劇場霊 (映画)

                 
劇場霊 スタンダード・エディション [DVD]劇場霊 スタンダード・エディション [DVD]
「リング」シリーズの中田秀夫監督がAKB48の島崎遥香主演で描くホラー。売れない若手女優・沙羅は、女貴族の生涯を描いた舞台に出演することに。ある日、主演の葵が転落事故により意識不明の重体となってしまい、沙羅は急遽主演に抜擢されるのだが…。

2015年の日本映画。中田秀夫監督によるホラー作品。

売れない若手女優の主人公が同じ事務所の売れっ子女優と共に舞台に出演することになる。当初は端役だったが、舞台で使われていたマネキン人形が次々に人間に対して凶行に及んだ結果、主演の女優が転落事故を起こし、主人公に主演の座が回ってくる。ここまではトラブルを利用して熾烈な芸能界で繰り広げられる追い落とし合戦に勝利したサクセス・ストーリーの一面もありそうで期待させられたが、主人公がどうにも潔癖で人が良く、演出家の枕強制を頑なに断ったり、人形の影響を無視できず、結局舞台を降板させられてしまう。代わりに仲の良い女優友達に主役を奪われる形で出し抜かれるのだが、ここでもドロドロのドラマを演出しきれてない。マネキン人形に纏わる過去の因縁と凶行に及ぶ動機もうまく噛み合っておらず、単なる若さへの嫉妬で済ませているのも残念。ただ、考えてみれば人を何かに突き動かす動機なんてそんなものなのかもしれないが。

最後にはリングの貞子みたいに関節ボキボキ言わせる勢いで動くマネキン人形と主人公たちが対決するのだが、ハリウッドの空気を吸った中田監督によるオーバーなアクションとJホラーの尖ったナイフのようなキレ味の恐怖感の融合は失敗しており、収拾がつかなくなったから無理やりドタバタと大立ち回りさせてみたというような雑な印象しかなかった。『クロユリ団地』に続いて、中田秀夫の衰えともう引き出しが無いことを痛感させられた。

ただ、もう少し捻れば化ける潜在性を秘めた作品ではあったと思う。人間が人形に追い回されて殺されていくことの比喩や、マネキンによって人間もマネキンにされてしまうことの意味性とか、人間同士での集団の中での足の引っ張り合いを練りこめばもっと面白くなったのではないだろうか。

実際に提供された物の中で、良かったところといえば、主人公の売れない若手女優を演じる島崎遥香の冴えない雰囲気と微妙な演技力がピッタリと嵌っていたことぐらいなのが本当に残念である。
                 

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