コトバのない冬 (映画)

                 
コトバのない冬 [DVD]コトバのない冬 [DVD]
北海道のちいさな町で、単調だが幸せに暮らしている黒川冬沙子。寡黙な父親との生活中、モデルとして状況していた妹が帰省し、近所の食堂のおばさん・丸山みどりと楽しい日常を送っていた。そんなある日、大雪の中バス停に残された冬沙子は、偶然通りがかった門倉渉(渡部篤郎)に声をかける。しかし彼は「コトバ」を発することが出来なかった……。

2008年の日本映画。渡部篤郎監督。高岡早紀主演。

北海道の小さな町のある家族とその一員である女性の平凡な生活をワンシーンワンカットの手法で追い続けた作品で、フィクションの中のノンフィクションを追求したというだけあって、高岡早紀、北見敏之、渡辺えりといった一線級の実力派俳優を揃えながらも、その上で大袈裟な演技や表現をタブーとした素朴で取り留めのないやりとりの連続を振る舞ってみせる河瀬直美のようなドキュメンタリータッチの映像はなかなか見応えがあって面白かった。

とはいえ、そこにリアリティがあったかといえば、自分がそこに感じ取ったのはごまかしであった。本作はドラマとしてはとても大雑把に構成されており、決定的なシーンの描写を意図的に避けることで、観ている側への想像力に強く働きかけて物語を補完させようとしている。しかし、あまりにも作為的過ぎる上に劇中の情報量が致命的に不足していた。

平凡な暮らしをしていた健常者の女性がコトバを発することが出来ない男性と出会い、やがて二人は惹かれ合っていくが、女性は落馬事故に遭うことで記憶を一部失ってしまう。これにより男性との出会いも彼女の中で消えてしまい、彼女は男性と出会う前の生活へと還っていく。これに対してコトバを発することが出来ない男性のもどかしさが複雑な表情と仕草によって表現されて幕を閉じるというプロットはとても詩的で様々な読み取り方が出来ないこともないのだが、あえていうならばこのコトバを発することが出来ない男性を演じたのが監督渡部篤郎自らであるというメタ設定から、監督の実力不足を必死でごまかしてみたという自虐ネタとしての受け取り方が自分の中では一番しっくりきた。
                 

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