大日本人 (映画)

                 
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大佐藤大(だいさとうまさる)は”獣”(じゅう)と呼ばれる巨大生物を退治する「大日本人」である。彼の家系は代々日本国内に時折出現する獣の退治を家業としており、彼はその6代目に当たる。映画は大佐藤がテレビ局の密着取材を受けつつ獣退治をする日々を送っている姿からはじまっていく。
しかしかつてと違って大日本人に対する世間の風当たりは強く、軍備の整った現代においては不要であると唱える者も出る始末。プライベートにおいても妻との別居、跡取問題、かつての英雄である祖父(4代目)の介護問題など悩みの種は多かった。
苦境に立たされながらも獣退治を続ける大佐藤だったが獣退治中に突如現れた赤い獣の圧倒的な強さに恐れおののき、逃亡をしてしまう。過去に確認されたことのないその獣は日本のものではないということしかわからない。大佐藤が逃亡する姿を映したテレビ放送は皮肉にも高視聴率を獲得した。取材ディレクターは再戦を要請するが大佐藤は乗り気ではなかった。その後も度重なるアクシデントで国民の反感をかい、大佐藤は窮地に立たされていくのであった。

(引用 Wikipedia 大日本人

2007年の日本映画。
松本人志の初監督作品。主演も務めている。

松本人志は大変な映画通らしく、元々映画での表現に興味があったということなのだろうが、著書『遺書』で綴られていた若き頃の主張では、自分はあくまでお笑い一本で、その他のしみったれた行為で稼ぐ芸人にはなりたくないというプライドの高さが表れていた。

その彼が歳月を経て、映画作品に監督兼主演として挑むのだから、それは勿論、過去の言動と比べた時の羞恥があったのだろう。本作はそんな彼の過去のお笑い芸人としてのプライドを自虐したような内容になっている。

メディアからの密着取材を受ける形で、主人公とそれに関わる人々のコメントを劇中内のカメラを通して拾いながら物語が進行するという、メタなスタイルが取られている。
これにより、カメラを意識した表情の硬さを演出しながら、人については曖昧でどこまでも演技であることが強調されており、一方で、取材側が無神経に抉り出す実態というものに対しては露骨に滲み出る惨めさとして真実味を与えている。

大日本人となって日本を救う役割を家業としてきた主人公が、時代に必要とされず、大日本人として良い時代だった昔と落ちぶれた現状を対比させており、これは、ビートたけしの『TAKESHIS'』のような、もしも芸人として売れてなかったらというもう一人の自分の想定でもあり、過去のプライドの高い勢いある若手お笑い芸人だった頃の自分と年と共に分別がつき過ぎてお笑い芸人としての感性が鈍りつつある自分、あるいは世間こそが松本を粗野で古臭く暴力的なものと見做すおかしな感性になりつつあるという事への反抗のようでもあった。
お茶の間と「弱者」に愛されるウルトラマン的なヒーローが本作の敵役である獣と呼ばれる存在に容赦のない集団暴行を加えるシーンは象徴的だった。

ただ、一本の映画作品としては、一つ一つのシーンには松ちゃんらしいシュールなコント的やりとりと流れが存在するものの、インパクトの弱さがこだわりを持ちすぎていて、退屈で辛い。ツッコミのない、ポリシーのあるボケが延々と垂れ流されており、その締まりのなさが苦しい。誰か俺の頭叩いてみろやという主張が作品に込められていたとしても、本作の弱弱しさではとてもそれに乗る気にはなれはない。
                 

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