猫の恩返し (映画)

                 
猫の恩返し / ギブリーズ episode2 [DVD]猫の恩返し / ギブリーズ episode2 [DVD]
何となく日常を過ごす、ごく普通の女子高生・吉岡ハルは、ある日、トラックに轢かれそうになった何かをくわえた猫を助ける。助けられた後、その猫は日本語で礼を述べ、二足歩行で歩き去る。実は、彼は猫の国の王子・ルーンだった。
次の日、猫の国から、王子の命を救ったお礼の品が届けられるが、猫じゃらし、マタタビ、ネズミといった、猫しか喜びそうのない代物ばかり。文句を言うハルに、それならば猫の国へご招待致しますと使者は答え、突然現れた猫の集団に、ハルは連れ去られてしまう。
そこで、ハルは王子ルーンと結婚する事を決められてしまい、猫耳と尻尾が生え、ついには、猫のヒゲが生えて、猫にされてしまう。

(引用 Wikipedia 猫の恩返し

2002年の日本の映画。スタジオジブリのアニメ作品。

同じスタジオジブリの作品『耳をすませば』の主人公である月島雫が書いた物語という位置づけのスピンオフとのことで、如何にも中学生が描くような素朴な感情をベースにしたファンタジーになっている。実際は日本でも指折りのクリエイター集団が制作を担っているわけだから、相応のクオリティにはなっていて、単純な物語をブラッシュアップすることで魅せる楽しさに技術力の高さが光っていた。

思春期の女の子が憧れそうなキザで心温まる物語は、二枚目は二枚目の役どころ、三枚目は三枚目の役どころ、そして悪役は醜いという内面と外見の紐付けを何の疑いもなく、すごくナチュラルに表現されているところに、ジブリサイドからのサブテキストとして、女の子の怖さ、無邪気であることの恐怖・暴力性がその価値観に対するフォローを通して、存在していた。この辺は『ハウルの動く城』のソフィーが最後には元通り若返っても、髪だけは白いままであったという表現方法と通じているかもしれない。その優しさが却って差別を意識させるところを含めて、メタ的に制作サイドからの優しさが直に観ている側に伝わってくるジブリらしい良さがあったと思う。

劇中に登場する猫の国では人間と同じような社会を築いて猫達が暮らしている。
主人公が猫(とお姫様)への憧れを刺激されて、やがて本当の猫のようになってしまう、という設定は、『千と千尋の神隠し』で欲望の赴くままに行動することで豚になってしまった両親の姿のような、教訓じみたものがあった。
この猫への変化に抗うために、人間の欲望が渦巻く管理された社会と変わらない猫の国の理不尽さから自由を求めて脱出を試みるのだが、これはそのまま人間社会の当たり前とされている価値観に対する抵抗でもあり、猫にも良い奴がいて、悪い猫もいるが皆どこか憎めない奴であるという作りは、人間賛歌であると同時に猫賛歌でもあり、我々人間の社会に無くてはならない存在となった猫という重要なパートナーも人間と同じように欲望があり、喜怒哀楽があるというメッセージを思春期の女子をうまく活かした爽やかさ(と残酷さ)を伴わせて、人間と対等に扱うことで、「人」と「猫」との共生社会へ挑戦していた。
                 

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