ある閉ざされた雪の山荘で (小説 東野圭吾)

                 
ある閉ざされた雪の山荘で (講談社文庫) ある閉ざされた雪の山荘で (講談社文庫)
1度限りの大トリック!
たった1度の大トリック!劇中の殺人は真実か?
俳優志願の男女7人、殺人劇の恐怖の結末。

早春の乗鞍高原のペンションに集まったのは、オーディションに合格した男女7名。これから舞台稽古が始まる。豪雪に襲われ孤立した山荘での殺人劇だ。だが、1人また1人と現実に仲間が消えていくにつれ、彼らの間に疑惑が生まれた。はたしてこれは本当に芝居なのか?驚愕の終幕が読者を待っている!

東野圭吾のミステリー小説。

舞台稽古のために乗鞍高原のペンションに集められた7人の男女。役者である彼らが雪に閉ざされた山荘で殺人劇に巻き込まれていくというミステリ素人の自分でも散々触れたことがありそうなベタなプロットになっているが、そこは人気作家の東野圭吾、その殺人劇が舞台稽古なのか、それとも本当の殺人劇なのか、誰が犯人なのか、誰が仕組んでいるのか、登場人物にも読者にも最後まで頭を悩ませるような絶妙な仕掛けが随所に施されていて退屈することがなかった。

更に、ある登場人物の主観と神の視点の使い分けもきっちりとギミックとして活用し切るなど著者の作家としての才能に脱帽してしまうこと頻りである。

惜しいと感じたのは、あまりに展開ありきのギミックに凝りすぎていて、却って登場人物に対する表情の描写がおざなりになり、そこに対して種明かし的なフォローが存在するものの、彼らが駒であるとか人形であるような能面さや平坦さが生まれてしまっていることで、読んだ後の余韻が少々弱かったことだ。

もっとも、人というのは常に演技をしている生き物であり、視線を感じる先によってロールプレイの仕方が違うという意味が込められたような行間はとても味わい深いものであった。
                 

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