クリード チャンプを継ぐ男 (映画)

                 
クリード チャンプを継ぐ男 ブルーレイ&DVDセット(初回仕様/2枚組/デジタルコピー付) [Blu-ray]クリード チャンプを継ぐ男
シルベスター・スタローン、マイケル・B・ジョーダンの共演で『ロッキー』の新たな物語を描くドラマ。孤独に暮らすロッキーの前に、亡き親友でライバルだったアポロの息子・アドニスが現れる。ロッキーは自らのすべてを彼に託すが…。

2015年のアメリカ映画。

『ロッキー』シリーズのスピンオフ作品として製作された本作はかつてロッキーのライバルであり友でもあったアポロ・クリードの息子であるアドニスを主人公に据え、新たな時代の物語を紡ぎ出している。

アポロの隠し子として生まれたことにコンプレックスを持ち、ボクシングの道を志そうと思っても周囲の理解を得られず、ジムでも腫れ物に触るように扱われてきた主人公はかつて父のライバルであったロッキーの元を訪ね、やがて二人三脚でトレーニングを積み、チャンピオンとの試合に挑む。

老いたロッキーがかつてのミッキーのようにコーチを務める様にはシリーズのファンだからこその感慨深さがあり、主要な登場人物それぞれに心や体の中に抱えたものが存在し、傷を舐め合うかのように寄り添いながら何かと闘うために必死になる様はまさにロッキーシリーズへのオマージュを捧げられていた。

がんに冒されたロッキーが当初は化学療法を拒否し、死に抗うことを恐れるものの、かつての自分の姿と重なるアグニスを新たな息子として受け入れ、ロッキー自身も病に対してアグニスと共に戦うことを決めてからは容貌がどんどん酷いものになっていくのと反比例してまるで現役時代の頃のようにエネルギッシュになっていくその過程がベタだけどとても爽やかなヒューマンドラマとして感動できる。

ただ、ロッキーシリーズがあくまでも白人中心のアメリカ至上主義に包まれている中でのプアホワイトの物語だったのに対すると、クリードの方は時代を反映してか、人種のるつぼであるアメリカのグローバリズムをすんなりと受け入れた理解のある作品に仕上げられており、ロッキーの時ほどの惨めったらしさや寂しさを伴ったテーマが存在しないようには思えた。

ロッキーのあの舌っ足らずな喋りとガタイだけがいい木偶の坊ぶりは社会や集団に馴染めずに取り残されてしまった白人の姿が象徴するものについて考えさせてくれ、鈍重な動きとダイナミックなトレーニングや試合のシーンとのギャップが見応え抜群だったのに比べると、アグニスの場合は裕福な家庭ではあるけれど機能不全的なところがあり、出自にコンプレックスを抱く感情をうまくコントロールできない黒人で、引き締まった体が当世風にスタイリッシュにされた映像や演出によく馴染んでいてロッキーのケースと巧く対称にされている。

しかし、どこかありがちで、シナリオをなぞればそこには計算しつくされたドラマや配慮があり、作品全体としても洗練されているのに、どうしても物足りなさを感じてしまう。

ロッキーの若い頃に映し出してきたフィラデルフィアのうらぶれた街並みと本作が映し出すそれが一見同じようでまるで違うもののように見えてしまうのは単に時間の経過だけが理由ではないはずだ。
                 

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