国家の品格 (藤原正彦)

                 
国家の品格 (新潮新書)国家の品格 (新潮新書)
 経済改革の柱となった市場原理主義をはじめ、留まるところを知らないアメリカ化は、経済を遥かに超えて、社会、文化、国民性にまで深い影響を与えてしまったのです。金銭至上主義に取り憑かれた日本人は、マネーゲームとしての、財力にまかせた法律違反すれすれのメディア買収を、卑怯とも下品とも思わなくなってしまったのです。
 戦後、祖国への誇りや自信を失うように教育され、すっかり足腰の弱っていた日本人は、世界に誇るべき我が国古来の「情緒と形」をあっさり忘れ、市場経済に代表される、欧米の「論理と合理」に身を売ってしまったのです。

(引用 本書P5-6)

「論理」を信用しすぎて、それに支配されると、日本が世界に誇るべき「情緒」が失われてしまうことになるので、日本人はアメリカやアメリカかぶれのいうことよりも、祖先や伝統文化を大事にしようということが主張されている。
具体的には、戦後教育や市場原理主義などを仮想敵に設定していて、進むグローバル化と新自由主義的価値観の浸透に抵抗を試みた一冊になっている。
欧米の論理に相対する大和魂もまた著者によって論理で立ち向かわされている点と、仮想敵の悪い部分をあげつらうだけの先にある「武士道と情緒」に説得力があるのかというところで、危なっかしさはあるものの、漠然とした不安が蔓延する閉塞した社会に生きる日本人に対して、この国で育まれた「ならぬことはならぬ」の問答無用の美しい道徳を学んだ誇り高き日本人のあなたは論理的に説明できなくても正しいので誇りと自信を持ちなさいと、全力で「日本人」を肯定し、称揚した、痛快な一冊でもあった。
著者流の祖国愛の発露であり、思いやり、惻隠の情でもあるのだろう。
                 

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