き人間ドラマ、今、ここに始まる!!

海上保安庁の新人保安官である主人公の成長物語。救難活動を通して、極限状態の中で描かれるリアリズムと熱いヒューマニズムの狭間でもがき苦しむ主人公ら「人間」の姿が迫力のあるタッチで演出されており、シンプルなメッセージでありながらも、生きることの大切さや思いを繋ぐことの意味を深く考えさせられるほどに読者の胸を打ち続ける。

言葉よりも生き様でみせるという作風に大いに引きこまれていったが、やや装飾過剰なのも気になり、常に戦争ドラマよろしくの同じパターンでしか話を盛り上げられないので、次第にご都合主義的に危機が迫っては涙と血を流すという展開に白々しさを覚えてしまったのが惜しい。

また、人間賛歌がベースではあるが、あまりに登場人物が善人過ぎるのも気になった。ただ、これがこの作品の良い所といえるのかもしれない。ベタな悪役の存在や集団生活にありがちな「いじめ」が人間の本質としてテーマに掲げられていたらこの作品の最大の長所と思われるシチュエーションは複雑なのにメッセージはシンプルという良さが失われていた可能性はある。

本作には、世界は残酷で冷たいけれど、そこで生きている人間は優しくて温かいという哲学が貫かれているのである。
                 

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